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名作劇場「童話の世界から:海外編」vol.6『裸の王様』(アンデルセン童話)

人間心理の弱点を辛辣に捉えた寓話として著名な作品であり、アンデルセン
の代表作の1つとされる。

原作はスペインの王族フアン・マヌエルが1335年(建武2年)に発表した寓話集『ルカノール伯爵(スペイン語版)』に収録された第32話「ある王といかさま機織り師たちに起こったこと」である。

身の回りに批判者や反対者がいない(あるいは我が強すぎて批判・反対を自分にとって都合よく解釈する。当然ではあるが、正当な批判・反論すらも聞かずに猛進するため当然ではあるが、正当な批判・反論すらも聞かずに猛進する。

実は裸であるのに騙されて着衣しているとも我込んで・・・。


【あらすじ(ウィキペディアより)】
ある国に、新しい服が大好きな、おしゃれな皇帝がいた。ある日、城下町に
二人組の男が、仕立て屋という触れ込みでやってきた。
彼らは「自分の地位にふさわしくない者や、手におえない馬鹿者」の目には
見えない、不思議な布地をつくることができるという。

噂を聞いた皇帝は2人をお城に召し出して、大喜びで大金を払い、彼らに新しい衣装を注文した。皇帝が大臣を視察にやると、仕立て屋たちが忙しく織っている。

「ばか者には見えない布地」とやらは大臣の目にはまったく見えず、大臣は
たいへん困るが、皇帝には自分には布地が見えなかったと言えず、仕立て屋
たちが説明する布地の色と柄をそのまま報告することにした。

その後、視察にいった家来はみな「布地は見事なものでございます」と報告。

最後に皇帝がじきじき仕事場に行くと「ばか者には見えない布地」は、皇帝の目にもさっぱり見えない。

皇帝はうろたえるが、家来たちには見えた布が自分に見えないとは言えず、
布地の出来栄えを大声で賞賛し、周囲の家来も調子を合わせて衣装を褒める。

いよいよ、皇帝の新しい衣装は完成し、パレードで新しい衣装をお披露目することにし、見えてもいない衣装を身にまとい、大通りを行進する。

集まった国民も「ばか者」と思われるのをはばかり、歓呼して衣装を誉めそやす。

その中で、沿道にいた一人の小さな子供が、「だけど、なんにも着てないよ!」と叫び、群衆はざわめいた。

「なんにも着ていらっしゃらないのか?」と、ざわめきは広がり、ついに皆が「なんにも着ていらっしゃらない!」と叫びだすなか、皇帝のパレードは続くのだった。


【童話「裸の王様」が教える教訓】
権力者のために見えないものも見えると言ってしまう人間心理。

周囲には的確な助言をしない部下ばかりだと、自分を見失い最後には大恥をかく。

どんなに権力者や実力者でも自らを驕り高ぶり、批判や反対意見、真実を
きちんと受け入れないと失敗や自滅する。


【その他】
・子どものように正直に言うことの大切さ
・ミエや世間体を気にしてダマされる偉い人(王様)の滑稽さ
・問題提起として価値があるのは、初めに発した「子どもの一言」のみ
・「子どもの一言」の後に同調して叫ぶ大人に価値はない

現代社会では、個人個人がクローズアップされる。そのことは、個性的であることを求められる一方で、個性的であることが叩かれる理由にもなる。

そのような仕組みの現代社会において、「ハダカの王様」は、これまでのように、子どもや王様だけから教訓を得るのではなく、態度を一変させた民衆という立場を反省的な見方で分析し、教訓を得ることで、現代的な意義を持つお話になる。

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