テニス上達メモ146.「遊び感覚」でやると楽しいからいちばん速く上達する!
▶日本伝統の遊びは「コーディネーショントレーニング」だった
昔から伝わる日本の遊びというのは、それがスポーツではなくても、運動能力を育むのにとても優れていると思います。
具体的には、目で見た状況に応じて体を適切に動かすコーディネーション能力。
たとえばお手玉は、7つあるコーディネーション能力のうちの「連結能力」「定位能力」「バランス能力」「反応能力」「変換能力」が鍛えられると、コーディネーショントレーニングの第一人者である東京保健医療専門職大学の東根明人(あずまねあきと)特任教授は伝えています。
▶ハイボレーをガシャる理由
その中のひとつ「定位能力」とは、いわゆる距離感に関わる内容。
テニスでもハイボレーが届くと思ったら、届かなくてガシャッたり、届かないと思っていても届くボールであったりしますよね。
こういった距離感をつかみ、目で見たボールに応じて体を適切に動かせるようになる。
もちろんテニスはラケットという道具を扱うスポーツですからそのぶんの難しさはありますけれども、お手玉などで「定位能力」が培われているプレーヤーは、そのあたりも器用にこなせそうです。
▶「福笑い」が「ノールックショット」に役立つ!?
あるいはこちらでご紹介した「福笑い」。
これもスポーツではないけれど、テニスに必要な能力が育まれます。
目で見た状況に応じて体を適切に動かせるコーディネーション能力に比して、目で見ないで3次元空間にあるもののレイアウトがイメージできる「空間認知能力」を育みます。
これもテニスに必要ですね。
テニスは打つときには相手コートを見ずに、ボールを見ながら打つからです。
狙う先を見ずにコントロールするノールックだと上手くいく(関連記事「テニスも野球もゴルフもサッカーも上手い人の『ある共通点』」)。
遊びの福笑いでそんな能力を得ている人は、ノールックショットも自信を持って打てるのではないでしょうか。
▶フォームはどうあれ成功する
あるいは「スイカ割り」。
最初にスイカのある位置(距離や方向)を目で見て確認したら、 目隠しをしてその場でグルグル数回転。
ターゲット(スイカ)を見ずにノールックで体をコントロールします。
これもテニスでは、たとえばロビングで頭上を抜かれて後ろを振り返り、走って行った先で前を向き直して打つようなシーンに当てはまりそうです。
そして空間認知が正確であれば、棒を持つグリップがコンチネンタルであろうとイースタンであろうとウエスタンであろうと、スタンスはクローズであろうとスクエアであろうとオープンであろうと、要するにフォームはどうであれ、スイカを叩き割ることに成功するのです(関連記事「イースタングリップとウエスタングリップのどっちがいい?」)。
▶やっぱり誰もが「スーパーサイヤ人」
ちなみにスイカ割りで数回転すると、三半規管が混乱してまっすぐ歩けなくなりますが、フィギュアスケートの選手はスピンしてもそうならないのはなぜでしょうか?
目隠しをしていないからでもあるのですけれども、鍛えられると人は「進化する」からなのだそうです。
やっぱり誰もがスーパーサイヤ人。
私も感じているように歳とともに体の衰えにはどうしても抗えないですが、心と技は鍛えれば進化する余地はあると感じています。
そのための「遊び」。
お手玉や福笑いなどは、フィジカルを要しないですからね。
遊びながら身につけると「楽しい」から、いちばん早く上達します。
子どもたちの上達が速いのは、考えない以外にも、遊ぶ感覚が強いからです(関連記事「ジュニアが『速く・高く』上達する理由」)。
▶仕事が「嫌になる」理由
ところで私から言わせてもらうと、フォーム矯正というのは、楽しいでしょうか?
楽しいという人なら、それは上達するかもしれませんけれども、基本的にそのアドバイスは「今はこういう悪いフォームになっているから、こういう良いフォームに直しましょう」という現状否定のニュアンスを孕みます。
否定されると人は「防衛本能」が働くから、自分でも気づかないうちにうっすらと「テニスが嫌になる」伏線が張られます。
仕事が嫌になるのは、人間関係の問題や、長時間労働による心身に及ぶ辛さなどもあるでしょうけれども、遊び感覚が乏しいからでもあるはずです。
するとますます楽しくないから、上手くいかない、上達しない。
こういうと不謹慎のそしりを受けそうですけれども、「人生」も遊び感覚でいかないから、嫌になるのかもしれません。
▶「遊び感覚」でやるのがいちばん速い
日本では、結果を出すためには苦労や我慢をすべきだとする美徳の価値感が、まだ残っているように感じます。
ですから日本代表選手がオリンピックの舞台を楽しみたいなどと言うと白眼視されて「お国のために頑張れ」などという圧力が強まりがちです。
繰り返しになりますが、楽しみと集中はペアです。
ですから遊び感覚でやるのがいちばん早く身につきます。
そういう点でお手玉や福笑いなどは、まさに「遊びそのもの」だったから、それがスポーツでなくても、運動能力を育むのにとても優れていたと思うしだいです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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