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恒星系消滅までの22分をループし続けるオープンワールド宇宙ADV「Outer Wilds」がとんでもない傑作だった【ゲームのなかで旅行に行こう】
最近クリアした「Outer Wilds(アウターワイルズ)」がすばらしかったので、少しでも多くの人に届いてほしくて今これを書いています。個人的に10年に1本あるかないか級のド傑作だったのでもっと広まってくれ……!
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「Outer Wilds」めちゃめちゃ良かったので1000万本売れてほしい……
— 池谷勇人 / Hayato Ikeya (@tekken8810) May 26, 2020
・22分後に超新星爆発で滅んでしまう恒星系が舞台
・主人公だけがなぜか最後の22分間をループし続ける
・ループを繰り返し、宇宙の隅々まで探索し滅亡の謎を解く
・ループものやゴリッゴリのハードSF(特に量子モノ)が好きな人に pic.twitter.com/JKFkCeV1xu
そもそもこのゲームを知ったのは、「Downwell」作者のもっぴんさん(@moppppin)がTwitterで激推していたからで、正直僕なんぞがオススメするより先にこっちを貼った方がいい気がするので貼ります。もっぴんさん、さすがいいゲーム見つけてきますわ……。
Outer Wilds ってゲームを最近クリアして本当にすごかったので広めたくてしょうがない PortalやDark SoulsやUndertale級に革新的で新しくて、なおかつゲーム性とストーリーテリングが完璧に融合してて 本当にすごい体験だったhttps://t.co/8V7jQ6b6NL
— もっぴん (@moppppin) April 22, 2020
太陽系のいろんな星を旅しながら壮大な謎を解いていく感じのゲームなんですけど 見たことないような壮大な仕組みのレベルデザインと遊び 謎が謎を呼ぶけど最終的に全伏線を回収するすごいストーリー 壮大なスケールなのになぜかコンパクトにさえ感じられるようになってる綺麗な誘導 完璧なんですよ
— もっぴん (@moppppin) April 22, 2020
宇宙、量子力学とかへんてこ科学、謎解き、アツい伏線回収、発見と驚き、こういうののどれか一つでも好きな人には超おすすめ 単純に真新しいゲーム体験求めてる人にはもっとおすすめ
— もっぴん (@moppppin) April 22, 2020
自分は結構前にこのゲーム買って30分くらい遊んだ印象としてあまりにも壮大で時間かかりそうだったから一旦置いちゃったんだけど 最近再チャレンジして本当に良かった 壮大なのになぜかコンパクトなんですよ!矛盾してるかもしれないけど プレイ時間自体は数日がんばればクリアできるレベルと思う
— もっぴん (@moppppin) April 22, 2020
とりあえず、この時点でもう「あ、これ好み」と思った人は、これ以上何も情報を入れずにさっさと遊んだ方が多分幸せになれます。
現状遊べるプラットフォームはPS4、Xbox One(ゲームパス対応!)、PC(Steam、Epic Games Store)で、価格は2500~3000円くらい。
さて、貼るものは貼ったのであとは好きに書く! ネタバレはないので安心してお読みください。一応、ゲームライターマガジンの今月のテーマ【ゲームのなかで旅行に行こう】にちなんでいます。
太陽爆発までの22分を繰り返す、オープンワールド宇宙アドベンチャー
ゲーム内容についてあらためて説明すると、「太陽系消滅までの22分間を繰り返しながら、宇宙を隅々まで探索しループの謎を解くゲーム」といったところ。プレイヤーは4つの目を持つ半魚人のような種族「ハーシアン」の新米宇宙探査員となり、念願の宇宙探索へと出発。しかし、やがてこの星系がきっちり22分後に“ある理由”で滅びてしまうこと、そして自分だけがなぜか「最後の22分間」を延々ループしていることに気付く――。
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1枚目:半魚人のような種族「ハーシアン」
2枚目:主人公が乗る宇宙探査船。わりとすぐ壊れる
3枚目:滅亡5秒前(左に見える青白い光が太陽)
Twitterで見掛けた言葉を借りるなら、「超コンパクトなノーマンズスカイ」+「宇宙版ムジュラ」と言えば伝わりやすいかも。多少ゲーム的な強引さもあるけど、大筋ではド直球のハードSFなので、ジェイムズ・P・ホーガンとか、あと量子モノという点ではグレッグ・イーガンとか好きな人には超オススメです(量子力学まわりの知識はあってもなくてもいいというか、むしろこの作品を入り口にして量子モノに入ってもいいくらい)。
