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「世の中にアンテナを張り続ける」これが成長の秘訣

世界中のモノやコトとの連携によって人々の手間を無くし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などによって社会を豊かにすることを目指し、サイトコントローラーや比較サイトを運営する手間いらず。
創業20周年を迎え、「第三創業期」としてさらなる飛躍に向けて新たなスタートを切った当社の代表に今回インタビューをしてみました!

【プロフィール】
代表取締役 渡邉 哲男(わたなべ てつお)
1971年10月16日生まれ 福島県出身
慶應義塾大学商学部卒業後、ベンチャーキャピタルにて経験を積み、2003年に当社を設立。
趣味は旅行で、性格は真面目で慎重(育った土地柄もかな…)。

趣味の旅行とベンチャーキャピタルの経験をビジネスへ活かす

創業のきっかけを教えてください

学生の時は、世の中の仕組みも分からず、やりたいこともなかったので、様々な業界を相手にすることができて色々な視点で物事を捉えられるはずと思い、新卒でベンチャーキャピタルへの入社を決めました。

当時はITバブルが盛り上がってきたタイミングで、会社からITへ積極的に投資するよう指示があり、私の初案件もIT関連でした。
かなりの額を投資しましたが、雄弁に事業の将来性を語っていたその会社の社長は資金が集まった途端に豹変してしまい、資金を派手なオフィスや社長の無駄遣いに費やし、肝心の本業はほったらかしに。その後ITバブルは弾け、最終的にその会社は他社に吸収され、私の初案件は失敗に終わりました。

その他にも様々な企業の投資に携わり、「自分ならもっとこうするのに…」といった思いを抱くことも多くなり、自分でもビジネスを経験した方が良いと思って起業を決意しました。

なぜ"比較サイト"というビジネスで起業したのか

創業ビジネスである「比較.com」は、元々前職の合間を縫って趣味のように更新していた航空会社のマイレージサービス比較サイトが原型になっています。海外旅行が趣味で色々な航空会社のマイレージを比較することが多くあったことと、当時の仕事柄ITに関する情報を多く収集していて、興味もあったことから自作でマイレージを比較する個人サイトを立ち上げました。

「hikaku.com」というドメインを取得したのもその時でした。
ドメインの空き状況を調べた時にたまたま「hikaku.com」というドメインが空いていたのでとりあえず取得しました。当時はドメインの価値もあまり分かっていなかったので年間1万円くらいのドメインの維持費すら高いと思っていました(笑)

個人サイトを立ち上げ約2年程は平日の夜や週末など空き時間を見つけてサイト更新を頻繁に行っていましたが、ITバブルの崩壊とともに私の情熱も尽きてしまい、それ以降はほとんど更新しなくなりました。
しかし、しばらく放置していたドメインから"放置するなよ"という誘惑と、「最低資本金規制特例制度」が登場したことにより、人々が生活していく中で、あれば便利である比較サイトの事業を基盤に起業を決意しました。

最低資本金規制特例制度とは…
商法・有限会社法上、必要な資本金(株式会社は1,000万円以上、有限会社は300万円以上)を、5年間免除し、会社設立後に事業を行いながら用意すればよいというもの。

東京中小企業団体中央会より

創業当時の思い

インターネットビジネスは製造業などのように資本金がほとんどいらないこともあり「世界を変えてやろう」とか「誰かを幸せにするサービスを生み出していこう」といった強い覚悟感はあまり持たずに創業しました。
とはいえ、前職の経験からリターンをとれる広告宣伝や人材への投資は惜しまないものの、オフィスや備品などにかかるコストを徹底して削減することや、買収リスクを減らすため外部資本は入れないという経営方針はしっかりと決まっていました。「とにかく自分で経営をやってみる」という思いが1番強かったように思います。

創業20年経った今

先程も述べた通り、創業当時は強い覚悟感というものはあまりなかったのですが、創業して20年経った現在は上場も果たしているため、投資の効率化などをはじめ、外部から求められる要件も多くなり、利益はもちろんのこと企業価値を上げていかなくてはいけないという使命感が強くあります。
また後程述べますが、社会課題を解決するための行動もとっていきたいと考えていますので、創業当時よりもやりたいことが明確になったことはもちろん、やらなくてはいけないことのスケールも大きくなったように感じています。とにかく会社として成長していくために自分のできることをやっていかなくてはいけないと考えています。

いつまでも世の中にアンテナを張って、一人ひとりが主役でいてほしい

社員にはどのような思いを持って働いてほしいと考えているのか

営業部や開発部など自身の所属部署に関係なく、良いモノを生み出すためにワークしてほしいと考えています。社長としてこれまでの経営で「大企業病に侵されないようにする」ことを気を付けてきました。
例えば人をたくさん採用して組織化したり、きれいな職場環境を用意したとしても働く社員が「ワーク」してくれないと意味がありませんし、現状維持が続きいずれ衰退してしまいます。
そのため働く社員それぞれに"主役でいてほしい"と考えています。
自分で思考する力と課題を解決する力を身に着けてほしいと思いますし、そうやって個人が成長することで、結果的に手間いらずという会社も成長することができるからです。

