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質問153:声をかけるのは集中を途切れさせる?

少し前にこちらのHPが見れなくなりヒヤヒヤしましたが、無事復活されて安心しました。
 
全国のZEROファンの方々もホッとした事と思います。
さて、久しぶりに質問お願いします。
最近、ネット検索していたら過去にNHKの「ためしてガッテン」で「集中力」について

 
取り扱った特集があったようです。
 
それを読むと集中力が途切れるのは「知っている人の声」というような事が載っていました。
 
確かに、レッスン最後の試合形式などで、うまく攻める事が出来き、チャンスボールが
 
来た時にコーチに「チャンス!!」と声を掛けられると失敗してしまうな〜とか、
 
いい感じで集中出来てラリーが続いている時にコーチに「ナイスボール」と言われると
 
次のボールをミスしたりとか。(決してコーチのせいでは無いと思いますが)
 
そうやって考えてみると、試合中にチャンスボールが来た時にペアに「落ち着いて!」とか
 
「お願い!!」とか「チャンス!」などど声を掛けるのは集中力を途切れさせる行為だったのかな?
 
と思うのですが、声掛けはしない方が良いのでしょうか?
 
あと、関連して質問なのですが子供がバレーボールをやっていて試合の応援に行くのですが

 
サーブの前、レシーブの時など自分の子供の名前を呼んで「○○(名前)ナイスサーブ一本!!」とか
 
「○○レシーブしっかり!!」などと声掛けるのは子供の集中力を妨げる行為なのでしょうか?
 
熱心な保護者が多いため、かなりの声援なのですが自分の親の声はよく聞こえるそうです(苦笑)

回答
※恐らく12年前にいただいたご質問にお応えした回答の加筆修正なので、過去の話題が含まれます。


▶掛け合う声の内容は「どうでもいい」


ウェブサイト休止中はご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
 
より楽しんでいただけるよう、自らにムチ打つ思いです。
 
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、ダブルスのペア間におけるお互いの声の掛け合いというのは、具体的な内容というよりも、リズムや流れを作り出すような役割もあるので、人によりますが、一概に悪いとも言えず、逆にそれは集中状態をリードする手段となり得ることもあります。
 
その場合、内容はほとんどどうでもよくて、「集中!」でも「先リード!」でも「1本挽回!」でも、何でもいいわけです(笑)
 
一方、「お願い!」「チェンジ!」などのペア間におけるプレー遂行上のコミュニケーションは、ないと支障をきたします
 
任せるのか、自分で捕るのか、微妙な場合は素早い決断が成否を分けますから。
 
プロはカッコ良く「You!」と言ったりしますよね!
 

▶対戦相手の「フォアの調子」を崩す方法


とはいえ、具体的なプレーの仕方に話が及ぶと、ちょっと意味合いは違ってきて、プレー中に「1回落として!」とか「慎重に!」とか言うのは、本来、プレーヤー本人が決めることであって、パートナーが口出しする筋のものではない(関連記事「アドバイスによって集中しにくくなる」)。
 
そのような内容のある声掛けは、思考や感情を刺激するので、集中力を切らす要因になりやすいと言えるのではないでしょうか。
 
たとえばストロークの調子がいい対戦相手に、「今日はフォアの調子がとてもいいね!」と伝えてみてください。
 
相手はフォアを意識し、調子を崩しますから(苦笑)
 
錦織圭のコーチ、ブラッド・ギルバート著の『ウイニング・アグリー』は、確かそんな論調ではなかったでしたっけ?

何しろ訳すと「醜く勝て」ですからね。

▶「知っている人の声」はハッとする


バレーボールでお子さんの名前を呼ぶのは、状況にもよると思います。
 
いつものことなら気にはならないでしょうし、先述したように、リズムや流れを牽引する手段ともなり得る
 
だけど、それが特別な決勝戦等で、初めて見に来た親御さんが大事な場面で具体的な内容のアドバイスについて声掛けしたりすると、集中が途切れることがあるかもしれませんよね。
 
いずれにしても、「知っている人の声」というのはおっしゃる通り、突然掛けられると「ハッ」とさせられるところがあると思われ、指導者も、調子のいい生徒さんが夢中になってプレーしているときに、あえて何かを意識させるような声掛けは、しなくてもよいと思います。
 

▶「カクテルパーティ効果」で分かること


カクテルパーティ会場が騒がしいにも関わらず、自分の名前がどこかで囁かれたら気づいてしまう効果に似ています。
 
私たちは、目に入っているものすべてを見ているわけではなく、耳に入っている音や声や話をすべて聞いているわけではなく、興味のある対象に限って脳が認識して、私たちに見せたり、聞かせたりしてくれています
 
ですからテニスの上達に関して言えばボールを見ているつもりでも、フォームや対戦相手や結果のほうに興味があると、ボールはたとえ視界に入っていたとしも「見えていない」という事態も起こり得るのです。
 
それが証拠に、スマホの画面にはいくつかのアイコンがあるでしょうけれども、そのときに興味のないアイコンは、視界には確実に入っているにも関わらず、ほとんど認識されていないはずです。
 

▶不安から抜け出す魔法の言葉


NHKといえば、1月25日放送の「あさイチ」の内容がためになりました。
 
不安が発生するメカニズムや、それを克服するための対処法、客観視についての分析にも触れ、テニスに活かせる内容でした。
 
カレーライスの絵を見て「おいしそうだ」とか「おなかが空いた」などと雑念を湧かせずに「カレーライスの絵である」と、ありのままに見ることの大切さを、禅の話も絡めながら楽しく紹介されていました。
 
↓このページだけでは伝わりにくいかもしれませんが、一応URLです(※現在は「あさイチ」のトップページへ飛ぶようです)。
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2012/01/25/01.html
 
さかのぼって調べてみると、私たちテニスプレーヤーにとっても役立ちそうな「魔法の言葉」が紹介されていましたので、引用して加筆させていただきます。

不安から抜け出す魔法の言葉
不安からどうしても抜け出せない、そんなときにお勧めしたい魔法の言葉が「・・・と、思った」という言葉です。

例えば「自分は何をやってもだめな人間だなぁ」と思ったとします。そんなとき「自分は何をやってもだめな人間だなぁ、と、思った」と最後につけると不安から抜け出しやすくなります。

これはどんな場合でも使える簡単な方法ですので、ぜひ試してみてください。
※専門家ゲスト:熊野宏昭さん(医師・早稲田大学人間科学学術院教授)

「ガッテンコラボ “不安病”を防ぐ!脳トレーニング」

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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero