母の日に考える女性活躍
数年前にあるYouTubeが話題になりました。米国のAmerican Greetings社が制作したCM動画です。
「世界で一番過酷な仕事」と書かれた求人広告を見て応募してきた人が、面接官とWeb面接を行います。そこで文字通り過酷な仕事の内容が告げられていきます。この仕事内容は現場総監督であり、週7日24時間労働で休日は無し、医学や財務などの複数の知識が求められる。。このような厳しすぎる労働条件に求職者たちは「ありえない」「クレージーだ」と呆れますが、そのあと誰もが予想しない展開が訪れ、納得と感謝があふれます。これ毎回泣きます(笑)
皆さんはこの動画を見てどのような感想を持たれたでしょうか?母になった人であれば「当たり前だよ」と軽く思うかもしれませんが、この仕事は本当に過酷です。母の偉大さを再認識させられます。
女性活躍推進
私(車文宜)は女性ですが、昨今の「女性活躍推進」の論調には反対です。理由は、女性は男性に比べて経済価値を創出できていない為「もっと活用しよう」とか「そのための仕組みを作ろう」という風に聞こえるからです。
国民の半分にあたる女性が家に居たり時短で働いているのは、会社経営や経済学の視点で見れば「創出する経済価値が少ない」と見えるかも知れません。しかし私たちは経済の世界にのみ生きているわけではありません。GDP数値には表れない労働もあります。それを無理やり経済価値に置き換えようとすることに違和感があります。
女性活躍 in 経済社会ではなく、女性活躍 in 人間社会と捉え直してみてはいかがでしょうか。女性は大地です。万物を載せ、成長させるという重要な存在だとすると「経済価値を生み出すための優秀人材を育てる」という女性の重要な仕事があるのです。
◆女性らしさ、女性の役割というと反発がありそうですが、言い換えれば女性の特権でもあります。なぜ女性が大地なのか、また男尊女卑の本来の意味については前回書いていますのでご参考にどうぞ。
賢妻良母
この「優秀人材を育てる世界で一番過酷な仕事」について、古来東洋には「賢妻良母(日本語では良妻賢母)」という言葉があります。妻として賢くなり、その経験から良い母になるという意味です。昔はおばあちゃんが側にいて教えてくれたり、「女徳」という女性に対する専門教育もありました。しかしこのような教育も、この言葉自体も差別用語だとして、中国の学者でさえ批判された過去があるようです。
女性への専門教育を批判する一方で「女性に自由を!」と訴えても、結婚した瞬間に家の管理ができる賢い妻になれたり、働きながら突然良い母になれたりするわけではありません。子供ができてから急いで子育て本を買ってあれこれ試したけど期待通りにいかなかったり、男の子と女の子の育て方が違うことに後から気づいたり。。動画にもあったように交渉力、交際力、医学、財務、栄養学などの能力や広い知識、マルチタスク、そして体力が必要です。女性の社会進出と、母親による児童虐待や育児放棄の件数が比例しているように思うのは私だけでしょうか。
子育て最重要ポイント、親孝行
弟子規研究所では『弟子規』という古来の教育書で書かれている内容をベースに、子供向けにどどまらずビジネスリーダーや子育てをするパパママ向けにその活用方法を発信し、みなさんそれぞれの実践をサポートします。
今日は母の日ということで、子育ての最重要ポイントをご紹介します。近年の風習で子供の成長に悪影響を与えていると感じていることの一つが「誕生日のお祝い」です。『史記』の中に「父憂母難日也」という一文があり、古来東洋の風習では子の誕生は父の畏怖の日、母の苦難の日とされていました。したがって子の誕生日は、本来は父母への感謝を示し親孝行をする日とされていました。
子供が社会に出る前までは、父母との関わりの中で他者と自身の感情を学習します。どんな言動によって人は喜怒哀楽を感じ、影響をされるのかを学習します。「誕生日のお祝い」で子供を主役にしてしまうことで、子供は父母への孝行を忘れ傲慢になってしまいます。子供の意識を自分に向けさせるのではなく、まずは親や家族に向けさせ、他者思いができるようサポートしましょう。
そのために何から始めるか。子供の誕生日に突然「パパママに感謝しなさい」といっても子供も困惑してしまいます。まずは皆さん自身が誕生日に父母への感謝の気持ちを伝えてみるのはいかがでしょうか。きっと子供もそれを見ているはずです。
母の日と父の日が増えましたね。しかし、親には感謝しつくせないほどの恩恵をいただいています。
車文宜&手計仁志
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