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新書『古代日本の四季ごよみ』の記憶                      

コーヒータイム(186)「北海道の図書館」へ行こう(12)…「伝える言葉」「伝わる言葉」‥『中公新書』2作目の記憶
              藤井 一二
「古代の人々は季節の訪れにどんなに敏感だったか。季節に合わせてどのように活動したのか。‥季節の訪れを告げるのは花や鳥、風邪の肌ざわり、空模様などだ。当時の人たちはそれらに対してとても注意深く、いつも五感をはたらかせていた。
季節の訪れに敏感だったのは、来るべき生活の準備をしないといけなかったからだという。‥気候を人工的につくったり制御したりする時代だ。鈍麻する一方の季節感。季節を軸にしてひろがる古代の人々の暮らしの、おおらかさとみずみずしさにたじろぐ」(田)

これは『週刊読売』1998年2月1日号に掲載された「ブックレビュー」。あのとき私は、その洗練された言葉づかいと形容の鮮やかさに‥たじろいだ。
また、本書の帯コピーには「季節感豊かな日本の風土の中で、古代の人々はいかに生きたか」と問いかけている。

本書は、宣伝力に支えられ全国公共図書館数971、大学図書館数240、このうち北海道の公共図書館は47。いま、同書の「あとがき」に目を通した。
「‥四季の変化は、‥近くを流れる川の土手の草花や、竹藪と杉木立を飛び交う鳥の声などから、季節の変わり目を実感するのもそんなに珍しいことではない‥」と。

あれから20余年。いま「ブックレビュー」を読み返し、「詩語」のような評語の巧みさに胸うたれた‥。※2024年10月21日・フエイスブックから

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