登山での膝の痛み:その原因と対策を徹底解説
山で会ったらこんにちは!低山ハイカー英武ゆうです!
今回は、私自身が20代から抱えている悩みでもある「膝の痛み」について、詳しくお話ししていきます。実は、この問題は私だけでなく、多くの方が抱える深刻な健康課題なのです。
膝の痛みの実態:データが語る現実
厚生労働省の国民生活基礎調査(2019年)によると、健康上の悩みとして「手足の関節の痛み」は、男性では第5位、女性では第3位に位置しています。この調査は幅広い年齢層を対象としており、若い世代から高齢者まで、多くの人が関節の痛みに悩まされていることを示しています。
別の調査では、膝の痛みを感じ始める年齢についても興味深いデータが示されています。サンケイ工業株式会社の調査によると、10代から膝の痛みを感じ始める人もいますが、特に20代から40代にかけて急増する傾向が見られます。
膝関節の基本構造を理解する
膝の痛みを理解するためには、まず膝関節の構造を知ることが重要です。膝関節は人体で最も大きな関節であり、以下の要素から構成されています:
骨:
脛骨(すねの骨)
大腿骨(太ももの骨)
膝蓋骨(膝のお皿)
軟組織:
軟骨
靭帯
筋肉
腱
正常な膝関節では、これらの要素が調和して働き、歩行や方向転換などの動作を痛みなく行うことができます。膝関節は蝶番のような関節で、大腿骨と脛骨の間で曲げ伸ばしが可能です。膝蓋骨は、太もも前面の筋肉と脛骨をつなぐ腱の間にあり、膝を伸ばす際の滑車の役割を果たしています。
これらの骨の表面は弾力のある軟骨で覆われており、クッションの役割を果たしています。また、大腿骨と脛骨の間にある半月板も、関節への衝撃を吸収する重要な役割を担っています。
代表的な膝の痛みとその原因
膝の痛みには様々な種類があり、それぞれ異なる原因と症状を持っています。主な症状を部位別に見ていきましょう:
1. ジャンパー膝(膝の上部の痛み)
膝蓋腱炎とも呼ばれ、太ももの大腿四頭筋を膝蓋骨につなぐ腱の炎症です。バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作の多いスポーツで発症しやすい症状です。
2. ランナー膝(膝の外側の痛み)
腸脛靱帯に関連する症状で、ランニングや自転車など、膝の外側を多用する運動で発症します。骨と靱帯の摩擦による炎症が原因です。
3. 膝蓋大腿関節症
膝蓋骨と大腿骨の接触部分の軟骨に関する問題です。膝蓋骨が正しい位置からずれたり、過度の負荷がかかったりすることで軟骨が摩耗する症状です。
4. 滑膜ひだ障害
膝関節内側にある滑膜の炎症です。滑膜は関節の動きを滑らかにする滑液を作る膜で、これが炎症を起こすと膝の動きが悪くなります。
5. 変形性膝関節症
特に50代以上で多く見られ、歩き始めや立ち上がり時に痛みを感じる症状です。軟骨のすり減りが原因で、進行性の疾患です。
6. 半月板損傷(外側)
これは私自身が抱えている症状でもあります。膝関節の外側にある半月板の損傷で、スポーツ活動中の受傷やカレーによって起こることが多い症状です。特にジャンプの多い競技(私の場合は幅跳びや高跳び)や、サッカー、バスケットボールなど、急な方向転換の多いスポーツで発症しやすい傾向があります。
残念ながら、半月板は血管が乏しく、修復に必要な栄養素が運ばれにくいため、一度損傷すると自然治癒は望めません。治療法は大きく分けて保存療法と手術療法があり、症状が軽度の場合は保存療法を選択します。しかし、効果が見られない場合は手術が必要となることもあります。
最近では再生医療という新しい選択肢も出てきており、自分の血液や脂肪から採取した幹細胞を膝に直接注入することで、半月板の修復を促す治療法も行われています。
7. 半月板損傷(内側)
内側の半月板は外側と異なり、人体と固定されているため、可動域が制限されています。実際、内側と外側の半月板では、動きの範囲に2倍ほどの差があります。外側の半月板は荷重分散がしやすい円形に近い形状をしているため、損傷の頻度は内側より少ないとされています。
8. ジャンパー膝(膝の下部)
膝蓋腱と脛骨を結ぶ部分の症状で、膝の曲げ伸ばしによる負荷の蓄積で炎症が起きます。特にバレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作の多いスポーツで発症しやすい症状です。
9. 鵞足炎
膝の内側にある縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの筋肉と脛骨をつなぐ部分(鵞足)の炎症です。ランニングやサッカー、水泳など、膝の曲げ伸ばしやひねる動作が多い運動で起こりやすい症状です。
10. オスグッド・シュラッター病
主に10-15歳の成長期の子供に多く見られる症状で、脛骨粗面が前に突出したり剥離したりして炎症を起こす状態です。成長期の軟骨が硬い骨に成長している過程で過度な負荷がかかることで発症します。
治療法と対処方法
膝の痛みへの対処法は、症状の種類や程度によって異なります:
診断:
レントゲン検査
MRI検査
医師による診察
治療選択:
保存療法(軽度の場合)
手術療法(重度の場合)
再生医療(適応する場合)
症状別の対処:
炎症がある場合:アイシング
慢性的な痛みの場合:温める
固定が必要な場合:サポーターやテーピング
リハビリ期:ストレッチや筋力トレーニング
予防と継続的なケア
膝の痛みを予防し、改善するためには、継続的なケアが重要です。しかし、人間の習慣化には一定の時間が必要です。古川武さんの研究によると:
行動に関する習慣化:1ヶ月
体のリズムに関する習慣化(運動など):3ヶ月
思考に関する習慣化:6ヶ月
そのため、いきなり高強度の運動を始めるのではなく、寝ながらできる簡単なストレッチから始めることをお勧めします。継続を支援するツールとして、「継続する技術」というアプリの活用も効果的です。このアプリは、目標を一つに絞り、達成状況を視覚的に示してくれる機能があります。
特に重要なのは太もも周りの筋肉のケアです。膝の痛みの多くは、この部分の筋肉の状態と密接に関連しているためです。まずは無理のない範囲で、継続できる運動習慣を作ることから始めましょう。
より詳しい膝のケア方法については、YouTube「低山ハイカー英武ゆう」チャンネルでご紹介していますので、ぜひチャンネル登録をお願いします。みなさんと山でお会いできる日を楽しみにしています!
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