ボーはおそれている(Beau is afraid) 初見時の考察を恐れずに投稿。
何も調べず初見の感想を書いたら面白いかなと思って書きました!
長いので好きなとこだけ読んでください。
【情報を入れずに見た時の感想】
①治安悪い街 変な住民達 ドタバタ劇 最高!
初めはすごく面白くなりそう!と思った。
ボーは治安悪すぎる場所に住んでいるのに、家でも安らげないという救いようのない生活をしていて単純に興味が湧いた。
(危険なクモがいるとの警告ポスター、騒音問題、騒音を出していると疑われる、スーツケースと鍵が盗まれる、水が止まる とかどんだけ最悪な物件?家賃何円か気になる!)
中でも不法侵入されて家が荒らされ、靴がモニターに刺さっている(!)のに、ボーはそこまで動揺せずそのまま使い始めるシーンがシュールで、あまりにも不幸に慣れてる感が出ていて笑いそうになった。こういうのめっちゃ好き!
ボーが水を買っている途中にマンションに入るドアが閉まりそうになって(鍵は盗まれている)、小銭も足りなくて水を盗んで走ったのに間に合わず閉め出されるとかのその不幸・不運っぷりが誇張される感じもコメディに振り切れていて面白い。
ただ余りにも展開が不幸不運すぎるし主人公は精神療法を受けていたので、まあ妄想の世界とかなのかな〜…と何となく思い出す。
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ボーのマンション付近。
この道路にごろごろ死体が転がっていたのはさすがに妄想?
そして多分主人公働いてない→母親のクレカ?→母親にクレカ止められた?説もでてきた。
母親と仲悪くて家賃を出してもらっているからこういう家賃が安そうなところに住んでるのかなー、もしくは母親が嫌がらせで決めた地域?とか色々疑い出す。
母親が死んだのもショックは受けていそうだけど…母親のことが好きなら、気持ちが落ち着いた時に母親の住んでる地域の警察に連絡するとかが妥当な行動では?
風呂の中の男も家の中にまだ誰かがいるかもという恐怖から来るボーの幻覚なのかもしれないけれど、もしかしたらセラピストと電話した後に話の流れで母親の元に行くことになるのが嫌で、そこから逃避するための幻覚なのかもとも思った。
あの男のせいで裸で外に出て車に轢かれて母親の死に向き合う時間も遅れた訳だし…
とりあえずこの辺は(アリ・アスターさすがだな〜毎回面白い映画作れるなんて天才だな〜)とまだまだ呑気に観れていたところ。
②医者が住む家 そこそこリアリティのある不穏さ
この辺から謎が深まり出す。
家→精神病院?
医者の夫→医者か精神病患者
妻→看護師か精神病患者
娘→精神病患者(軽傷)
元軍人→精神病患者(重症)
で、ボーの妄想なのかなあと思って観てたけど、そうなると娘とその友達とのドライブの場面とかペンキ飲むのも何故なのかよく分からなくなる。
妄想だとしても娘=何かしらのトラウマの表れ とかじゃないと納得できない。
けどそれが何なのかわからない。
とにかく娘の存在は謎。
妻についても薬を飲んでいたり悪魔の仕業だ!と言ったりして患者らしいけれど、監視カメラについてボーに教えたりと何か施設側の人間のような気もするから謎。むずいよー!
元軍人については、歩き回る元軍人をボーが遠巻きに見ながら電話するシーンがあってボーは少し引いてそうな感じ。
この時に思ったけど母親が亡くなったことを話して泣いていながらも、たまに元軍人を見て呆気に取られたりしていて本当はあんまり悲しくないんじゃ?とおもった。
葬儀に行かないと!っていう気持ちはあるけど行きたい!とかではないのかなあ。
元軍人を恐れてる場面とかもあって元軍人はもっとボー自身の病気が悪くなることへの恐れの現れとか、トラウマに縛られて生きる見たくない自分…みたいなイメージなのかなあと思った。
ボーはセラピーに通っていたけど病状が悪化し、今は入院中。現実を受け入れられなくて妄想をしている。病院で患者とトラブルを起こして病院から逃げた。カメラは母親が過保護だったトラウマから来る被害妄想。襲ってくる元軍人も離院した罪悪感から来る妄想?と予想…。
面白いけどよくわかんないことも多いパートだった。①のシーンよりリアルな雰囲気でだからこそ気が重くなった。ドラッグドライブのシーンはこっちまで酔いそう…
③孤児の集まる森 長い舞台シーンに退屈
ここ長すぎ!舞台のシーンが鬱展開すぎて長いし辛くなってくる。おもんない……
ただし映像は綺麗。
ボーの妄想説で行くとまたセラピー受けてるか入院に戻って、精神療法とかで患者同士集まって人生を振り返ったりしてるとかなのかなと思いつつ観る。
ボーは自分で選択をすることがほぼなかったけれど、森で衣装を選んでと言われて、選べたところは成長したように見えた。
あとはボーの想像の方の舞台(ややこしい)で息子なんているはずないと気付くところも良いね!
さらに父親がいると思い始めるのも母親への疑いになるはずだから、そこは大きく変わったところだと思う。
母親を好きな振りをしていたら辛かった過去の自分を否定することになるから先に進みにくそう。
しっかり嫌いな人は嫌いとか憎むとかするべき。頑張れボー。
妄想と現実を行ったり来たりしつつも少し回復してきている状況なのかなと思っていた。
最後は父親の存在を認めようとするも元軍人(病気の症状?)が来て治りきらず…ってこと……なんですか????
??????
④ついに実家に! 衝撃の連続
実は母親は死んでなくて全ては実家に帰らせるための作戦だった!
初恋の人と出会って誘われて盛り上がったけど腹上死した!
