身になるもの | オオタミユキ
「趣味ってなんですか」
わたしはこの質問にいつも戸惑う。
趣味という趣味が思いつかないから。
陶芸を、映画鑑賞を、お菓子作りを、
趣味ということができる人生がいいな。
これと言えるほどではないけれど
日常的に息抜きとしていることは料理だ。
特別ではない、ただ自分が食べるためだけのごはん。何でもいい。その開放感が不思議とやる気を育ててくれる。
元々、料理が好きなわけではない。
21歳で実家を出てから25歳くらいまでは料理に積極的ではなかった。
食べることは大好き。小さな頃からよく食べる子だった。割と最近まで、よく食べることは褒められるべきことだと思っていた。
20代前半はどうやって生きていたのだろう、と今となっては不思議に思う。外食が好き、コンビニ飯も好き、マクドナルドは特別好き。でもどれだけおいしい外食も続けば飽きが来る。贅沢な悩みだなと思う。
それに比べると家で作ったごはんは飽きない。
「毎日違うものを作らなければ…!」と意気込んでる訳ではないのに。
我が家の定番は豚肉と野菜を使った何か、お味噌汁、副菜。気分が乗ると副菜がもう一品。
よく料理をするようになったのは明らかなきっかけがある。レシピ本をジャケ買いしたこと。
それまではスマホでレシピを検索し、その通りに手順を踏んでいるはずなのに、うーん…という出来。分量もちゃんと守っているのに何かが足りない…としっくり来ないから料理は好きになれなかった。
何が違うのかはわからないけど、多分ざっくり3工程くらいしか書いてないレシピが私の性分に合っていたのだと思う。「あとは感覚を養いなさいよ」と言われてる気になって、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚で料理をすることが楽しくなっていった。
初めはレシピ本通りに、じきにスマホのレシピも手を出せるようになり、食材などのアレンジができるようになり、足せばおいしくなる味がわかるようになってきた。
スーパーに立ち寄って季節の食材、安いタンパク質で今日のレシピを決める。冷蔵庫で眠ってる余り物の野菜たちはお味噌汁にしたら、なんでもおいしい。(お味噌汁のおいしさに気付いたのはここ1年くらいで、今では毎日作っている。土井善晴先生の一汁一菜とは名言ですね。)
こんな偉そうなこと言ってますが、毎日自炊をしてるわけもなく週5日がいいところ。目指せ週6日。
簡単でいい。続けなくてもいい。
夜ごはんを食べない日だってある。
たまに居酒屋に行くと「こんな手の込んだ料理が数分で出てきて、1000円もしないなんて…本当にいいんですか!?」と思うことができる。ほろほろの豚の角煮なんて感動もの。お酒を飲んで酔ってしまってもいい。だって、あと片付けもしてくれるんだから。
今考え直すと散歩も趣味なのかも。
そのことについてはまた今度書き起こすとしようかな。
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