子供向けアニメのような本の内容
普段買う本を決めて本屋に行くのだが、昨日ふらっと本屋に寄った。
面白いミステリーを読み終えた直後だったので、違うジャンルを読みたいなと漠然に思っていた。
そこでいわゆるエモい表紙だった今回の本「桜のような僕の恋人」を選んだ。
主人公である晴人は美容師である美咲に恋をする。施術中に事故を起こしてそれをきっかけに接点を持ち、何回か共に過ごすことで美咲の夢に対する姿勢から、かつて諦めていた写真家になるという夢を再度目指すことにした晴人。そんな晴人に心惹かれ付き合い始め幸せになろうとしていた矢先、美咲が人の何十倍もの速度で老化してしまう「ファーストフォワード病」に罹患していることが発覚する。容姿が崩れてしまう様を最愛な晴人に見られたくない一心で心を痛めながら別れたが、療養中に晴人が個展をすると知る。もう1人では立てないくらいに弱っていたが、なんとかその個展を見に行く。そこで晴人とすれ違うが別人のようになってしまった美咲に気づくはずもなく会えないまま個展から帰ってくる。
その2日後美咲はこの世を去る。これからも美咲のために写真を撮り続けようと決意する。
ここで話は終わる。
私には読んでいる最中ずっとなんらかの違和感があった。
まず途中に出てくる文体だ。
途中二人でお花見に出かけるシーンである。あまりお花見が好きではないと主張する一幕のことだ。特に私が嫌いなシーンを抜粋しよう。
「お、お、おめぇら、桜が見たいんじゃなくて外でどんちゃんしたいだけだろうが。ていうか、なんで日本人ってこうも花見が好きなんだ?ああもう、これじゃあせっかくのお花見デートが台無しだよ……。『おぇえーーーーー!』おっさーーーーん!なに吐いてんだよぅ!」
写しているだけなのに熱が出てそうな文章である。
最初は「花見」といっているのに、次では「お花見」と言っていることも気になる。
しかし問題はもっと根本にあるのだ。
本当につまらない。話の内容は普通なのだがこの表現で一気に読む気が失せた。お金出したからしょうがないし読んでおくかになった。
ここまで読んでわかると思うが私的には面白くなかった。文章もそうだが感動の押し売りが否めない。
ほらここ!泣いて!と言われているようだ。
文章ではなく内容についても面白くなかったポイントを大きく2つ紹介したい。
1つ目は「都合が都合良すぎである」という点である。
これはジョーカーな感じがするが、特にこれは酷かった。そもそも読者はどこまでも客観視しか出来ないのである。小説のような波乱万丈な日常を送っている読者はいない。そんな奴は小説など読まない。
良い作品というものはそんな客観視つまり他人事であることを忘れさせてくれる作品のことだと思うのだ。主人公を自分に重ね合わせ没入させなくてはいけない。
しかし、設定が作者とのグルであると読者に気付かれると、興ざめしてしまう。むしろ腹まで立ってくる。お金を払ったのにと。
2つ目は「ひねりが全くない」だ。
桜という単語が題名に入っている時点で美しいものが絶頂で散り儚いというお話である。
なのにいくつかの希望を持ってしまった私がバカだった。
これは自分が悪いな。名前で本を選ぶべきではないという理論を虫が良いのは重々承知で今だけ無視したい。
こうやってまとめてみると、アンパンマンとこの本の本質ってなんだが似てると気付き、妙に納得してしまった。
あと単純に恋愛小説が苦手なだけかも。他人事だと思い嫌悪してしまう。
王道の感動恋愛小説が読みたいという人には刺さること間違いないだろう。
もうこの手の小説は読まないと学べたと思えば、660円は安いだろう。
…いやサイゼのエスカルゴにドリンクバーが付けられるのか。
自分は構造が一緒だが違う悩みと独自の世界観に強い憧れを持っている
のだなあと全部書き終わって1人で納得してしまった。
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