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『ベリーショート』おばあちゃんの言う天界は、石造り

「おばあちゃん、どこ〜」

「はーい」

返事は聞こえるのにおばあちゃんの姿が見えない。

やっちゃんは、あちこち探す。
裏庭にいた。

「おばあちゃん、何してるの?」

「うん、こけを見てたの」 

やっちゃんは、ひょいと苔を飛びこえて、おばあちゃんの所まで来た。

「苔は、滑るから気をつけてね」

おばあちゃんが言うと

「分かってる。だから、ひょいと
飛んだんだよ」

「苔の何を見てたの?」

「苔の色を見てたのよ。ね、きれいな、濃い緑色になっているわよ。
雨が降ったから、きれいになったのね」

「ふうん、苔って生えたらゴシゴシして、取っちゃうのかと思ってたけど、こんなにきれいな苔は、取っちゃいけないね」

「そうね、やっちゃんは、よく分かるわね」

「えへへ?おばあちゃんに習ったの」

おばあちゃんは、苔の周りの雑草を取っていて、だから、余計に苔がきれいに見える。

「おばあちゃんは、いつも雑草を取ってるね。天界でも雑草を取ってたの?」

突然の質問におばあちゃんは、驚きやっちゃんを見た。

そして
「天界には草は無かったのよ。草は生えない所だったの」

と答えた。

『また一つ、分かった。天界は草は生えない所、えーと、あと、何を聞こう』

やっちゃんは、しばらく黙ってどう聞いたらいいか考えていた。

「えっとね、草がないのは、コンクリートだから?」

「コンクリートでは無かったのよ。特別な白い石の道があって、建物も同じ石で出来ていたのよ」

『石???天界に石。重くて落ちなかったのかなぁ。ううん、なんて聞いたらいいかなぁ』

やっちゃんは、また頭の中が聞きたいことがいっぱいで言葉に困っていた。 

やっちゃんは、おばあちゃんが答えやすくなるように『なんて言ったらいいか』考えていた。


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てみ
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