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【読書記録】「古文の読解」小西甚一

題名からして明らかに高校参考書なのだが、どういうわけか手に取ってしまった。いや、別に大学生が読んじゃいけないものじゃないんだけど。

後半はかなりの分量で問題演習があって、大概はすっ飛ばしてるのでろくに読んでないが、前半の話なんかは結構面白い。望月に劣らぬ権力者道長の生活は現代庶民よりもお粗末だったとか、中古平安への回帰が日本の古典主義だとか、まあ基本的に受験しないし古文にも普段触れない人にとって、タメになる話ってのは前半だけかな。ただ後半の俳句の鑑賞は感動した。おくのほそ道とか原文で読んでみて、こういう俳句おもろいなとか思ってたんだけど、その時は五七五で読んでただけだった。だがこの本ではたった17シラブルに何行にも及ぶ想像と理解を加え鑑賞していたのが非常に印象的で、なるほど自分の俳句の理解というのは今まであまりにお粗末だったのだなと痛感した。

高校のうちにちゃんと読んでおけばまだ面白かったかもしれないが、もう古文が教養でしかなくなってしまった自分にとっては、問題演習なんか入試合格を追い求めさせられる少年少女のあさましき業に見えてしまう。つい去年まで自分がその1人だったことは他所に放っておいて何言ってるんだって話だが。

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