見出し画像

4ヶ月で15キロ痩せて、不幸になるまで

⚠️長いです

Noteでダイエットと検索しても、見取り図盛山のダイエット記録がTOPを占めていて、ダイエットコンテンツの限界を感じた。
こんなにも有象無象のダイエットコンテンツが溢れているというのに、一見して情報の薄い芸能人のペラペラに思える日記が一番見られているなんて。
あんなに流行った16時間断食は何だったのか、アサイーボウルは何だったのか。
こんなもんじゃないだろ、ダイエットコンテンツ。

成功したのだろう

この文章は盛山さんとは全く関係ない。

これは「太った女がちょっとキツめのダイエットを続けた結果、案の定リバウンドする話」でなんの面白みもない。結果的に不幸になっている分、「食べながら痩せた5つの方法」よりはマシだと思う。痩せる方法とかもう飽きてるだろうし、期待しないでほしい。

結論、ダイエットはクソだ。

発端

大学2年生の冬、バイト先に細身のイケメンが新しく入ってきたことがきっかけで自分の容姿を気にするようになった。

私は誰がどう見てもブスだ。
自信がないからとかではなく、客観的に見て、崩れている。
どのくらいかというと、友人から「おかめ納豆のアレに似てるね」と言われたくらいだ。

人相が良いのが救いだ



「そうでもないじゃん」とか思っただろうか。


めちゃくちゃ気を遣われてこのレベルだ。
シュレックとかドンキーコングとかに例えられるよりもリアルに想像できるラインだと思う。
当時は、まあ、別に、納豆は好きなので不快ではなかった。

小学校高学年くらいから自分の容姿に自覚はあったので、なんとなく受け入れて20年間を過ごしてきた。
高校で同級生が卒アルの写真を見て阿鼻叫喚の最中、私はずっとニコニコ動画で音MADを見ていた。クラスの担任よりも松岡修造の顔の方がだいぶ親しみがある。
そんなに自分の容姿に興味がなく、他撮りの自分を見ても「うん、いつもの顔だね」以外の感情はなかった。

今までまともに異性と喋る経験がほぼ無いに等しかった私は、バイトでの気まずさを回避するためだけに交わされる細身くんとの雑談で、外からの見られ方を気にしはじめた。「年頃の女子」になった。

スタートは59.4kg。服はずっとLサイズ。「人生を変えられるくらい自分に自信をつけ、あわよくば細身君の恋愛対象に入りたい」と思いながら、なんとなく体重と食事を記録することから始めた。

(スタートから半年後の昨日、細身君にはもとから彼女がいたのを知らされたのであのダイエット期間を成仏させるべく、この文章を書いている。)

最強構成

記録をし始めてから一週間後には体重が変化したので、すぐに食事を制限した。食事制限の方法はカロリー計算&PFC管理で、レコーディングダイエットも兼ねていた。運動はほぼゼロで、1日一万歩を遵守した。
分量、栄養素、調味料全て記録していくなかで一つの正解にたどりついた。

この献立は1ヶ月かけて導き出した最強の構成である。ほぼほぼ毎日食べていた。

白米180g(ご飯1パック分)・鶏胸肉100g(茹で・皮無し)・キムチ・わかめの味噌汁

白米と鶏胸肉でエネルギーをつけて、味噌汁で早食いを防止しつつ満足感を満たし、味の濃いキムチを添えることで淡白さをカバーする。475kcalと低カロリーなので調味料にごま油を使ってもよい。

全く飽きなかったのでまた痩せようとしたらこの構成になると思う。

鶏胸肉は味、カロリー、調理のしやすさ、全てにおいてトップに位置する満足度ぶっちぎりのTier1のぶっ壊れカードで、ダイエットをしたことある人なら誰もが通る道。

自分で大量に冷凍しているものを食べていると、コンビニのサラダチキンが心の底から美味しい。美味すぎる。

何より安い。栄養のあるものとビタミンは高い。アメリカの貧困層の肥満率が高いのも、そういうのが関係していると思う。(たぶん)