滅亡爆発までのタイムリミットは22分間。途中で死ぬか、時間切れで滅亡を迎えるかすると、スゥゥーーー………………ブハッ! と目が覚めてふたたび22分前に。プレイヤーはこの「22分間」を何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返しながら、さまざまな惑星を巡り、かつてこの星系に住んでいた先人「ノマイ」の痕跡をたどったり、同じハーシアンの先輩探査員と出会ったり、ときには何の成果も得られないまま宇宙の塵になったりしつつ、少しずつ「真実」へと近づいていく。
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1枚目:目覚めるたびに目に入ってくる光景。何度見たことか……
2枚目:宇宙のいたるところに遺されたノマイの遺跡
3枚目:なぜかみんなのんきにキャンプしている先輩探査員たち
プレイヤーが行ける惑星は、大きなものが6つ、それに衛星や彗星、宇宙ステーションなど小さなものがいくつか。太陽系全体でも直径100キロに収まるくらいで、宇宙船を使えば太陽からもっとも遠い惑星でも1分とかからずに行けてしまう。惑星と宇宙はシームレスに行き来でき、このへんはまさに「超コンパクトなノーマンズスカイ」という表現がぴったりだと思う。
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舞台となる恒星系。探査船なら端から端まで1分もかからず行ける
惑星のバリエーションも豊富で、絶えず片方の惑星からもう片方へと砂が流れ落ち続けている「砂時計の双子星」、水に覆われ、わずかに残った陸地も巨大な竜巻で定期的に宇宙へと打ち上げられている「巨人の大海」、中心核に小さなブラックホールを持ち、崩れた地表が常に中心に向かって吸い込まれ続けている「脆い空洞」など、新しい場所へ行くたびに「よくこんな設定思いつくな!」と感動してしまう(そしてどの惑星もそれなりに危ない……何度「脆い空洞」のブラックホールに落ちたことか)。
加えて、各惑星は時間とともに変化しつづけており、1回の探索で全部を回りきるのはほぼ不可能。例えば「砂時計の双子星」なんかは、時間がたつにつれて惑星全体にどんどん砂が積もっていく(もう片方はどんどん減っていく)ので、特定の時間にしか行けない場所もあったりする。
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1枚目:巨大な砂時計のような「砂時計の双子星」
2枚目:一面を海と竜巻に覆われた「巨人の大海」
3枚目:中心にあるブラックホールが怖い「脆い空洞」
宇宙へ出るまでのチュートリアルを終えたらあとはどこへ行って何をしてもいいという作りで、何をどうすればクリアになるのかさえ示されないので、最初の十数周くらいは正直ちょっとつらいものがある。
しかし、各地を旅して情報を集めていくうちに、やがて全然関係ないと思っていた情報と情報がフッと交差し、ゲームが一気に動き出すタイミングがあって、ここまで来るともう止まらない。あとは坂道を転げ落ちるような勢いでこの世界にハマっていき、最後の数日間は文字通り寝る間も削って没頭してしまった。
手に入れた「知識」がそのまま成長になり、先へ進むためのアイテムになる
面白いのは、キャラクターの成長や、便利なアイテムの入手といったイベントがなく、次のループへ引き継げるのは「前の探索で手に入れた知識だけ」という点。かわりに、各惑星の地形や特徴、この星系の文化、生物の特性、量子のふるまいなどなど、あらゆる情報の蓄積がプレイヤーの成長になり、新たな場所へと導くカギになる。
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一見意味不明なものでも、あとあと重要な手掛かりになることもある
もしかしたら他愛のない子どもの日記のようなやりとりや、一見落書きのように見える模様さえ重要な手掛かりになるかもしれない。いわゆる「パズルのためのパズル(a.k.a.ゼルダ問題)」がなく、純粋にこの太陽系や先人たちについて深く知ることが、そのままゲーム攻略につながる構造も美しい。足場が崩れて登れない塔があったら、フックショットを探そうとするのではなく、ここはどういう場所なのか、先人たちはここで何をしようとしていたのか、そのうえで今の自分には何ができるのかを立ち止まって考えてみよう。最初から全ての場所への扉は開かれていて、何なら1周目でクリアしてしまうこともできる。
ちなみに大事な情報は宇宙船のコンピュータ(航行記録)に自動で記録されていくので、メモとかはとらなくても大丈夫です(ただ、やるべきことが増えすぎると混乱するので「解決していない疑問リスト」は個人的に作ってた)。航行記録だけは次のループにも引き継げるので、序盤はとりあえず航行記録の穴を埋めることを目標にするとたぶん迷わないはず。
