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鉄道において緩急接続と目的地別接続は意外と大事だよ

鉄道において、乗り換えがあると心理的な負担が増えますよね。特に途中経路に立体移動があると、旅行に行くこと自体をためらってしまうこともあります。
しかし、乗り換えがあっても駅の構造を工夫すれば、それまで無縁に見えた目的地同士の移動を容易にすることができます。それが今回議論する理想の目的地別接続のあり方です。本日はこれについて説明します。

当ブログでの目的地別接続駅の定義を述べます。
それは副都心線の小竹向原のような「対面乗り換えができてXの文字のように目的地の設定ができる」構造です。「Xの文字ってなんじゃ」と思うので、図を使って説明します。

図1 目的地別接続駅イメージ1


図2 目的地別接続駅イメージ2


A~D(E)とB~Cを結ぶ路線がクロスしていて、接続駅を介してA~CとかB~Dも行けるという構造が「Xの文字」の意味です。

また、目的地別接続駅の理想の配線図はこんな感じです。

図3 目的地別接続駅の配線図


注意点:
・C駅とD駅は同じ駅でも良い。接続駅からの経路が異なるのみ。
・接続駅はABCDEのいずれの駅とも異なる駅

イメージとしてはJRよりも私鉄の駅です。私鉄はこういう緩急接続や追い越しなどをよく考えていますよね。特に東京メトロ副都心線の小竹向原はよくできています!あれは目的地別接続も緩急接続も兼ねている優れものの駅です。実際に、副都心線から来た小手指行きと有楽町線から来た川越市行きが対面接続したり、副都心線から来た急行の和光市行きと有楽町線から来た各停の和光市行きが対面接続したりします。
この構造により、それまで無縁と思われていた川越市~湘南台とか小手指~元町・中華街とかが結ばれるようになりました。しかも小竹向原ではお互いが転線できる仕様になっておりますので色々な行き先に1本で行けるようになっています。乗り換えなしでも行けて乗り換えがあっても対面乗り換えでより早く行けるというのは小竹向原の強みですね。列車の設定はありませんが、湘南台~飯能・西武秩父とかの列車も設定しようと思えばできます(理論上は)。線路はつながっているので。。

当ブログでは整備新幹線を論じることが多いので、今回も西九州新幹線と北陸新幹線でこの緩急接続を考えてみようと思います。


【西九州新幹線】
例えば、新鳥栖~武雄温泉の在来線を第1回の記事の通りフル規格三線軌条で高架化した際は、佐賀駅をN700S「かもめ」とスーパー特急「みどり」等の緩急接続(あるいは目的地別接続)駅にしてしまえば良いです。といっても佐賀駅にそんなスペースが取れるかというと少し厳しいでしょうが、理想は緩急接続用のホームを作るべきですね。(途中の線路は普通列車とも共用しているが、佐賀駅の部分のみは普通列車用と特急・新幹線用に分けたいということ)
例えば、停車駅はこんな感じになります。(太字の新鳥栖~武雄温泉は三線軌条の共用区間)
・N700S「かもめ」:
長崎、諫早、新大村、嬉野温泉、武雄温泉、江北、佐賀、新鳥栖、博多、小倉以東の山陽新幹線駅
(速達型ですと、長崎、諫早、武雄温泉、佐賀、新鳥栖、博多、小倉…でしょうか。)

・スーパー特急「みどり・ハウステンボス」:
佐世保/ハウステンボス、早岐、有田、武雄温泉、江北、佐賀、新鳥栖、鳥栖、二日市、博多

・スーパー特急「かささぎ」:
肥前鹿島、江北以東は「みどり・ハウステンボス」と同じ

これなら、例えば二日市から長崎に行く際は佐賀駅で緩急接続時に「みどり」(緩)から速達型の「かもめ」(急)に乗り換えれば良いですし、新大阪から佐世保/肥前鹿島に行く際も佐賀駅で「かもめ」(急)から「みどり/かささぎ」(緩)に乗り換えできます。前者の場合は現在の武雄温泉乗り換えとそんなに変わらないのでメリットが感じられにくいですが、特に後者の場合は今の新鳥栖乗り換えよりも立体移動が減り、だいぶ楽になりますね。つまりそれで佐世保やハウステンボスや肥前鹿島などが新幹線効果を得やすくなります。

(新鳥栖~武雄温泉を三線軌条で高架化することによって、佐賀県にとっては在来線自体の踏切事故・水害リスクの減少、長崎県にとっては新大阪直通という大きなメリットがあるので、今回の緩急接続によるメリットが多少微々たるものでも問題ない。)

理想としては、新鳥栖~武雄温泉を三線軌条で高架化するついでに、うまい具合に標準軌の西鉄の天神大牟田線と新鳥栖駅をつないで、天神駅にアクセスしやすくできるような緩急接続を組めたら完璧ですけどね。標準軌の西鉄特急を天神から長崎まで乗り入れさせて、佐賀駅でスーパー特急「みどり」に緩急接続して佐世保に行くようにするとかですね。


【北陸新幹線 (金沢以西)】
この場合は、敦賀を緩急接続駅(目的地別接続駅)にしましょう。以前の記事で、北陸新幹線の敦賀~金沢と北陸本線の米原~敦賀を三線軌条にした上で、「サンダーバード」をスーパー特急にし、「しらさぎ」をミニ新幹線(近鉄名古屋線にも乗り入れ)にすることにしていました。
この場合、停車駅はこんな感じになりますね。
・スーパー特急「サンダーバード」:
和倉温泉、七尾、羽咋、金沢、福井、敦賀、堅田、京都、高槻、新大阪、大阪

・ミニ新幹線「しらさぎ」:
金沢、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀、長浜、米原、岐阜羽島、名古屋、桑名、近鉄四日市、津、伊勢中川、松坂、伊勢市、宇治山田、五十鈴川、鳥羽、賢島

敦賀~金沢の三線軌条区間において、ミニ新幹線の方が(緩)でスーパー特急が(急)になっており少し奇妙ですが、停車駅で棲み分けをしました。
これなら、(緩)の停車駅~関西方面の移動で敦賀の緩急乗り換えを使えば良いですし、和倉温泉~近鉄方面の移動も敦賀で目的地別乗り換えすれば良いことになります。


いかがでしたでしょうか。緩急接続と目的地別接続を両方やり新在共用も組み合わせることで、新幹線関連でも色々な行き先の設定や路線のポテンシャル向上などができそうですよね。




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