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season 1

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様々な背景を持つ複数人でそれぞれ綴る公開日記/エッセイ。 同じアパートに暮らす住人のように、交わりそうで交わらなさそうなそれぞれの日常。 (第1期は7〜9月)
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#文章

[第1期]書き手紹介

様々な背景を持つ複数人でそれぞれ綴る公開日記/エッセイ。アパートに暮らす住人たちの交わりそうで交わらなさそうな、それぞれの日常。 (第1期は7〜9月) re デザイナー IT企業のインハウスデザイナー。UI/UX・グラフィック・プロダクトのデザインやマネジメント・データ分析・社長のためのバンド奉公など仕事の幅が広すぎて何もわからなくなってきた。デカい水を見て煙草を吸うことと無防備な時間帯に人と話すことと水色と紫色がすき。ゴキブリ以外は多分食べれる。 Instagram

自然とアスファルト | HINATABOKKO

札幌にも、ようやく夏がやってきた。歩くだけでじんわりと汗をかく、そんな陽気。こういう日は梅シロップのソーダ割りがいい。とろっとした飴色のシロップに炭酸を注ぐ。シュワシュワッと爽やかな音を聞くだけで、体温が少し下がったような気分になる。 ソーダ割りをすすりながら、窓の外の一本の木を眺める。我が家の庭には、松の木が生えている。樹齢はわからないのだけど、多分自分よりもずっと長いこと、生きているのだろう。カラスがよく巣を作るからと、あたまの方を斬られて以来、少し不恰好な形をしている

梅雨明け | re

最近雨が多かったせいか太陽を見ると「外に出なければ…」という謎の焦燥感と「この日差しの中外に出たら後悔するに決まっている」というこれまでの学習の鬩ぎ合いで、結局日が暮れるまで家で横たわり、ぬるくなった時間帯に自転車で銀座までサイクリングをして欲しいのか欲しくないのか分からないものを買ってしまう日々。 そんな梅雨明けを皆様いかがお過ごしでしょうか。 ケントハシグチの「交換日記的なことやりたい人~!」という誘いに考える前に「やりたい」と言い出していたのですが、特段書きたいことや

Dear | motoi

18日で個展終了。 裏舞台はいつもドタバタ。無事に終えれることが嬉しい。 個展に合わせて作った新作の指輪は‘ Dear ’と名付け、個展タイトルも同じものにした。 コンセプトが無いと作れないというのもあり、シリーズごとにコンセプトを掲げている。 Dearも同じく。 4月、南仏のMarseille。 Airbnbで見つけた宿は、アパートの最上階に住むカップルの家の一室。 セミダブルベッドと椅子、机、壁には世界地図と恐らく過去の宿泊者からの手紙が貼られた部屋に案内され、私は荷

身になるもの | オオタミユキ

「趣味ってなんですか」 わたしはこの質問にいつも戸惑う。 趣味という趣味が思いつかないから。 陶芸を、映画鑑賞を、お菓子作りを、 趣味ということができる人生がいいな。 これと言えるほどではないけれど 日常的に息抜きとしていることは料理だ。 特別ではない、ただ自分が食べるためだけのごはん。何でもいい。その開放感が不思議とやる気を育ててくれる。 元々、料理が好きなわけではない。 21歳で実家を出てから25歳くらいまでは料理に積極的ではなかった。 食べることは大好き。小

こじらせないためにも書いていたい話 | ちろ

すっきりとした文章を書ける人が羨ましい。 ここで言う「すっきりとした文章」というのは、どこか淡々としていて、大概「〜だ」「〜である」で締めくくられていて、感情も多少露わになっていて、他者の目をあまり気に留めていないように思える、カラッとした文のことだ。なんとなくのびのびしていて読んでいて気持ちが良いと思う文。そういう文章が生まれるまでに、計り知れない苦悩も苛々も背景がたくさんあるとは重々分かっている。それらを経て綴られたすっきりした文章にあこがれる。 わたしはどちらかといえば