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2023年9月の記事一覧
御本拝読「銀齢探偵社~静おばあちゃんと要介護探偵2~」中山七里
粋な銀齢コンビ
来月、本書の文庫本が発売ときいて嬉しかったので。中山七里さんの「静おばあちゃんと要介護探偵」のパート2。中山さんの他のご著書にもれなく、こちらの主人公二人も、違うシリーズの登場人物です。作品発表順に読まれている方だと、この二人の結末というか行く末をご存じでしょうから、切ないというか感慨深いというか。
パート1の舞台は主人公の一人・香月玄太郎の居住地である名古屋が舞台。事件の内
御本拝読「すいか」木皿泉・山田あかね
ドラマの脚本本
河出文庫より2013年に1・2巻だてで出版された、2003年日テレ系で夏クールに放映されたドラマのシナリオを書きおこしたもの。ドラマはもう20年前になるのか、と感慨深く今も愛読している大事な本。特に夏、電車やバスに乗って街の風景や夏の匂いにもまれて通勤している時によく読みます。
木皿泉、といえば、神戸在住のご夫婦の脚本家・小説家。活動年月に比べると寡作ではありますが、そのすべ
御本拝読「叶恭子の心の格言 あなたの心にファビュラアスな魔法を」叶恭子
思想や宗教より
夏休みが終わったのにまだ忙しい謎。そう、返却があるから。毎日引き続きへとへとな図書館員です。おかげで、新しい本はまったく読めていません。まあ、こんなぐったりな状態で新しいものはなかなか心に入って来づらいので仕方ない。
そんな時、久しぶりに本棚から引っ張り出したら新鮮に私の心を癒してくれたのが、叶姉妹プロデュースの本書。各1ページで短く説かれる叶スピリット、ところどころに姉・恭
御本拝読「女が死ぬ」松田青子
SFであり叙事詩
松田青子さんの作品は、不思議だ。多分、心や神経の深い場所から発生していて、しかも怒りや悲しみという高い温度の濃いものに根差しているのだろうに、とても軽やかで淡々としている。文章も使われる単語も簡潔で、全体的にポップ。なのに、読んだ後に自分の心臓の裏側がそわそわするのだ。
SFの定義は定かではないが、主に掌編のぎっしり詰まった本書の半分ほどはSFと言える気がする。設定が近未来
御本拝読「WHAT IS SAPEUR?貧しくも世界一エレガントなコンゴの男たち」NHK「地球イチバン」政策班・ディレクター影嶋裕一
過酷な中に咲く
コンゴ。この国名を聞いて思い出すのは、植民地・治安が不安定・原油とコーヒー等。アフリカの、政治的にも地理的にも厳しい状況の続く国。この記事を書くにあたってちらっとWeb検索をしてみたら、本書の時よりも状況は悪化しているらしく、国際ニュースでも不穏な文字が今後の隣には並んでいる。故に、10年近く前に書かれた本書に出てくる粋で鯔背で男前な彼らが、今も同じように暮らしているかは定かで