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長野がミニだった場合の世界線

今回は長野新幹線(現 北陸新幹線の高崎〜長野)について紹介します。
長野新幹線は良い意味でも悪い意味でも、整備新幹線の先駆けとなった新幹線です。信越本線の内、横軽(横川〜軽井沢)が廃止になり、軽井沢〜篠ノ井は「しなの鉄道」になりました。
ただ、今となっては、長野新幹線は高崎〜軽井沢をフル規格で、軽井沢以西は信越本線を活用したミニ新幹線にすべきだったのではないかと思います。
理由は以下の2つです。
・途中の線路がなくなり、在来線列車だけでは走破できなくなった
・信越本線の軽井沢以西は横軽を切った時点で、(0ではないにしても)貨物が走る可能性が極めて低くなった(→単線化も検討されるほど)

他の九州新幹線や東北新幹線沿線は在来線と別個にフル規格で建設しても、在来線に貨物が走るから問題なかったのですが、信越本線の軽井沢以西は事情が違います。軽井沢以西は線形がそこそこ良さげな割に貨物収入が見込めず、設備を持て余した感が出たために単線化が検討されているのでしょう。

こういう貨物が走る可能性が極めて低くなる路線こそミニ新幹線が適していたのではと思うのです。ミニ新幹線にしておけば並行在来線問題もありませんし、単線化を検討することもなかったでしょう。

長野新幹線がミニ新幹線だった場合、整備手法は以下の通りとなります。
・軽井沢〜篠ノ井:標準軌に改軌
・篠ノ井〜長野:標準軌の複線と狭軌の複線が並ぶ複々線
・長野止まり
篠ノ井〜長野を標準軌と狭軌の複々線にする理由は、この区間に貨物列車が走っていることと、名古屋方面からの特急が走っているためです。実際に現在も篠ノ井〜長野は狭軌の複線に並列して標準軌の複線が並列しているので、問題ないでしょう。実際と違う点を入れるとすれば、標準軌の複線の方にも普通列車用の駅を設けることでしょうか。というのも標準軌になった軽井沢〜篠ノ井には標準軌の普通列車が必要ですし、その列車が長野〜篠ノ井の間の駅にも停車しないと意味がないためです。

所要時間はどうなるでしょうか?
実は、軽井沢〜長野は距離にして75kmで、これは北陸本線の福井〜金沢と同じ距離です。北陸新幹線の敦賀延伸前の特急サンダーバードで福井〜金沢は最速42分(停車タイプで49分)くらいでしたので、上記の信越本線の軽井沢以西を標準軌に改軌したミニ新幹線の場合は、線形のことも考えれば軽井沢〜長野を最速45分くらいで走破していたでしょう。
導入車両はフル規格のE7系12両ではなく、ミニのE6系ないしE8系の12両になっていたのではないでしょうか。E6系12両を導入し、熊谷〜高崎〜安中榛名あたりで300〜320km/hを出すことで、東京〜軽井沢の所要時間を5分くらい短縮して1時間くらいにできたとして、東京〜長野の所要時間は1時間45分〜2時間くらいだったのではないでしょうか?これなら、現行のフル規格の所要時間+10〜20分くらいですね。軽井沢以西の在来線区間も130km/hではなく140〜150km/hにできれば、現行と遜色ない所要時間にできそうです。

長野新幹線が正真正銘の長野止まりのミニ新幹線だった場合、北陸新幹線は上越新幹線の長岡か浦佐から分岐して今のほくほく線のようなルートを通っていたでしょう。
ほくほく線をはじめから複線のフル規格で作る前提として、北陸新幹線を浦佐から分岐させるとします。こうなると東京〜北陸の移動で、浦佐でスイッチバックが発生することになりますが、それ以前は長岡で上越新幹線から特急北越に乗り換えだったはずなので、長岡乗り換えよりはマシでしょう。
ほくほく線をフル規格で建設していた場合は、犀潟ではなく直江津駅接続となっていたと考えられ、直江津から先は旧運輸省案のスーパー特急の計画(を標準軌版にしたもの)に従って建設が行われていたでしょう。
東京からは浦佐スイッチバックになるくらいで、新潟方面からスイッチバック無しの新幹線も走ることになったのではと思います。
運用としては、以下の通りかなと思います。
・北陸用のE6系を高崎方、上越用のE5系を東京方(いずれも8両)につなぐ
(現在の東北・秋田新幹線と似た併結スタイルにするため)
・東京〜高崎で併結、高崎で分割併合
・北陸用のE6系は、高崎〜浦佐ノンストップ、浦佐でスイッチバック、ほくほく線ルートで北陸方面へ
・上越用のE5系は、高崎以北は越後湯沢停車にする代わりに浦佐通過

今となっては、この方が以下の理由で色々と無駄がなかったと考えられます。
・先ほどお伝えした通り、しなの鉄道の単線化の議論は起こらなかった
・ほくほく線がはじめから新幹線として建設されたために、現在の様な赤字にはならなかった
・今になって新潟県が東西の高速化を求めることもなかった

湖西線もそうですが、ほくほく線もフル規格新幹線を見越して建設すべきだっただけに残念でなりません。少し建設費が高くても後からフル規格車両を通せるように準備して(あるいは、いっそのこと最初からフル規格新幹線として)建設すれば良かったのに、それをしなかったという意味では【安物買いの銭失い】になってしまったのではないかと思います。

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