おそらくダイエットに知識がある人は、主食がさつまいもや玄米ではなく白米であることに引っかかるだろう。(引っかかった人はモデル並みの意識であることを自覚すべきだと思う)

この献立なのは食事の幸福度が最も高くなる編成だったからだ。

食事幸福度評価法

ダイエット時の食材に対する幸福度はカロリーと満足度のバランスで決まる。
例えば、キャベツサラダは低カロリーだが、満足度は0。幸福度はまあまあ。
牛丼は中カロリーの割に高満足度なので幸福度は高い。

そして、満足度は好物や食に対する関心の度合いで人によって違う。
私の場合、高満足度の基準が食べ応えと好物だったから、肉と果物類が比較的幸福度が高かった。玄米ではなく白米が一番好きな食べ物だから、白米さえあれば、おかずがただのタンパク質の塊でもよかった。

意外と幸福度が低かったのが優秀食材と名高いゆでたまご。まるで食べた気がしないのにカロリーが高い。初期に結構な頻度で食べてて後悔してた。
カロリーを返してほしい。あのときのカロリー貯めてれば一泊二日の旅行くらいいけた。

1個84kcalの食べ心地の無い茹でた卵を栄養のために嫌々食べるくらいなら、1個104kcalの薄皮つぶあんパンを食べた方が、「長期的に」見れば幸せだという考え方だ。

ダイエットの4ヶ月は十分、「長期」に入る。と信じている。

薄皮クリームパンと薄皮つぶあんパンでは、つぶあんの方が29カロリー高い。なのにつぶあんを選ぶのはタンパク質量がクリームの2倍あるからだ。

しかし、ゆでたまごのタンパク質量は薄皮つぶあんパンの10倍である。

どの味を選ぼうがどうでも良いことに内心気づいているのに、理由をつけてつぶあんを選ぶのは「細かく計算しちゃうストイックな私」に相当酔ってたからだと思う。完全にストイックを履き違えている。

だいたい、一個では済まない


あと、ゆでたまごの優秀食材風のポジションが気に食わなかった。タンパク質至上主義的な最近の流行にうっすら逆張りをしたかっただけなのかもしれないが、鶏むね肉を崇拝している時点で同類なのは明らかだ。

菓子パン等のお菓子は高カロリーかつ満足度0の禁忌であることがわかりきっていたので、評価対象にはしなかった。

これが良くなかった。

幸福度試験未受験の結果、嗜好品は自分の食材評価法そのものを破壊した。

評価システムの名の下に無意識に「禁止食材」が生まれ、後の過食の引き金となるのだった。

幸福度が最も高くなる食材を探し、自分の最適な方法の中で消費>摂取カロリーを続けていれば"無理なく"痩せられると思っていた。だって一番好きな白米がこんなに食べられるんだから。

基本は一日2食、昼は鶏むね定食、夜はりんご半個と茹でたさつまいも100g。(甘味は絶対に要る)

ときどき魚や練り物、レトルト食品を挟みながらこの食事を続け、一週間で1kg、1ヶ月4kgのペースでみるみる体重が落ちていった。
(1ヶ月2kgの減量が理想とされている)

3ヶ月目まで 58kg→47kgくらい


そして、いつの間にか基本1000kcal以下、タンパク質50gという制限をかけるようになっていた。

体重を管理する快感が強かったため、我慢しているというよりも1日の摂取カロリーを1000kcal以下でいかに幸福度をあげられるかのゲームしている感覚だ。

悪魔の食事管理アプリ あすけん

食事制限をゲームに変えたのは、変えてしまったのはあすけんのせいである。
あすけんが全部悪い。

あすけんにハマると、だいたいの食品のカロリーが成分表示を見なくてもわかるようになるし、普段の食事がいかにバランスの悪いか痛感する。

あすけんが無ければ痩せなかったし、リバウンドもしなかったかもしれない。食べた物、運動量、その結果(体重)が全て数値化されることによるメンタルへの影響は大きかった。