ネームバリューがあるとどうしてもそれに頼ってしまいがちで、本来の自分のスキルを磨くことが難しいですが、当社には有名企業のような知名度がないですし、少数精鋭だからこそ"一人ひとりが主役になれる"環境が整っていると考えています。

特に当社の現在のメイン事業であるサイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズは創業ビジネスである比較.comよりも、営業やカスタマーサポートがお客様からの声を引き出し、それを開発と連携し新たな機能やサービスの開発へと繋げています。それぞれが自分は営業だからここまでしかやらない、自分は開発だからシステムを作ることしかしないといった線引きではなく、それぞれの部門の社員がプロジェクトに混ざり、情報共有や意見を交わすことができるため、より"良いモノを生み出す"ための環境があります。

一人ひとりが主役になるためにはどのようなことを意識すると良いでしょうか?

私はこの会社を起業する前、普通に企業の一社員として働いていました。
その時から私自身大事にしているのは「常に世の中にアンテナを張る」ということです。皆さんも十分に理解をしていると思いますが、世の中は常に変化をしていきます。会社としても個人としても、それに対応していかないとニーズに応えられず衰退してしまいます。
だからこそ一緒に働く社員には、ただ言われたことだけをやるのではなく世の中に対する感度を高く持って業務に取り組んでほしいと考えています。
その行動が一人ひとりを主役にする礎の1つになるはずです。

また、世の中にアンテナを張り続けて感度を高めていれば、人は近くの未来を予想することができます。
例えば、将来成長する会社であれば株価が高くつきます。それは投資家が情報をキャッチして評価しているからこそ、そういった値段が付くのです。逆に株価が高い会社は将来伸びる可能性のある会社であると予想できるわけです。世の中に対してアンテナを張っていないと、こうした正しい情報をキャッチすることもできないので、何をやればいいのか分からなくなるのです。

ただ1点注意してほしいことがあります。
それは、情報収集・管理能力に長け、一人ひとりが主役級になる社員が増えてくると、手を抜く人が出てくることです。
例えば10の業務を本来であれば1人で10をこなすこともできるものをあえて2人でこなすだけになってしまうケース。2人でやるのであれば1人でこなすよりも余裕があるはずなので、ただ10をこなすだけではなく、プラスアルファでやるべきです。そういった小さな手抜きが積み重なると、能力は高いのに生産性は低い集団になってしまうので、意識して行動してほしいです。

既存事業のスケールと+αで社会課題の解決に取り組んでいきたい

ー今後、会社をどんな風にしていきたいと考えていますか?

既存の事業をスケールさせていくのは当然だと考えています。
特に当社は株式市場に上場している企業なので投資家の方から投資の効率も求められるからです。それに加えて、社会課題(少子化や人手不足など)を解決に導くような新たな事業も手掛けたいと思っています。具体的には何も決まっていないので、あくまでもやりたいことというお話になってしまいますが。

ー現在手間いらずで提供しているサービスも含め、社会課題を意識されてビジネス展開を考えていらっしゃるのでしょうか?

そうですね。
現在当社のメイン事業となっているサイトコントローラーは、宿泊施設の手間を省き、その分"おもてなし"や、他の分野に時間を割いてもらうことで宿泊施設はもちろん、宿泊客の方にも価値を提供できているからこそ、安定して売上を伸ばせているのだと思います。
社会課題を解決することは社会の一員である以上、しっかりと向き合っていくべきだと考えていますが、ビジネスの側面から社会課題を解決するためには解決に対してしっかりと価値を見出さねばなりません。

会社は言わずもがなビジネス組織なので、そう簡単にはなくならない事業を展開するのが重要です。社会課題にフォーカスした事業は急激に売上を伸ばすというのは少し難しいかもしれませんが、安定して収益をあげられるため、売上の"質"を考えていくと世の中に根差すようなビジネスを展開するというのは会社にとっても社会にとっても価値が見出せるのではないかと感じています。

ー本日はインタビューのご対応をしていただき、ありがとうございました。

社長が個人的に始めたマイレージを比較するサイトからビジネスを始め、現在のサイトコントローラーをメインとした事業体系へと変化してきた当社。
サイトコントローラーについては今回詳しく取り上げていませんが、創業ビジネスの比較サイトも現在のメイン事業であるサイトコントローラーのいずれも弊社の代表が常に世の中に対してにアンテナを張り続け、事業をスタートさせたことで、ここまで成長させてきました。

市場価値を高めたい、成長したいという方は是非参考にしてください!