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日本語は難しい?使い方間違っていませんか?Vol.8「おざなり」と「なおざり」

「おざなり」は、「いい加減であること、その場のがれのこと、間に合わせ」です。

おざなりは「御座形(御座成り)」と書きます。

芸者さんにお酒を注いでもらって会話を楽しんだり、ゲームをして遊んだりするいわゆる「お座敷遊び」を指す言葉です。

江戸時代後期の川柳にこんなものが見つかりました。

「お座なりに芸子調子を合はせてる」(『柳多留』五十八)

現代風に訳すると、芸者が適当に合いの手を入れて調子を合わせている、といった意味になるでしょうか。

ここから転じて、「お座敷遊びほどの、本気ではない、酒の席の、その場しのぎの、適当さ」を「おざなり」と表現するようになったのです。


「なおざり」は、「深く心にとめないこと、本気でないこと、いい加減、かりそめ」です。

「なおざり」は「等閑」と書きます。中国由来のとても古い言葉です。

唐の詩人・白楽天の「琵琶行」には、「秋月春風等閑に度る」と書かれていますが、これは「秋の明月、春の花風と、浮かれて暮らしているうちに」と訳されます。

もともと「等閑」は、「気にも留めずに、ホワホワとしていい加減に」
という意味で使われたのです。

白楽天の詩が我が国で流行ったのは、ちょうど『源氏物語』が書かれた
平安時代中期のことです。

もともとはどちらも「いい加減」を意味する言葉でしたが、現代で使うときは次のような違いがあります。

「おざなり」は、「曲がりなりにもなにかをやった。でも、それは(結果として)いい加減なものだった」という意味で使われます。

これに対して、「なおざり」は、「やらなければならないことがあるのだけれども、やらないままでいい加減に投げ出している」として使われます。

どちらも、「いい加減」である点については変わりありませんが、「する」か「しないか」で大きな違いが現れているのです。

まあ確かに似ていますので難しいと言えばそうですが?

おそらく正しく使えていなかったように感じます、反省ですね!

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