理想的
先日『本日は、お日柄もよく』を読み終わったあと、父に貸したら
「同じ作者で『総理の夫』って本あるから今度読んでみるか」
と言われ、
「じゃあ買ってきて〜」
と頼んでみた。
2週間くらいした頃、「ほい」と仕事から帰ってきた父が『総理の夫』を渡してくれた。
そういえば小さい頃から「こういう本が欲しい」と伝えると、父は何も言わずに気づいたら買ってきてくれたことを思い出した。
原田マハ作『総理の夫』は、日本初の女性内閣総理大臣になった女性・相馬凛子の夫・相馬日和が「総理の夫」としての日々を書いた日記という設定で物語が進む。
主人公の日和は相馬財閥の御曹司で野鳥研究家。愛する妻が総理大臣となり、日本初の「総理の夫」が誕生する。初めは総理の夫としての自覚が足りなかったが、凛子を献身的に支えていく。
日本初の女性総理大臣となった相馬凛子は、絵に書いたようなスーパーウーマン。凛子の名にふさわしく、凛とした強さと賢さ全てを兼ね備えた女性だ。彼女は腐敗した日本の政治を変えるべく奮闘していく。
私は政治には疎いので詳しく知らないことも多かったが、そんな私でもすんなり理解できるくらい、物語に描かれる日本の政治がどれだけ問題なのか、そのために凛子がどうやって戦っているのか、分かりやすく描かれていた。
凛子はある意味「理想的すぎる総理大臣」だと思う。女性という性別だけでなく、凛子みたいな信念を持った政治家を誰もが待ちわびている。
どれだけ男女平等を叫ぼうと結局男性優位の世の中なのは変わらない。だが本来その人が持ってる能力を生かすのに男性だろうと女性だろうと関係ないはずなのだ。
そういう時、自分の性別に縛られず「支える側」に回った日和は日本初の「総理の夫」になるにふさわしい人物だったのだと思う。
現実の世界では『総理の夫』の世界が実現するのはまだまだ先なんだろうなあって思ってしまう。でもいつか実現することを願う。