体重が増えたり高カロリーなものを食べた時に感じる罪悪感以外に、入力する時、入力した数値を見返した時も罪悪感が生まれ、罪悪感が倍になる。

低カロリーで抑えられたときの快感も倍になる。
目の前にポテチやポッキーがあっても、あすけんが「これを食べると1000を超えて、綺麗な数値でなくなる」と語りかけてくる。

体重のグラフと食事の日記は、何も成し遂げたことがない空虚な人生だった私にとっては努力の証だった。

体重測定の快感

体重の推移グラフを眺める気持ちよさは、倹約家が通帳を見るときや自称インフルエンサーが初めて万バズを経験した時の快感に近いものがある。(どちらも経験したことはない)

とにかく最も体重が軽い朝が楽しみでしょうがない、それくらい体重を測るのが快感だった。許された最強の朝食を食べるときの幸福と、体重計という全自動自己肯定マシーンは少しずつ情緒を不安定にさせた。

小学生以来の40台、デブを卒業できた気がした


45kgを切った頃には細身君の眼中に入るだとか、自信を持つとか、可愛い服着るためとか消え去っていて、痩せるためではなく、体重を測るために生きていた。

自分はそれ以外に価値がないから。

その4ヶ月後には、その夢のようなマシーンは処刑台となるのだった。

身体の変化

急にダイエットをすると当然、体は反応を示す。

うんこが全くでない。出たとしてもヤギのうんこが出る。
前日に排便があるとないとで体重が大きく変わる為、私はいつも腸にイライラしていた。

そんなに親しくない細身くんに腸内環境トークを自分からするほどだ。食べ物でいっぱいな頭の中をスッキリさせたくて、排泄するかのように人に食事のことばかり話していた。便秘なのに。

バナナヨーグルトから体操まで、腸活と呼ばれるものは全てやったが、効果があったのはコーラックだけだった。

便通効果があるとされているMCTオイルがまだ棚の奥に残っているのは、味も効果もない脂質に一食49kcalかける馬鹿馬鹿しさに開始1週間で気づいてしまったからである。

無駄な脂質とカロリー摂らせやがって、と思いながら、1日9錠のビオフェルミンを飲むことで、私が折れる形で腸と和解した。生まれてから連続で排便できた記憶が少ないからたぶんそういう体質なんだと思う。

代謝が悪い。腸内環境も悪い。「性格が悪い」と言われるよりもショックなことだった。

制限し始めて3ヶ月で生理が止まった。標準体重なのに止まることあるんだ。「細くなったね」と言われた気がして嬉しかった。

過食へ

学期末のお疲れ様会として焼肉に行った翌日、いつもはカロリーを抑えて調整していたがお腹に焼肉がある感覚が気持ち悪かったので断食することにした。

が、夜まで保たなかった。
食事制限をしといて一日の断食も耐えられないのは、自分がデブとして生まれ、デブとして育った自分の特性だ。

夕食前、母親がミスドを買ってきたからだった。
飲まなくなった使い切りのMCTオイルのすぐそこにある、プレーンのフレンチクルーラーを3分ほど眺める。

一個148Kcal。

オイルと違い、このカロリーに意味はある。
今日はこれで終わればいいか。
チョコかかってないし、とそこまで迷わず一口食べたが最後、ミスドがこの世の食べ物の中で一番危険な食べ物に思えた。幸福度などという法律なんてものは最初からなかった。

ミスド低カロリーランキング3位

糖と油が脳に染み渡る。ボディビルのやってる人はこの比にならないくらいキマるんだろうな。とか思いながら、気づくと菓子パンを買いに家を出ようとしていた。

人付き合いの外食以外で嗜好品を食べないというルールが破られた途端、罪悪感で全てがどうでもよくなり、胃がパンパンになってもお菓子とパンを詰め込んだ。今日しか食べられない。明日から胸肉だから。

