『木暮荘物語』
気づいたら読み終わってから2週間近くが経ってしまった。
今回読んだのは
三浦しをん作『木暮荘物語』
だ。前に同じ作者の『舟を編む』を読んだため、別の作品を読んでみようということで手に取った。
BOOK・OFFで買ったのだが、帯が付いたままで、小泉今日子さんからのメッセージが添えられていた。
そのタイトルや裏に書かれていたあらすじを読むに、「木暮荘を舞台にそこに住む人々の笑いあり涙ありのハートフルコメディ」みたいな物語を予想していた。
その予想はある意味で裏切られた。
「木暮荘を舞台にそこに住む人々」までは合っていたし、笑いもあり涙もあった。だが、この作品には全編を通じて「性」というテーマが存在する。
3年前に消えた元カレがやってきた女性
友人が死ぬ前の願望から「セックス」をしたくなった大家
元カノのストーカーになりかけていたところを拾ってもらった男性
などなど
様々な立場の人の「性」にまつわるエピソードが語られていく。
私はまさかそういう物語だとは1ミリも思わず読み始めたため、正直面食らった。
なんでおじいさんがセックスしたいという話なんて読んでいるんだろう、と。
だが、人間の三大欲求のひとつである「性欲」から始まる「性」というのは、誰しも言わないだけで何かしたら抱えているものなのだろう。案外あっという間に読んでしまった。
なにか心に残るものがあって。
なにかドキドキするものがあって。
「性」というのはそういう行為だけをいうのではなく、様々な意味を持ちうる。
どんな人であろうと何かしら「性」にまつわる悩みを持つことがあるだろう。でも、それはなかなか他人には言いづらい。
そんな思いを持っているのは自分だけではない、と気づかせてくれるような物語だったのかもしれない。