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篠田桃紅展に行ってきました

篠田桃紅を知ったのは1年前。海外でも大変有名らしいのですが、不勉強で全く知りませんでした。

特集番組で「私は書道家ではない。墨象画家だ」との言葉に大変感銘を受け、それから名前を記憶するようになりました。

書家の定義はやはり『墨で文字を書く芸術家』なのだと思います。
文字を書かなかったら、それはあくまで抽象画で水墨画です。
そこらへんの区分けの知的解釈が私にズバンときたわけです。

そんな篠田桃紅展が名古屋にやってくる!ということでいそいそとタカシマヤへ。

11時につくと特別会場にはすでに長蛇の列が。
さぁチケットを買って並ぼうと売場に突進した時、大変上品なマダムに呼び止められました。

「今日一緒に来る人がこれなくなったので、このチケットいかが?」

私は一も二もなく微笑をたたえたマダムからチケットをありがたくいただきました。実にラッキー。私は幸運な人生を歩んでいる。

あの時のマダム、本当にありがとうございました。

2人で並んだのち会場内へ。

篠田桃紅ワールドが炸裂です。
全てが上品で鮮烈。素晴らしいの一言。
線をひいているだけですが、じっくり鍛えられた線をしていて、あとで仮名をやっていたと知り、確かに太字仮名の風合いが出ている様でした。

解説を読むと線をひいた時の墨痕に魅せられてそれを作品化していったそう。

話が変わりますが、電車オタクには阪急電鉄、発車ベル、駅の音楽、車両、枕木、線路と推しのジャンルがありますよね。
ちなみににわかフィギュアスケート視聴者のわたくしの推しジャンルは振付です。

つまり、どの分野でも大なり小なりオタクには推しがあり、この分野でこのジャンルが好きだと明言されると、より焦点を絞ることができるわけです。

その観点から鑑みるに篠田桃紅は書道の中でも墨痕推しなのだと理解できます。

さて『墨痕が好きだ。墨痕を突き詰めて作品を書いている』と、明言されているので、観客は墨痕に注目して観ることになります。

作品鑑賞をするに当たって注目ポイントを単純化し明言されると作品が大変観やすくなります。そして、作者の視点を追体験できます。

実に分かりやすくまとめられた作品展だと思いました。

最後に篠田桃紅の年表が張り出してありました。
頭から見ていって1/3過ぎたところで私の年齢です。さらに進んで行き、2/3のところで72才の父の年齢となりました。

106歳バリバリ現役作家の彼女からみたら、私などまだまだちょろっとしかプロをやっていない作家なのだと痛感しました。

色々考えさせられるとても素晴らしい篠田桃紅展でした。

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