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膨大な情報の中から、必要な情報だけをイイ感じにまとめてくれる、超優秀な「航行記録」。とりあえず迷ったらこれを見ておけば間違いない
愛すべき先人「ノマイ」の話をさせてほしい
ええと、気付けばなんだかすごく普通のゲーム紹介になってしまった。ホントはストーリーについても語りたいんだけど……あの、絶対ネタバレにならないように気をつけるから、これだけ語らせてもらっていいですか!!??? 「嫌嫌絶対何も見たくない!!!」という人はもうここで帰ってもらって大丈夫なんで……っていうか早く買って遊べ。
※以下、ちょっとだけストーリーへの言及があります(ネタバレ……にはならないように気をつけてるつもり)。
個人的に、このゲームで一番ツボだったのが、愛すべき先人「ノマイ」たちの存在だった。
ここまでの説明で多分ほとんどの人は察したと思うんだけど、このゲームを攻略することってつまり、ノマイたちが辿った足跡を解き明かすことなんですよね。そして困ったことに、彼らについて知れば知るほど、プレイヤーはこの先人たちのことが好きになってしまうという構造になっている。
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ホネになって博物館に展示されてるノマイさん
とてつもなく進化した科学と文明を持ちながら、数奇な運命に引き寄せられ、それでも歩みを止めることなく、勇敢にも「その先」へと進もうとしたノマイたち。ユーモアがあって、魅力的な文化体系を持ち、知的好奇心にあふれ、未知への探求のためなら多少の犠牲をもいとわない。今でも彼らのことを考えるたびに胸がキュンとなってしまうのは、未知の荒野(Wilds)を切り開くことで歴史を作ってきた、人類の歩みと彼らの姿がちょっと重なるからなんですよね。いや、だからといってアレをアレするのはやりすぎだと思うが(地球人並の感想)。
彼らがそこまでして求めたのは何だったのか、彼らはなぜこの太陽系から姿を消してしまったのか、それはゲームの中でちゃんと明らかになるんだけど、全ての「?」がアンロックされた瞬間、なんというか、感動、驚き、恐怖、興奮、畏怖……いろんな感情がいっぺんに襲ってきて、僕は「ウワーーーッッッッッ!!」という感じになって死にました。とりあえずネタバレ抜きで言えるのはこのへんが限界ですが、あともう1つ「ソラナムちゃんのファンイラストとかもっとないの!!?!??!」というのは声を大にして言っておきたいところです。
それとこのゲーム、SFなのにやたら「キャンプでマシュマロを焼く」シーンが出てくるんだけど、これも実は最高にエモい使われ方をしていて……(以下自重)。とりあえず「クリアすると確実に焼きマシュマロが食べたくなる」ということは書いておきます。
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マシュマロ食べる実績もある
大げさではなく、10年に1本あるかないかの傑作
冒頭で「個人的に10年に1本あるかないか級のド傑作」と書いたのは誇張でも何でもなくて、終わった後もこれほどいろいろ考えてしまうゲームは自分の中でここ数年なかったと思う。
Twitterでも書いたけど、クリア直後は感動とか喜びとかよりも、「今の記憶を失いでもしないかぎり、もう二度とこの興奮は味わえないんだ」という喪失感の方が大きくて、一時はちょっとした虚脱状態になったりもした。もっぴんさんも「終わって寂しいゲームUndertale以来だ」と書いていたけど、わかるよ! それめっちゃわかる! まだ遊んでいない人は、まだ遊んでいないことに感謝しつつ遊びましょう。
Outer Wildsが面白すぎたので喪失感がすごい……終わってしまった喪失感というか、「記憶喪失にでもならない限りこの体験はもう一生、二度と味わえない」という事実の重さに打ちのめされている……
— 池谷勇人 / Hayato Ikeya (@tekken8810) May 25, 2020
Outer Wilds 終わっちゃって寂しい 終わって寂しいゲームUndertale以来だ
— もっぴん (@moppppin) April 26, 2020
そういえば感謝といえばもう1つ、冒頭のツイートを投げた翌日、Twitterでマシ・オカさんから「あざーす!」とリプライをもらってビックリした。実は開発元のMobius、マシオカさんが設立したインディースタジオなんですよね。
ということでみんな、マシオカさんに感謝しつつ「Outer Wilds」5億本買おうな!!!!
あざーす!
— Masi Oka (@MasiOka) May 27, 2020
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