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世界で一番白くて柔らかい

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19年一緒に暮らしたにょっきとの出会いから別れの記録です。
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世界で一番白くて柔らかい⑤

にょっきとは一緒に3回ほど引っ越しをした。 環境になれるのに時間がかかる、猫は家につくなどの知識から、ストレスで不安定にならないかな?と心配していたけれど傍目には全く普段と変わらないにょっきだった。 わたしの方が変化に弱いじゃん、と思うほど安定していて、暴れたり泣き叫んだりもしなかった。 新しい家にもすぐ慣れ、自分の好きな場所をたくさん作った。母の部屋では、作業台の横にあるライティングビューローの上。そこでミシンをかけたり物作りする母を見下ろしていた。父のベッドにはよくに

世界で一番白くてやわらかい④

にょっきは、いわゆる猫しぐさでいうところの「威嚇」を全くしない子だった。 3.11、あの震災のあった日。 その1週間後、物流の止まった東京に住む義姉と生まれたばかりの甥が不安定になってしまった。 義姉と甥が疎開するように我が家にしばらく住んでいた時も、しばらく離れて様子を見ていたと思っていたのに気付いたら赤ちゃんのそばにずっといた。 赤ちゃんの泣き声にもびくともしなかったし、殴られたり掴まれてもなんのリアクションもせず淡々とそばにいてくれた。 赤ちゃんの甥はにょっきをはいは

世界で一番白くて柔らかい③

にょっきはとてつもなく元気で愉快だった。 帰宅すると玄関まで猛ダッシュで来て出迎えてくれた。 カーブを競輪選手のように体を傾けて突進、曲がりきれずよくクラッシュしていた。何事もなかったかのように体勢を戻し、にゃー(お、おかえり)と言いながら出迎えた。 抱き抱えると小さなにょっきはそのまま身体をよじのぼって肩に乗っていた。わたしの肩に乗ったままあっちへ行け、こっちへ行けと指示を出した。 洗面所で手を洗っていると走ってきて水を飲ませろとせがんだ。わたしの手のひらからしかお水を

世界で一番白くて柔らかい②

にょっきが初めて我が家にくる日は、綿密に打ち合わせをして設定された。 直前でペンネアラビアータが他所にもらわれることになって、ちょっと寂しかったけど母とそのことをとても喜んだ。 父が外出している日を見繕い、その日は朝から大忙しで母と2人でホームセンターやペットショップを周り猫グッズを買い回った。設置し、家の掃除。細かなものをしまったり、「ねこのきもち」を一旦買い読みながらその時間を待つ。その後ねこのきもちは定期購読され定期的に我が家に届くことになる。全員本好き、なんでもまず

世界で一番白くて柔らかい①

にょっきが我が家に来た日を昨日のことのように覚えている。 同居していた父方の祖母が亡くなって数年経ったその頃、大きな家から引っ越しをし、親子3人暮らしにちょうど良いサイズの家での生活にようやく慣れてきたところだった。 母は昔から動物と住みたいとよく話していた。母の実家には馬、猫、犬、鳥などたくさんの動物がいて一緒に育っていたらしくよくその頃のことを幸せそうに話していた。けれど、動物が嫌いだった同居の祖母は飼うことを許さなかった。 そんなある日、わたしの友人から「知り合い