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2024年5月読書記録

借りたい本があり、十数年ぶりに図書館利用証を作成した。


・好きなようにしてください/楠木 建

この本を借りるために図書館利用証を作りに行った。
ニュースサイトでの仕事のお悩み相談連載を一冊にまとめたもの。
99%書き出しが「好きなようにしてください」から始まる。(一つだけ「好きなようにはしてはいけない」相談があったはず)

中には相談者の能力が高く、相談内容のレベルも高く共感が難しいものもあるが、上記の通りほぼすべての相談者に平等に「好きなようにしてください」と回答されるので読みやすい。
やりたいもの、得意なものがない人は、少しでも気になることを「これが好きなんだ」と思い込んで深く考えずにひたすらやってみるという回答が印象に残った。

・そして五人がいなくなる/はやみね かおる

図書館で借りた。
小学生時代に読んだことのある夢水清志郎シリーズの第一作目。
当時読んでいたころはもっと教授を変人だと感じていたが、今読み返すと普通に人間的。口調も若者っぽい。
十年以上前に読んだのに内容は大体覚えていたが、昔は読み飛ばしていた謎解き部分を理解できるようになった。
読後感が優しい。同時に夏休みが羨ましくなった。

このシリーズは子どもを好きな人が子供のために書かれた話なんだと実感した。
昔はそんな風に思わなかったのに、対象年齢から大きく外れたからかもしれない。

・亡霊は夜歩く/はやみね かおる

図書館で借りた。
亜衣のファンが部誌を買ってくれるシーンがとても良い。
亜衣の喜びが爆発するところも良いし、レーチが五円玉でネックレスを作ってくれるところも良い。
この二人だとレーチが最後に実行委員をやった理由を亜衣にストレートに伝えるシーンも良かった。

過去の生徒が校則違反の濡れ衣を着せられたことを理由に自死するのは、そこまでするかと驚いた。
正直その程度で死ななくても…と思ってしまったが、校則が厳しい中学生ぐらいの子が読むとまた感想が違うのだろうか。

・消える総生島/はやみね かおる

図書館で借りた。
トリックが壮大。そんなのあり?
謎解きのあとにもう一つ種明かしがある構成。最後の教授からの手紙で真意を理解した。やっぱり戦争って嫌だね。
陸の孤島に閉じ込められたけれど、外から助けが来るのは決まっているしずっと美味しそうなものを食べていて羨ましくなった。
余裕のある孤島ミステリー。

・羊と鋼の森/宮下 奈都

家にあった。
主人公が途中で特殊な力に目覚めるとか、実は伝説の調律師の子孫で、とかはなく、堅実に回数を重ねて上達していく過程が描かれていた。

中間で出てきたクレーマーの嫌らしさがリアル。
いるいる、こういうの。
クレーマーへきっぱりと言い返してくれる頼もしい先輩がかっこいい。

ラストの予測の甘さでトラブルが発生した時、読んでいる側も緊張したが、主人公はそれまで積み重ねた経験値で乗り切っていて成長を感じた。

全体的に静かで優しい雰囲気で、この作者の他の作品も読みたくなった。

・マルチ・ポテンシャライト/エミリー・ワプニック

図書館で借りた。
一つの仕事が長く勤められない、すぐに他の仕事が気になってしまう、いろんな仕事に興味があり選べない…といった現代では劣等生と分類されるしょんぼり社会人を「マルチ・ポテンシャライト」という新しい分類に入れてくれる本。

マルチ・ポテンシャライトにも複数の型に分けられていて、自分がどの型の傾向にあるかを考えるのが楽しい。もちろん複数の型にまたがることも許されている。
色んなマルチ・ポテンシャライトにインタビューをして執筆されたらしいが、「〇〇をやっているエミリーが××をしたところ……」のような体験談も多く挟まれ、正直「誰だよ」と思いその部分は読み飛ばしてしまった。

・線は、僕を描く/砥上 裕將

図書館で借りた。
ある日突然水墨画の巨匠に弟子にスカウトされる家族を失った主人公の話。

もう一人の巨匠の家に主人公たちが訪れるシーンが一番好き。大事な人を亡くした主人公と大先生で悲しみを共有しているところの寂しさがなんとも言えない。
次に好きなのは、巨匠が主人公をスカウトした理由が明かされるシーン。
結局主人公には才能があったが、それは関係なく、優しい理由だった。

寂しく静かな雰囲気もありつつ、キャラクターごとの挑戦や選択も描かれていて読後感もよかった。

実写映画も見た。
映像はとても綺麗だったが上記の一番好きなシーンは全部カットされていたし、そもそももう一人の巨匠の性別変わってるし、悲しい。
キャストを見ないで映画を見たからまさか性別が変わっているしなんか上から目線になっているとは。
あの映像で忠実に映画化してほしい。無理か…。

・舟を編む/三浦 しをん

図書館で借りた。
辞書を作るのって大変なんだなあという凡庸な感想。

西岡の章が一番共感した。
一つのことに特化した天才が現れて、自分の立ち位置があやふやになって、ゆるく器用にこなす自分がなんだか劣っているように思えて…、という劣等感との戦い方が良かった。

最後は松本先生は、『大渡海』完成に間に合うか!?間に合ってくれ!と手に汗握りながら読み進めた。

初めて読む場合は絶対ハードカバーで読んだ方が良いと思った。
ハードカバーで置いてくれた図書館ありがとう。

おわり

数年ぶりに図書館の利用カードを作ったこともあり、久しぶりに本を読んだ。羊と鋼の森以外は全て図書館から借りてきてる。
図書館の予約システムとか諸々こんなに便利だったっけ。浦島太郎気分。

一回に20ページほどしか読み進められず、20ページ読んで5分休憩していた。
そのうちもっと長く読み進められるようになるだろうか。

夢水清志郎シリーズが第4作目まで近所で借りられたが、それ以降が他の図書館からの取り寄せになるので続きを読むか少し悩んでいる。

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