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Thrill Me 配信感想の2:木村前田ペア

哀しい様子の私を見て喜ぶ彼という図があって、それが2人のゲームだと私は考えている。彼が消えたら一生苦しむ私が見えて楽しいだろうに、彼は私の元に戻ってきた。どうして?
卒業したから? 家督を継ぐ必要があるから?
ていうかそもそも、どこかに行った彼っていうのは彼自身の意思で遠くに行ったんだろうか?

彼が血の誓いを誰かと交わした経験を私が知らない、ということは、大学4年の転学と、転学前の夏休みに1人でどこかに行ったときのどっちかだろう。ひょっとして、そこで彼は誰かから傷つけられた可能性があったりする?
『血の誓い』という発想が彼以外の誰かから出てきたものだとすれば、何か彼のコンプレックスを刺激するような経験をしたのかもしれない?でなければニーチェのような、なろう小説の主人公みたいな思想に染まらないと思う。

Thrill Me 配信感想:木村前田ペア|tenko (note.com)


はじめに

前々回のnote(スリルミー配信感想)でこのように記述しました。そこでは彼の動機は『劣等感』だと定義して、感想を書き進めていました。
自分の感想を読み返し、「もしかして、内在的な鬱屈ではなく、外的要素のある抑圧では?」と思いつき、今回のnoteを書いています。
取り上げているのは木村前田ペアの前田彼がメインです。
割とまともにまとめてるような書き方ですが、途中でもういいやってなってます。

たぶん貴方が思うこと

彼が言うセリフに、
「うちは最近、親父がケチで」というくだりがある。そこに少し引っかかった。
すぐに2つほど理由は思いついた。1つは父親の経営する会社(?)が傾きかけている、もう1つは彼が放蕩息子で散財するので、使える金を制限されている。

彼は高校のころから窃盗の常習犯で、寮で同じ部屋の級友から高価なタイプライターを盗んでいる。
でも、私が「君も僕も裕福」と言っている。私と彼は幼馴染で、親同士も親交が有りそう。であればお互いの経済状況はある程度分かるはずで、34年後の私が特に「彼の罪には経済状況の悪化が有って」などと言っていないので、1の線は消えたとみていい。

とすれば、彼が放埓な子供だったのか。いわゆるバカ息子? でも成績は優秀で、たぶん外面がいい。
寮(ギムナジウム)っていかにもエリート校…親元から離れて私と彼が寮生活をしてたんだろうな。
私「大学はこっちで」って言ってたから、大学は地元? 4年の時に彼が半年間転学していて、そこで院を卒業した?

彼の動線には2回謎がある。高校から大学卒業まで5年間(高校は2年スキップしたし、大学はどんな頭良くても4年通うみたいだし、途中で大学院に転入できるのかは謎だけど院も卒業した設定だし)の間に、2度、私にも黙ってどこかに消えていた。私が「黙っていなくなった」と言ってる。
いなくなるのはなんとなく理解できる。彼ほどの頭の良さと交友関係の広さなら外の世界に興味を持って当然だから。
「でも戻ってきた」と私が言った、その理由が気になった。

元の事件の地域と年代、地域はシカゴで年代は第一次世界大戦よりも4~5年前。シカゴは保守的な町で、どれだけ保守的かというと体育の教師が「キリスト教の天動説おかしいが。地球が動いてんだべ」ってガリレオを支持しただけで裁判で有罪になったほど。(モンキー事件)
なお無罪に持って行ったのが、彼と私を弁護して死刑を回避させた有能弁護士だそうだ。

宗教的にも学問的にも時代遅れで古くて、知識欲のある人間だったら退屈で仕方のない町から抜け出すことが出来ずに一生を終えなければいけないとしたらどうだろう、と思った。
鬱屈が地域全体を覆っている。それが普通だと思って過ごしてきた彼が、誰かに誘われてかそれとも自分の意思でか、町の外に出たときに初めて息を吸えたような新鮮な気持ちになったとしたら、自分の境遇をどう思ったんだろう。
外には自由がある。でも自分は家業を継ぐかなんかで地域のコミュニティから離れられない。
離れるか残るかの意思決定権が自分には無い。彼の人生を父親が握っていて、彼の未来は父親によって決められる。
父親は彼ほど頭がよくない。弟は彼の少し下の年で、高校でスポーツをやっててあんまり頭が良くない。
でも父親は弟ばかりかわいがるし、彼にはきつくあたる(自分の会社を継がせたいから)。
頭のいい彼が、凡人の父親によって行動を制限される苛立ちが、窃盗や放火といった形で噴出したのではないか。
(社会風俗的に、この時代で彼の家庭環境を思うと父親に逆らうルートは無さそう。深層の令息って無茶はしてても父親に従順なイメージがあるので)
それで、彼は「町を破壊してやる」と歌ったんじゃないのかな。ここの歌い方がすごいパワフルだったから。
この町から出られないなら、この町を壊す、社会通念を壊す。
1度目の出奔で好きな男が出来たのでは? そこで血の契約書を交わしたのかもしれない。
連れ戻されて、たわむれに私を誘ったら私が簡単に彼に恋してしまって、そこから関係性が歪んだのでは、と思った。

