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シルクロードと「和同開珎」の発見

「大シルクロード展」から‥「和同開珎」銅銭の新資料
    
日本海地域史研究室 藤井 一二 

2023年秋から本年2月2日まで、全国6箇所の美術館・博物館を巡回した「世界遺産・大シルクロード展」主催:中国文物交流中心。

同展の図録(全会場共通)P74ー81は「シルクロードのコイン」。注目したのは、江西省博物館所蔵の「和同開珎」銅銭一枚。重さ・直径のデータも。
江西省は上海市の南に位置する浙江省の西側。往年、和同開珎の銀貨が発見された安徽省(池州市)の南側。

池州には地蔵菩薩の霊場で有名な九華山があって、日本の留学僧による仏道の交流が背景にあると、中国の研究者は指摘する。今度はその南側に接する江西省‥。同図録に、私の中公新書『和同開珎』の紹介、引用も‥。

近著『万葉社会史の研究』(塙書房)第三部「唐・渤海王国と天平時代」第一章「中国発見の<和同開珎>銭と国際交流ー唐・渤海国遺址出土の歴史的意義ー」の[補遺]は「中国洛陽・池州・揚州発見の和同開珎(銀銭)」。新たな[補遺]が必要になってきた‥。

目下調整中の「画像で語る・シルクロードと大伴家持の時代」交流図を眺めながら、母国の通貨を携えて渡海し、託された任務と自らの希望を追い求めた<遣唐留学生・留学僧の時代>に思いを馳せた‥。

※各画像は、クリック拡大を

『世界遺産 大シルクロード展』図録 
「画像で語る シルクロードと大伴家持の時代」  藤井一二作