あすけんのお姉さん、号泣してた

こうしてチートデーは月2回から毎日になり、あっという間に60kgを超えてリバウンドした。

太った体と体重に囚われる思考に対する嫌悪感で何にも手がつけられなくなり、あすけんを退会しても過食は止められなかった。「キラキラダイエッター」であったあの日々が輝かしく思えた。

あまり憶えていないが、学校とバイト以外の時間は家に篭りきりになり、常に死にたかった。
空腹でピリついているので家族とも仲が悪くなった。全く標準体重なのに。

過食しているときは満腹中枢が壊れているのか、食べても食べても満腹にならない。「ダイエットしたら胃が小さくなる」とかいうけど、たぶん嘘だ。
あと、「体重なんてただの数字!」に説得力を感じたことがない。

過食の原因っぽいものを全て潰すために、あすけんのデータを消したが当然治らなかった。(今になって消去したのを死ぬほど後悔している。本当は画像を薄皮クリームパンやフレンチクルーラーで濁したくなかった。)

現在

過食が落ち着いて、ちょうどダイエット前と同じくらいの体型になった今、うんこはぶりぶりに出るし、3ヶ月間家出していた生理は何事もなかったように戻ってきた。

当時狂ったように食べていた鶏胸肉は、ダイエットをしている気分になるから一切食べなくなった。食事制限してないのに鶏胸肉を食べる理由はない。ようやく、茹でた胸肉が好きな食べ物ではなかったことに気づいた。
代わりに、ゆでたまごを潰したものがのった幸福度最底辺のサラダをよく食べるようになった。なーにが幸福度だ。

ダイエット中、周囲が「痩せた?」とか外見に関して言ってこなかったことが幸いだった。外見に全く変化がなかったのか、気を遣ってくれたのかそんな空気を感じることはなく、そのおかげでリバウンドしても人に会う時のダメージはそこそこで済んだ。

もし周りにダイエットをしている人間、リバウンドした人間がいたら「そのやり方絶対やめたほうがいい」とか「一日くらい良いじゃん」みたいなことは言わない方がいい。あなたはパーソナルトレーナーでも摂食障害の相談員でもない。

1日1000Kcal生活の感想

・全てなかやまきんにくんが正しい(ゆでたまごを批判するのは間違っている。)
・外食の前後でカロリー調整をするのは危ない
・人が高カロリーなものを食べる姿より自分より食べてない姿を見る方が辛い
・K-popアイドルを目指すのはおかしい
・大食いタレントやYouTuberが"普通"に見れない
・インスタを見ない方がいい
・Xを見ない方がいい
・ダイエットをしないほうがいい

体重を維持するのは努力し続けないと頑張っている時点でリバウンドは確定している。それは当然なことだと知っているのにリバウンドするのは、頑張っていることに無自覚だったからだ。

「しっかり食べているし、我慢せずに楽しんでるから絶対にリバウンドしない。」と実際に思っていても、飢餓状態であれば反動は来る。

今思えばやり方がまずかったが、この方法以外では痩せられなかったとも思う。一ヶ月2kgペースなんて続けられる気がしない。痩せる希望よりも太ることへの恐怖が芽生えたあたりがやり方を変えるラインだった。

「痩せれば幸せになる」という幻想を植え付けるメディアやSNSの影響で、体型に執着をもつ人が増えたように感じる。

個人がおかめ納豆並みのブスだと自虐することよりも、「絶対に食べちゃいけない食べ物10選」の方がよっぽど有害だと思う。今は明るく自虐できるほど幸せだ。

無数に存在する情報の中からさまざまな方法を試し、自分に合ったやり方を見つけ、この世界に溢れる美味しい食べ物を時には我慢し、時には楽しみながら、自分の生活を見つめ直す。

結局は盛山さんのNoteに、本来あるべきダイエットがある。

っていうか、身長178cm105kgの盛山さんでさえ、辛いって言ってんだから基礎代謝の低い女性なんてしんどいに決まってる!!

いいなと思ったら応援しよう!