彼は割と思いつきで行動してしまう人なのかな。本来ならきさくで調子が良くて、頭がいいから悪知恵も働くけど基本的に楽しいことが好きで友達が多いタイプだ。
なんでも好きにできて未来が明るかったのに、いざ自分が好きな道を見つけたら親に禁止されて、親次第で転落してしまう不安定な立場だと気が付いた。家出すれば解決したかもしれないけど、親の築いた財産はどうしても必要だった。だって金がないと何にも出来ないし、苦労なんかしたくない。反抗期もあったかもしれないが、頭がいいから盗んだり壊したりしても親や先生にバレないように上手く立ち回った。私も手助けしてくれた。
ひょっとして父親にバレたことがあったのか。叱咤され、兵役につけとか言われたのかもしれない。ツーアウトくらいの状態だったのか。
彼はもともとポジティブだから挫折も引き受けるし忍耐をもって挑戦できるけど、父親はそんな彼に、挑戦すらさせてくれない。
だって父親の命令は絶対だ。

ちゃんとしたメンターがついてたら良かったのかな…。
あるいはあと1~2年我慢してたら、彼にももちろん私にも別の道があったように思えた。彼は人を殺すことを思いとどまったし、そしたら警察に捕まることも私に捕まることもなかった。え待って、駄目じゃん。
私は彼を追ってた。彼には遊びでも私は本気だった(なんかそういう文脈よく見かけるわ刑事ドラマとか?)。本気だったの!!!

彼はめちゃくちゃをやっても行動に思考が追い付いてたから今まで何をやってもクリアできてたけど、私という化け物に魅入られてしまって、運命が狂ったのかもしれない。彼があの時(どのとき)気まぐれに私の額にキスなんかしなかったら…! 知らんけど…!

afraidの歌では弱み爆見せでアンニュイどころじゃない。苦悩する男性の姿がこんなにセクシーなんだと身をもって実践してくれた前田彼に最敬礼しかない。永遠に観ていたい。稽古場からずっと録画していたい。あれがあったから、ほかの彼のafraidに興味が湧いたし、1ペアだけ配信終了で手遅れだったけど山崎彼の懊悩は観られて良かったです。
不遜で傲慢で自分勝手だった彼と、刑務所で泣き叫ぶ彼との落差が大きくて、スカッとジャパンかなと思ったし、tiktokでずっと眺めていたい。前田さんありがとうございます。今のわたしはナウシカのエンディング画像です(帽子のよこで何か芽吹いた)。

木村私は細い糸を入念に張り巡らし、彼を絡め取った。ハングリースパイダー(槇原敬之)のバッドエンド分岐で「あの子を逃がさなかった」世界線。
ちなみに松岡私は波動だと思います。ドラゴンボールとかで半円の穴が開いて敵が倒れるシーンとかあるじゃないですか、あれ。なんだったら印を結んでドーンや彼。

メモ(散文)

前田彼を配信で観てて頭にわいてきたのがオペラ『フィガロの結婚』の「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」です。
歌詞がね…ていうか彼って父親の浮気相手も寝取ってたりして。父親もかっこよかったら浮気相手いそうだし、なんなら世間的にタブーだっただけで同性愛の相手とかもこっそり居そう。エリート校なら寮生活だし、美少年とかいそう。

それと、木村さんと前田さんで体格が似ているので、なんとなく二人静とか思っちゃう。
素人の妄想だけど、木村私がツレで前田彼がシテ(前シテ&後シテ)、後半でシンクロして2人が歌うところなど、能楽よなあと思いました。

それと、私「待ってたよ」 →これって私が彼と待ち合わせるときっていつも私が待たされてたのかな、と思った。
彼が来て、私が「待ってたよ。遅かったね」 彼「少し遅れた。教授に呼ばれて」 私「気にしないで」って流れが定番だったのかな。まだ関係が良好だった時。
昔の2人のたわいもない会話を思い出してふとつぶやいて、最後の泣き笑いからの絶望を思わせる表情になったのではないかなと思うなど…。

カーテンコールは、ジョックが2人でナードのふりをしてたって思わせるほど空気がはつらつとしてて良かったです。わたしが行った回ではにこにこ笑い合ってて良かった。
舞台上ではスリザリンだったのにカーテンコールはグリフィンドールだった。(ピアノはハッフルパフ)

それと、私と彼は原作ではネイサンとリチャードで、リチャードはともかくネイサンは姉さんに聞こえる? 
レイはまだギリで日本人名にあるし、物語の中でも私の名前呼びは重要なキーワードだから残すほかなかったのかもしれない。

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