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アメリカと比較して、日本のHRテクノロジーの遅れが10年どころではない件について

こんにちは、「データ分析やりたくて人事部に入ったわけじゃないのに」です。
日本のHRテクノロジーはとても遅れており、アメリカから10年遅れていると言われてきました。
しかし、私の肌感覚では10年どころではなく、深刻な状況だと考えています。
今回は、日本のHRテクノロジーが進まない理由について具体的に考察してみたいと思います。

1. 技術導入への保守的な姿勢

(1) 新技術への抵抗感

残念なことに、日本の企業文化には新技術や変革に対する抵抗感が根強く存在します。
もちろん企業によって濃淡はありますが、これを否定する人は少ないでしょう。。
特に大企業では、既存のシステムやプロセスに依存しているため、新しいHRテクノロジーの導入に慎重な姿勢をとりがちです。
この保守的なアプローチが、技術導入のスピードを遅らせています。

(2) リスク回避の文化

日本の企業は、リスク回避の文化が強いです。
新しい技術を導入することで生じるリスクや初期投資に対する懸念から、現状維持を選ぶ傾向があります。
ブロックチェーンがこれほど遅れを取っているのも、初期の不祥事にしり込みしてしまったことが大きいです。
HRテクノロジーについても同様で、積極的に採用する企業は比較的少なく、結果として技術の遅れが生じています。

2. 人材不足とスキルギャップ

(1) ITリテラシーの欠如

HRテクノロジーの導入には、高いITリテラシーが必要ですが、日本の多くの企業ではこのスキルが不足しています。
特に人事部門では、従来の業務に慣れているスタッフが多く、新しいテクノロジーを使いこなすためのスキルや知識が不足しています。

(2) 専門人材の不足

HRテクノロジーを効果的に活用するためには、データサイエンティストやHRテクノロジーの専門家が必要です。
特に、データドリブンでの人的資本経営を進めるにはデータ分析に精通した人材が不可欠ですが、マーケティング部門やデータ分析組織から人事部へ異動しようとする人は少なく、人事部におけるデータ活用は遅れを取っています。

3. 経営層の理解とサポートの不足

(1) HRテクノロジーの価値の認識不足

多くの日本企業の経営層は、HRテクノロジーの価値を十分に理解していないことが多いです。
HRテクノロジーがもたらす効率化やデータドリブンな意思決定のメリットを認識していないため、導入に対する積極的なサポートが得られません。
これはアメリカと比べても、大きな違いだと感じています。
日本の人事部は社内政治をうまく乗りこなすセンスが出世には必要だったため、こうなることはやむを得ないのかもしれません。。。

(2) 投資の優先順位の低さ

日本の企業では、HRテクノロジーへの投資が他の分野に比べて優先順位が低く設定されることが多いです。
経営資源が限られている中で、短期的な利益に直結する分野への投資が優先され、人事部門への投資が後回しにされる傾向があります。
自動車を筆頭とした製造業が強い日本では、ヒト・モノ・カネ・データの中でヒトは劣後とされているのかと思います。

4. 法規制と労働文化の影響

(1) 厳格な労働規制

日本の労働規制は厳格であり、新しいテクノロジーの導入に対して多くの法的要件を満たす必要があります。
このため、HRテクノロジーの導入プロセスが複雑化し、遅れが生じやすくなります。

(2) 伝統的な労働文化

日本の労働文化は、長時間労働や終身雇用といった伝統的な価値観が根強く残っています。
ありのままに勤怠時間を登録してしまうと36協定にひっかかってしまうため、偽って少な目に登録している人がこの日本にはどれだけいるでしょうか。。。
このような文化的背景が、新しい働き方やHRテクノロジーの導入に対する障壁となっており、変革のスピードを遅らせています。

5. 日本での打開策

(1) 意識改革と教育の推進

まず、経営層から現場まで、HRテクノロジーの価値を理解するための教育と意識改革が必要です。
セミナーやワークショップを通じて、最新のHRテクノロジーがもたらすメリットを学び、導入への抵抗感を減少させることが重要です。

(2) 専門人材の育成と確保

ITリテラシーの向上と、HRテクノロジーに特化した専門人材の育成が急務です。
大学や専門機関との連携を強化し、教育プログラムを充実させることで、必要なスキルを持つ人材を育成します。
また、外部からの人材採用も積極的に行い、専門性を持つ人材を確保します。

(3) パイロットプロジェクトの実施

大規模な導入に抵抗がある場合、まずはパイロットプロジェクトを実施し、小規模な環境でHRテクノロジーの効果を検証します。
Small Start, Quick Winで成功事例を積み重ねることで、全社導入への信頼と理解を深めることができます。

(4) 政府と企業の連携

政府と企業が連携して、HRテクノロジーの導入を促進するための政策や支援を整備することも重要です。
例えば、助成金や税制優遇措置を提供することで、企業が積極的に新しいテクノロジーを導入しやすい環境を整えます。

終わりに

アメリカと比較して、日本のHRテクノロジーの遅れは深刻な問題です。
しかし、意識改革や教育の推進、専門人材の育成、パイロットプロジェクトの実施、そして政府と企業の連携を通じて、この遅れを取り戻すことは可能です。
日本の企業が積極的にHRテクノロジーを導入し、競争力を強化するための取り組みを進めることが求められます。
人的資本を大事にする国にならなければ、優秀な人材の国内流出を止めることは難しいと思います。

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