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生成AIに読書感想文を書かせてみたら……

子どもの頃、夏休みの宿題と言えば、夏休みの日誌、自由研究、夏休みの絵、そして読書感想文。いつも最後まで残るのが読書感想文だった。
 
本を読むことは好きだったが、課題図書はいつも自分が興味を持てるものではなくて、たいした感想も書けなかった。やたらと「、」を打って文字数を稼ぎ、段落を多くして、かろうじて原稿用紙2~3枚の感想文にしていた記憶がある。

それでも、大人になり、子どもができてから仲間と一緒にワーキングマザー向けの情報紙を作るようになり、文章を書くことに興味を持った。

以前、編集・ライター講座を受講したときのこと。どの課題でも講師からほめられる女性がいた。彼女が書くエッセイは、飛行機の機内誌に載っているような、おしゃれでちょっと色っぽさを感じさせる文章だった。

彼女は子どもの頃、課題図書の帯を読んだだけで感想文を書いて賞を取っていたという。なるほど、文筆業をなりわいにできるのはこういう人かと納得した。

それから20年、出版社や編集プロダクションに就職しなくても、インターネットでライターの仕事ができるようになった。Webライターが書く記事におしゃれな文章は必要ない。大事なのは、中学生でも理解できるわかりやすさと検索されやすいキーワードが含まれていることだから、私でも何とかやれている。

しかし、経験を積んでも、締切までにきちんと記事をまとめられるか不安になることはよくある。逆に、締切がひとつもないのは仕事がないことを意味するから、締切がまったくないのも不安なものだ。

2024年度も読書感想文全国コンクールはあるので、今でも読書感想文を夏休みの宿題にしている学校は多いだろう。もしかしたら生成AIに作文を書かせてシレっと提出する子どもがいるかも。でも生成AIは平気でウソをつく。

ちなみにChatGPTに「あなたは小学校5年生です。今年の小学校高学年向け課題図書『ぼくはうそをついた』の読書感想文を1200字程度で書いてください」と頼んだら、ほんの数秒で1100字の作文を書いてくれた。「些細」が漢字で表記されているが、それ以外に難しい漢字は使われておらず、小学生が書いたような作文に仕上がっている。

「ありがとうございました」とお礼をしたら
「どういたしまして! お役に立ててうれしいです。また何かお手伝いできることがあれば、いつでも教えてくださいね」
と返してきた。

でも調べたら中身はまったくのデタラメ。うそをついたことを反省したという主旨の、本の内容とは無関係のことが書いてあるだけだった。

次に、本のあらすじを資料として与えて同じ質問をしたら、かなり精度の高い作文を生成した。編集・ライター講座で知り合った女性と同じくらいのことをほんの数秒でやってのけるらしい。

「本の内容をよく理解していますね。ありがとう」とお礼をしたら
「どういたしまして! 読書感想文を書くのがまた必要になったら、いつでも手伝いますね」だって。

生成AIは人間の相棒になるかもしれないが、文章を書く人はAI以上の文章を書けるスキルを持ち、校正者や編集者としてAIの文章をチェックできるスキルを持っていなくてはいけない。

よい子のみなさんも決してまねをせず、作文は自分で書いてくださいね。

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