テニス上達メモ 058.「指導しない指導」が、最大級の効果を発揮する
▶「無意識的」であればあるほど、強く影響を受けやすい
ミスするたびに、「あーあ」「ダメだ」「調子が悪い」などと、言っていませんか?
「そんなの無意識に出るただの口癖のようなものだから、仕方がない」などと、軽く思っていませんか?
これは、テニスの上達をかなえるうえで、望ましくありません。
無意識的であればあるほど、私たちは強く影響を受けやすいからです。
▶「サブリミナル効果」を効果的に使う
人は、はっきりとした意識的なメッセージよりも、無意識的な「暗示」に、より強く反応し、現実的な影響を受けるとされています。
かの有名な「サブリミナル」です。
昔、アメリカ・ニュージャージーの映画館で「ポップコーンを食べろ」「コークを飲め」という、目に見えない3000分の1秒の速さで、瞬間的なメッセージをスクリーンに5秒間隔で差し入れたところ、ポップコーンの売り上げが57.7パーセント、コーラは18.1パーセント伸びたといいます。
仮にスクリーンに、堂々とポップコーンやコーラのCMを派手に流したとしても、恐らくそんなに売れなかったはず。
ハッキリとした意識的なメッセージになりますから、反応薄なのです。
▶「ダメだ」が口を衝くと、本当にダメになる
意識的なメッセージは、それを受け入れるかどうかをコントロールできますが、無意識的なメッセージは、意志の力でコントロールできません。
一瞬で刷り込まれます。
つまり無意識的な「あーあ」「ダメだ」「調子が悪い」の口癖は、サブリミナルの効果で私たちの脳に、「あーあ」な自分、「ダメだ」な自分、「調子が悪い」自分を作り上げます。
▶意識的なメッセージはコントロールができる
逆に、たとえば強く意識して、次のように唱えてみる。
「自分はダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ、本当にダメなやつなんだー」と。
いくら唱えても、あんまり自分をダメだとは思えませんよね(笑)。
意識的なので、「いや、実はそんなにダメじゃないかも?」などと思えるコントロールが効くからです。
逆に「おごることなく邁進する自分は、むしろ立派である!」などと、ダメを覆す逆メッセージにすらなり得るかもしれません。
▶「指導しない指導」が、最大級の効果を発揮する
見方を変えて選手を指導する立場に置き換えると、「君はできる!」「君なら勝てる!」と意識的に声をかけても、あまり効果的ではないという筋書きになります。
それは選手のほうで、「そんなの嘘だ」「無理に決まっている」「お世辞に違いない」などと、否定的なコントロールが、意識のうえでできてしまうからです。
こんな場合は指導者自身が、「この選手ならできる」「やってくれるだろう」「任せて安心だ」「大丈夫に違いない」などと、心の中でソッと思い込むだけでいい。
そうすれば、そういう選手への思い入れが、普段のコミュニケーションのなかに「ちょっとした仕草」や「何気ない態度」としてサブリミナル的に現れますから、選手自身「自分はできるかも!」「やれそうだ!」などと、無意識的に思い込む。
そうすれば最大級のセルフイメージが育まれ、実際に勝てる気がして、勝つ可能性が高まります。
▶無意識的に生徒の学力を高めた「ピグマリオン効果」
この方法はテニスコーチのほか、親や教師、先輩、上司などの立場にある人が使ってみても、素晴らしい効果を発揮するでしょう。
かの有名な「ピグマリオン効果」です。
アメリカ・サンフランシスコの小学校でデタラメなテストを実施。
担当教師には「成績優秀者のセレクション(選抜)だ」と説明します。
その後、テストの成績とは関係なくテキトーに生徒を選出。
「この生徒たちは成績が伸びる一群である」と伝えたところ、数か月後にはその生徒たちの成績が実際に向上した。
▶指導側が「できる」と錯覚すると、生徒は「できる」ようになる
担当教師が「この子たちは勉強ができるに違いない」と思い込んだ結果、コミュニケーションの節々で、無意識的に思い入れが生徒たちに伝わったのだと考えられます。
それが生徒たちに、サブリミナル的に作用した。
1963年から1964年にかけて行われた実験を通じて検証を重ね、アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールらが、1968年に提唱したとされます。
▶人を変える無意識的なアプローチ(悪用厳禁)
基本的に、人を変えることはできません。
だけど恋人に対してつい、変えたくなってしまいがちです。
「ここを直して!」
「だらしない!」
「ちゃんとしてよ!」
それは、直接的に変えようとするから、相手にしてみれば意識的なコントロールによる反発ができてしまうからです。
それで相手を「変えられた」としても、それは表面的な変化で、無意識的な領域では無理を強いていて、実は頑な反発を強めるだけだったりしかねません。
ところが無意識的に働きかけるアプローチだと、人を無理なく変えられる可能性があります。
直接的に注意するのではなく、さりげなく(サブリミナル的に)第三者を通じて「あなたのこんなところが素敵」などと吹聴してもらったりすると、性格や態度が改まる。
するとそれを聞いた恋人が、「ピグマリオン効果」で無理なく変わってくれる可能性があります。
さて、逆手に取られる私たちといえば、無意識的に働きかけてくるアプローチには、よくよく気をつけなければなりません。
▶SNSの「見たくない広告」に要注意
日々接しているSNSなどでも、ページを切り替えるたびに、「見たくもない広告」が表示されたりしますね。
「見ずに、すぐ閉じれば大丈夫」とあなどっていると、危険です。
無意識に刷り込まれているかもしれません。
スポンサーは、それを狙っているのです。
▶「世間軸」ではなく「自分軸」で生きる
広告だけではありません。
手を変え品を変え、政府やマスコミは畳みかけてきます。
「これがないと不幸ですよ」「そんな生活で満足ですか?」「みんな持ってますよ」「それじゃあ、不便ですよね」「今、これが流行りですよ」
いつの間にか、刷り込まれています。
どうすればよいか?
君子危うきに近寄らず。
SNSや政府、マスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、距離を置いて「自らに由る」。
それが、「自由」。
「世間軸」ではなく、「自分軸」で生きれば、間違いありません。
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