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中高年は山野をめざす②

ハシゴを登って到達した磨墨岩頂上に座す天狗像は頭が欠落していた。
ちなみにここにいるのは羽が生えてくちばしがある「烏天狗」。鼻が高いのが「鼻高天狗=大天狗」で、烏天狗は「小天狗」にあたるとのこと。
パンダもそうだけど、大(ジャイアント)より小(レッサー)の方が可愛い。などと言ったら罰あたる。
そして頭がない天狗様にお祈りした。
「袈裟丸山中の寝釈迦像に会えますように」

可愛い方

磨墨岩頂上でしばらく景色を楽しむ。
榛名大直線(県道33号)を車が通るたびにメロディラインの「静かな湖畔」がよく聴こえる。タイヤによって奏でられるカッコーの鳴き声が低い。
天狗像の反対側には「意波羅天」の文字が刻まれた石碑が。
これは御嶽信仰の五神「御嶽山座王大権現」、「八海山大頭羅神王」、「武尊山大権現」、「意波羅山大権現」、「阿留摩耶天宮」の一つとのこと。
このあと御嶽信仰は自分にとって山登りの一つのテーマとなる。

意波羅天と榛名富士と榛名湖

それにしてもいつも思うのだが、山岳信仰の人々はどうやって石を岩や山のてっぺんに担ぎ上げるのだろうか。それも修行の一環なのだろうが、山の頂上や斜面でたくさんの石造物を見て、いつも同じ想いに駆られる。
昔はこんな便利なものなかったであろう金属製のハシゴをつたって磨墨岩から降り、役行者像が岩の下部の洞窟にあるとのことなのでそれを探す。
「行人洞」と呼ばれる洞窟(横穴)があり、その中に役行者とその従者である前鬼・後鬼像。近くには不動像や岩への線彫(線刻)も。いずれも年代は新しそう(昭和初期?)。
そちらにもお祈りした。

右奥に役行者たちがおわす
光で顔が飛んでいるが左から後鬼、役行者、前鬼
小野関三太夫さんによる線彫(線刻)の不動明王?

話変わるが、昔から冒険小説が好きで、「ソロモン王の洞窟」のハガードとか、戦前の小栗虫太郎や香山滋、山田正紀等々。
財宝や秘境、珍しい生物を求めて砂漠だの密林、海、川、山を超えて、様々な試練に襲われながら歩き、すごい頁を割いて目的地に着き、本当なら帰りも同じルートを歩まなければならないはずなんだけど、あっさり数頁で終わってしまう。
ここではそうした偉大な物語に敬意を表し、帰路はあっさり終えます。でももちろんちゃんと歩いているし、なんなら疲労感で行きよりしんどい。
車に戻りそのままスポーツショップに向かい、登山用の杖を買った。
天狗様にお祈りもしたし、一つ山登りの経験も積んだし、最強補助アイテムの杖もあるし、万全の体制で翌週袈裟丸山に再び望む!
果たしてその程度で大丈夫なのか?

帰りの「ゆうすげの道」から見た榛名山

ところで富士山ご当地アイドル「3776」というアイドルグループはご存知だろうか。
グループとはいったものの、実際には歌う井出ちよのと作詞・作曲・編曲、ギター等々諸々を担当するプロデューサー石田彰の二人組。
1stアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』(2015)は富士山の標高3776メートルを3776秒という収録時間に設定し、1秒につき1メートルを登っていくコンセプトになっている。

3776を聴かない理由があるとすれば

曲の途中の「Interval」では背後で経過秒数=登頂メートルを井出がカウントしており、1から3776まで数えさせられたらしい。
というような日本人にとって富士山とは何か?そしてアイドルとは何か?みたいなことを考えさせられるアルバムなのだが、そのなかに「日本全国どこでも富士山」という曲があり、全国各地で「富士山」と呼ばれる山を紹介している。
その中で羊蹄山(蝦夷富士)、大山(伯耆富士)、開聞岳(薩摩富士)、Mount Rainier(ダコタ富士)かつ等々と並び関東代表として榛名富士が紹介されている。
榛名山も改めて見ると綺麗な富士山型!
日本人の心にインプリンティングされている美しさ。

別の日に榛名湖越しに

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