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『絵画に込められた意味』~オフィーリアの悲哀~リテラ探究学習研究レポート

シェイクスピア『ハムレット』をモチーフに描かれた「オフィーリア」について、描かれた植物に込められた意味について考えることで、その魅力に迫りました。ハムレットの物語がわかりやすく伝わるよう、スライド作りも工夫しました。

この研究をしたのは、新高校3年生のM・Mさんです。


■プレゼンテーション動画


■リテラの先生からのコメント

オフィーリアの絵は、思わず引き込まれてしまうような、神秘的な美しさがありますね。
それが単に美しく描かれているだけではなく、植物に込められた意味に迫ることよって、様々な象徴によって織りなされた作品であることをわかりました。
作品を作ることだけではなく、こうして作品を読み解くことも、アートなのだと思います。
私も美術館に行きたくなりました。

■テキスト資料

みなさんは、なにか好きな絵はありますか?


私は、イギリスの画家ジョン・エヴァレット・ミレイ作の「オフィーリア」という絵が好きです。
好きな理由は、女性のうつろな目や、水に浮かんでいくのか沈んでいくのすらわからない表情に惹かれたからです。
私は、まだ本物のオフィーリアを見たことはありませんが、生きている間にロンドンにあるテート・ブリトン美術館にある「オフィーリア」を見にいきたいです。
そこで、今回は、この「オフィーリア」の魅力について、紹介したいと思います。


このオフィーリアは、シェイクスピアによって書かれた『ハムレット』に出てくる登場人物です。
この物語は、主人公ハムレットが自分の父親を殺された仇を打つ復讐がテーマのお話です。


ハムレットは、オフィーリアと恋人でした。
ある日、国王であるハムレットの父が急死します。


実は、父は病気で死んだのではなく、王の弟・クローディアスに毒殺されてしまったのです。
そのことを後日、ハムレットの父の亡霊から告げられます。
事実を知った彼は、クローディアスを殺して復讐することを誓います。


事実を知った彼は、クローディアスを殺して復讐することを誓います。


ハムレットは父を殺されたことを知った後からは、気が狂い、過激な言葉で物事を批難するようになりました。
オフィーリアは恋人の変貌ぶりに戸惑ってしまいますが、オフィーリアの父ポローニアスはそれをオフィーリアへの恋煩いによるものだと予測します。


ある時、ハムレットは自分の母がポローニアスと話しているのを立ち聞きします。
そして、ポローニアスを仇であるクローディアスと誤って刺殺してしまいました。


復讐に燃える恋人に、冷たい態度を取られ続けられたうえ、自身の父親を殺されてしまったオフィーリアは、精神を失い、川に転落してしまいました。
ミレーの「オフィーリア」とは、悲劇的な運命を遂げた彼女の最期を描いた作品なのです。


私は、最初にオフィーリアという絵画を知ったときに、なぜこの少女は水の中に入っているのか、手に持っている花にどんな意味が込められているのかと興味を持ちました。
まずは、この絵画に描かれた植物について、考えたいと思います。
ミレーは自分の絵をできるだけ本物そっくりに描きたいと思いイメージに合う小川を探しました。
そして、ロンドン郊外にあるホッグズミル川でスケッチを重ね、背景を描いたそうです。


これから、絵に描かれている花の意味を説明しようと思います。
スケッチが長期にわたったことで、季節が違う花が描かれています。
左からスミレ、ミソハギ、ヒナキク、パンジー、バラ、ナツメソウ、ケシ、勿忘草、キンポウゲです。
このように、画像を並べてみると、種類の異なる花が描かれていることに気が付きます。


この中の、3つの花について紹介します。


一つ目はヒナギクです。
ヒナギクの花言葉は「innocence(純潔)」「beauty(美)」です。
ヒナギクは、オフィーリアの美しさや、まだ世の中を知らない無垢、無邪気さを表していると考えられます。


二つ目はパンジーです。
色別に花言葉も変わっていて、絵画に描かれているパンジーは、黄色なので「remembrance(記憶)」「memories(思い出)」という言葉です。
パンジーは、オフィーリアがハムレットと過ごした日々や恋していたことを表していると考えられます。
パンジーのどこか素朴でひかえめなイメージが花言葉に合っていると思いました。


三つ目は西洋ミソハギという紫色の花です。
花言葉は「愛の悲しみ」「慈悲」です。
ミソハギは、ハムレットに冷たい態度をとられてしまった時の悲しみや、愛していたのに結ばれなかった悲しみを表わしていると考えられます。
日本では、西洋ミソハギが咲く季節は、お盆と重なっていて仏前に供えられています。
また、この花の別名は、盆花、精霊花です。
日本の文化から見ても西洋ミソハギは、生と死の境界にあるオフィーリアの状況に合っているといえます。


背景に描かれている植物にも意味があります。
左からヤナギ、イラクサです。


ヤナギは「見捨てられた愛」を意味します。
日本でもシダレヤナギの下には幽霊がいると言われていることもあり不吉なイメージが共通しています。


イラクサは「苦痛」を意味しています。
茎にトゲがあるので触れるとかぶれる炎症を起こします。
そこから、「苦痛」という花言葉となっていると考えられます。
どちらも悲しい言葉でこの作品にぴったりだと思います。


この研究を通して、『オフィーリア』に描かれた花と植物に意味があり、それらがオフィーリアの気持ちや死を象徴していることが分かりました。
また、これからも絵を見る時は、絵画に描かれている物の意味を考えたり、なぜそこに描かれているのか考えてみながら絵を楽しみたいです。
これで発表を終わります。
聴いてくださってありがとうございました。

■参考文献

・オフィーリア-花言葉 https://omochi-art.com/wp/ophelia/
・花言葉-由来 https://hananokotoba.com/
・ハムレット あらすじ https://bungakublog.com/shakespeare-h...
・ロージー・ディキンズ(2015)『世界の名画を読み解く』あかね書房

■研究の振り返り

◇これはどのような作品ですか?
 ハムレットのオフィーリアの世界観や花に込められた意味を自分で解説してみた。            

◇どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
絵画がなぜ人々を感動させるのか疑問に思い好きな絵のオフィーリアで作ろうと思った。

作品づくりで楽しかったことは何ですか?
美術とは何かについて知れたこと。
好きな絵画について奥深く調べれた。

作品づくりで難しかったことは何ですか?
ハムレットの内容を詳しく解説するためにいらすとやで説明したものの恥ずかしくて死んだこと。

作品作りを通して学んだことは何ですか?
オフィーリアは生と死の境界線ということ。

◇次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
いらすとやでハムレットの内容を解説してしまった。なので、話を面白くしすぎないようにしたいと思います。

◇来年研究したいことは何かありますか?
友達との思い出と大切さ

この作品を読んでくれた人に一言
絵画のオフィーリア以外にも世界にはたくさんの絵画があるので自分の好きな絵を選んでみてください。

この記事を書いた生徒さん

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