ドキュメント72H 福岡わらび餅の流し屋台
冷たいわらび餅にきな粉をたっぷりとまぶしてもなかで挟む。これが屋台流。一つ130円。
やすっ。
磁石のようにみんな引き寄せられる。
引力のある屋台。
サクッ。もちっ。
82歳の女性。小さい頃から買ってもらってたんだって。思い出も一緒に食べる。
車椅子の女性、2個買い。帰る頃にはモナカがヘナヘナになるので一個はお兄さんの目の前でパリッと。
仕事帰りの男性も甲子園一回戦敗退の高校生も吸い寄せられてる。
午後七時閉店。自転車で屋台を引いて帰る。
今日は社長の出勤日。店番と屋台は交代。社長が語る屋台の出自。福岡大空襲で孤児になった子どもたちのために安くてお腹いっぱいになるものをとの思いから。
初めてのわらび餅は、インドネシアから来た技能実習生。先輩のおごりは嬉し。将来の夢は牛を飼うこと、牧場経営。がんばれ。美味しかったからもう一つ、また買いに来た。今度は、自腹かな。
歯科助手さんと患者さん?不思議な関係。仏様にわらび餅の人。新米社長のご馳走に預かる社員。なんか、人情のある街だな、博多。
流れに乗って生きてる人たち、屋台も。
雨が降ってきた。モナカもきな粉も水は大敵。
流れに乗れないときは退散。
雨が止んだら、また流れがくる。
働けることは幸せという女性。お母さんにお土産買えるのも幸せ。家に帰ってワイワイ食べるのも幸せ。屋台の食べ物がくれる幸せが溢れた。
フィリピンから来た女性。小さい頃に病院を嫌がる子どもたちのご褒美に買ってあげた。いつしかわらび餅は子どもたちのソウルフードに。今でも子どもたちがだい好きよ、というお母さんの笑顔が素敵だった。
なんか、浮かぶよね。屋台はたくさんの笑顔と思い出をつくる。