何故かポーズがそのままに硬直して運ばれる初恋の人…(さすがに死んだすぐで身体そんな硬くなくない???)
うーん…
屋根裏部屋で元軍人が刺しまくったやつとか初恋の人腹上死とかは、母親に植え付けられた性嫌悪のメタファーかな。
屋根裏部屋の繋がれてた人=???
母親は怒る!
はよ家帰ってこい!私にもっと愛と誠意を示せ!私の母は私に無関心で辛かったから私はボーに全愛情を注いだぞ!初恋の人は私の部下だったけど秘密にしてたわ!メイドは金で死んでもらった!セラピストとも繋がってて録音してたし全部の生活録画もしてたよ!
→やばすぎ
ボーも流石に1回怒って母親の首を絞める!
倒れる母親。
母親が倒れたらボーは焦って謝る。
実家から逃げ出してボートに乗り込む。
ボートは裁判場へ。
母親も裁判場にいてボーを決して許さないが、ボーがいよいよ死にかけると「愛する息子!」などと叫び始める。
ボー死ぬ。
うーんうーん。
なんか物凄く壮大な展開になってきてさすがにこれが現実で起こってるとは思えないし…
ここは病院の治療でボーの母親への怒りが引き出されてきて混乱してるシーンなのかなあ。
でも結局怒りは認められず幼少期のトラウマと決別できずに病院で死んでいったとかなのかなあ…。
とりあえず強く思ったのは最後の最後で母親も何故こうなったのかが分かるけど(ボーのおばあさんのせい)、よくあるパターンすぎて辛いってこと。
これは勝手な想像だけどボー父親は死んでなくて普通に母親と別れたとかで、ボーの母親の愛情の行き場とか愛情を求める対象が、全て子どもになってしまったのかなと…
子どもが恋人を作ることを嫌ったり(少し恋人目線で見てるところもある?)自分を全肯定して信じるように求めたり(母親に貰えなかった無償の愛を求めてる)居なくなるのが不安で監視したり(大人になっても子どもとして見ている)こわすぎるよね。
裁判所で弁護士が話してたことも、そんなに悪いことじゃなくない??と思うし、とにかく子どもに裏切られず1番に愛されていて全てを知ってそれがずっと続くように、続かないと許せない。てことなんかな〜…。
ボーはもっと自分が悪くないことを信じられたらよかったんだよ。でも幼少期に自尊心が育ってないから無理だよね。くやしい。
【総合感想】 ここだけ読んでもOK
今までの予想(ボー入院説)とは違って、
監督的には母親が全てを仕組んでてカメラも現実、メイドを使って死んだ振りをしたのも現実…だったみたい!(公式サイトより)
序盤にやけに出てくるなあと思っていた広告や途中のニュース、ボーの住んでいるマンション(社会更生施設)の運営も全て母親の会社だったらしく、なるほど…
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街の広告やテレビのコマーシャルなどでMW社のロゴが確認できる
初恋の人が誘ってきたのも???だったけど、母親に借金があると言っていたし、ボーに遺産が相続されることを見込んで擦り寄っていたのか…。
ボーと会った事まで仕込まれていたかは謎だけど、人間1人会社に囲って借金背負わせる権力スゴすぎ。
あとびっくりしたのが屋根裏部屋にいたのは回想シーンで「父親はどこ?」と聞いていた双子の兄弟?だったってやつ。
気に入らなくなって何十年も屋根裏で繋げたまま育てる(?)としたら母親の執着心が垣間見えて怖すぎる。
もう外に捨てられる方がよくないか?
回想シーンはボーが「父親はどこ?」と聞いた時のことを思い出しながら嫌な記憶だから乖離してるみたいに見えてるのかなあとなんとなく流してたから驚いた。
ポスターでわかる誰が母親の協力者だったのか(タトゥーの男・セラピスト・医者)から、タトゥーの男が死んでいたのもボーを脅すためだったのかとか考えたらやばすぎる。規模大きすぎ。
てかタトゥーの男本当はタトゥーしてなかったら面白いなぁ…
色々調べてみても謎のまま残ったのは、
孤児の集まる森は何だったのか
元軍人は本当にボーを追ってきていたのか、追ってきていたならどこまで?
医者が母親の社員だとしたら医者の妻・娘との関係はどういったものなのか
の3つでした。
追記 : 孤児の集まる森は舞台のストーリーで親がいることに感謝させるために働きかけたり、父親の存在を疑っているかの確認のために母親が仕組んだもの。
医者の妻、娘は本当に家族だけど医者がボーの母親と同じように支配的な面があって妻を監視していたり娘に興味が無い。
もしくはボーの母親に認められて出世することを家族より優先しているから(軍人だった息子を自慢している事から権力主義?)娘の部屋にボーを寝かせたり、ペンキを塗り直したりする。医者の性格のせいで娘と妻が少し病的な様子になっている?
まで予想してみました。
もしほかの想像があったら教えてください!!
最後に本作全体について。
まずは俳優の演技すべてよし。
ホアキン・フェニックスは言うまでもなく素晴らしいし、俳優陣の顔が映画の雰囲気にめちゃくちゃ馴染む。表情とかも怖かったり面白かったりですごい。
映像も好きだし豪華。
ストーリーについては、こうして色々考えてみたり、映画の内容を深読みしたい人にとっては面白いと思う。
公式サイトに完全解説を載せたりとか元からネット考察方面で話題になること前提にプロモーションも組んでいるのかもしれないけど、1人で映画を楽しんで観るだけのつもりなら冗長に感じる場面も多くて、うーん…となる。
暗い場面、テーマがわかりにくい、展開が読めない等の要素は勿論あっていいんだけど、話のテンポとか笑いの多さとかでもう少し観てて退屈しにくいものになっていたら良かったな。
次作に期待します。