意地悪な

かなり前の掘り出し話

元料理人の方と仕事をする機会があった
そんな人に私が意地悪な質問をしたときのこと

その前に
わたしは言葉に頼って自分を表現している
絵でもなく、声でもなく、身体でもなく
文字である

その方は料理で表現していたのは
味であり、見た目であり温度であり食感である

五感に与える影響を占めていると思ったと同時に
つくる側の世界を知らないわたしはこう聞いた

「もし味がわからない人が来たらどうしますか?」
とたずねた、その方は迷わず
「食感を楽しんでもらう、味が分からなくても口の中の食感は伝えられるはず」
「本当に味が分からないだけなら、香りや見た目で伝えられるところで勝負する」

うん、なんかこの答えを聞いた時
迷わず答えられることに感動したのを覚えてる

常に五感を意識していて料理と向き合っていた方だと強く感じた

何故これを今思い出したか
文字に頼るわたしに対してのアンチテーゼになると

私自身に問う
「文字が見えない、読めない、聞こえない人に対して自分の考えを伝えるにはどうすればよいか?」

点字に直して…なんて少し違う
方法としては間違いではないが

他の五感に訴える
外の世界に連れ出すこと
手に水や氷を、身体を太陽に委ねること等で
伝えられる部分があるはず

いつだって言葉や文字は伝える為の
数ある中のひとつだと
そこに拘るなら、執着するのなら余白として
手段が断たれた時にどうするかくらいは考えても
いいのかもしれない

そして考えの枠を壊してくれたあの方に感謝
今頃夢を叶えているといいなあ





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