テニス上達メモ015.スピン系ショットは「まったく逆のイメージ」だと上手くいく
▶ネットもアウトも「ミスはミス」
スピンサーブを打つにあたって、イメージの仕方をひと工夫。
スピンサーブについて、サービスボックスへ入れたいために、回転をかけて「下へ落とす」イメージを持っていませんか?
いえ、サーブに限らずストロークもボレーもスマッシュもコート上で犯すエラーについて、潜在的にネットミスよりもオーバーミスのほうを怖れているケースが少なくありません。
見た目や打った感触の印象から、ネットミスは「小さなミス」、バックアウトは「大きなミス」と捉えがちだからです。
▶アウトはいいけどネットはだめ?
よく部活などで「アウトはいいけどネットはだめ」などとたしなめられるのは、「アウトは思い切って打った結果だから仕方がないけど、ネットミスは日和っている」という位置づけであるとともに、あたかもネットミスは、注意すれば防げるケアレスミスのような認識があるからかもしれません。
野球の「空振り」はまだバットに当たる可能性があるけど、「見逃し三振」はかすりもしない。
テニスのバックアウトはまだ、相手がウォッチし損ねて手を出してくれるかもしれないけれど、ネットを越えなければそれすらないという可能性の有無もよく話題になります。
ゆえに、ネットミスよりも、オーバーアウトのほうを過剰に怖れるきらいがある。
なので多くのプレーヤーがスピン系ショットは、「回転の効果で落とし込む」イメージを持つに至ります。
とはいえミスはミスで、1ポイントの重みは同じです。
▶スピンに関する「真逆のイメージ」
「回転の効果で落とし込む」。
これは実は、なかなかスピンサーブの強化を図れないイメージなのです。
安定しないし、威力もない。
もしこのようなイメージをお持ちであったならば、これからご説明する「真逆のほう」へ、改めてみてはというご提案です。
スピンサーブに下へ落とし込むイメージがあると、スイングが小さくなり、ラケット面をかぶせてボールを押さえ込むような打ち方になりがちです。
そのイメージに従ってフォームも縮こまります。
力強い安定したスピンサーブを打つプレーヤーが保有しているのは、このようなイメージではありません。
▶「弾むスピン」になるイメージ
効果的なイメージは、次のとおり。
スピンサーブは、「コートに着地して、バウンドしたら、回転の効果で高く大きく跳ね上がる」です。
「下に落とす」イメージと、「跳ね上がる」イメージとはまったくの逆ですが、ここに、スピンサーブの質、威力、成否を分ける違いがあります。
「跳ね上がる」イメージに改まると、スイングは自然と大きく、ダイナミックになり、上へ向かって鋭く振り抜かれるモーションになります。
▶ゴール地点を「走り抜ける」
別の例でいうと100メートル競争で、100メートル地点がゴールのイメージを持つと、最速にならない走りになるのと似ています。
110メートル、120メートルと「走り抜ける」イメージを持つことで、100メートル地点でのスピーディでエネルギッシュなスプリントが叶う。
前者の100メートル地点における走行フォームは、縮こまっているでしょう。
後者は、手足の躍動がダイナミックでしょう。
そのようなニュアンスの違いが実際に現れます。
ちなみにつけ加えると、体幹をダイナミックに使って走るのではありません。
体幹はスタティック(静的)に活動して走行を支持するから、手脚のダイナミックな動きが安定して稼働できます。
▶イメージが変わるとフォームも改まる
イメージに従って体は動きます。
スピンサーブにまつわるイメージが変わると、ヒザや肩、手首、つま先の使い方など、自分では意識できない細部にわたり、フォームも自然と改まってきます。
フォームは意識しなくても、イメージが改まれば、おのずとそのプレーヤーの体格や筋力、柔軟性、神経伝達スピードにふさわしい、合理的かつ最適な打ち方ができるようになってくるのです。
筋力や柔軟性がとぼしいのに、プロのフォームを表面的になぞらえようとすると、痛めたり怪我したりしかねません。
▶「工夫のための工夫をする」と楽しくなる
冒頭で述べた「工夫」というのがポイントです。
もともと禅由来の言葉ですが、できない不得手を、できるようになるにはどうすればいいかを、「工夫」する。
あるいは不得手は不得手のまま目をつぶり、自分ができる得手を見つける「工夫」をする。
そしてできている得手を、さらにできるようにするにはどうすればいいかを、「工夫」する。
かたや、やりたくない我慢を、どうすればやらずに済むかを、「工夫」する。
テニスに限らず、仕事でも家事でも育児でも、「工夫のための工夫をする」。
この「工夫」というのが智慧を開発する手段であり、困難や失敗やトラブルを、チャンスにすら変えるノウハウになります。
そうしてあれこれ「工夫」するのは「楽しい」。
それを心から楽しんだのが、発明王トーマス・エジソンでした。
だから、困難や失敗やトラブルに関するイメージも、前向きな印象に変化し、挑戦する気概も生まれてくるのです。
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