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冬が来る前に
冬が来る前に、しなければならないことがたくさんありました。
まずどんぐり拾い、そして栗拾い、畑に行ってサツモイモをいただく。
冬眠が待っているクマには忙しい季節でした。
「おかあちゃん、おにいちゃんがくり食べてるよ。いいの?」
「いいよ。お姉ちゃんも食べなさい」
お腹いっぱい食べなくては冬眠が出来ないクマ。
この時期、食べることは大切なことなのです。
「あー、おにいちゃんがくり全部食べちゃったよー。もう栗、無いよ」
母クマは、また林の中を歩きながら
栗の木を探します。
子どもたちにヒモじい思いをさせたくない思いが母クマを行動させているのです。
「ちゃんとした冬が来ればいいなぁ」
母クマは、思いました。
寒さも和らぐ頃、目が覚めると、まだ冬なんです。
たいしてお腹も空いていません。
でも、子どもたちは、違います。
食欲旺盛でどんどん食べる子どもたち。
行っては行けないところまで行ってしまうから目が離せません。
「何かで境界線を作って欲しいものだわね」
母クマは、いつも思いました。
友だちが何頭も人間に撃たれて死にました。
子どもたちのそんな姿は、見たくありません。
母クマは、また食べ物を探しに出ました。
そして、
栗や木の実を見つけて帰って来ました。
「あらお兄ちゃん!」
お兄ちゃんは、栗を隠していました。
「えへへ、おかあちゃんも食べなよ、取っておいたんだ、栗」
「なんて子なの、お兄ちゃんは」
母クマは、嬉しく思いました。
そして、
もう一人前なんだわ、と思いました。
声を出して泣いてる男がいた。
感動したらしい。
他の子どもたちは、キョトンとしている。
「良い話だなぁ、そうやって大人になるんだろうなー」💦💦
双葉幼稚園の恒例行事、
『クマの冬眠』のお話でした。
「泣かれてるお父さまは誰のお父さまかしら?」
「ボクの!」
マサシくんが手を上げた。
「お父さん、話、終わりましたからね。マサシくんとお帰りください」
マサシくんのお父さんは、
「明日も来ていいですか?」
と言ったので、そこにいた皆んなが笑った。
「マサシくんのお父さん、おもしろーい」
よほど感動したらしいマサシくんのお父さまでした。
おしまい
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