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シン映画日記『マッシブ・タレント』

グランドシネマサンシャインにてニコラス・ケイジ主演映画『マッシブ・タレント』を見てきた。

零落れた俳優ニック・ケイジがある大富豪のパーティーに参加したら、アメリカの諜報機関にスカウトされ、その大富豪を少女誘拐容疑としてスパイすることに。

主人公はニック・ケイブというロサンゼルスに住む俳優で、かつては『フェイス/オフ』や『コン・エアー』、『ザ・ロック』、『コレリ大尉のマンドリン』など幅広いジャンルで大活躍したスター俳優だが、最近は話題作には出られず、仕事を選ばず小規模の映画ばかりに出演。『コレリ大尉のマンドリン』でスタッフとして知り合った妻とは離婚し、16歳になる娘とは断絶中。浪費癖から多額の借金を抱える…など、
全部ではないけど、ほぼほぼそのまんまニコラス・ケイジを使った映画。

ドキュメンタリーのようでドキュメンタリーではない劇映画だが、ニック=ニコラス・ケイジとして明らかに使い、遊んでいる。
『オーシャンズ12』のジュリア・ロバーツや『マルコヴィッチの穴』のジョン・マルコヴィッチ、『容疑者、ホアキン・フェニックス』のホアキン・フェニックス、細かい所では『コーヒー・アンド・シガレッツ』のビル・マーレイなど、劇映画で演者を演者本人として使う手法は過去にいくらでもある。
本作『マッシブ・タレント』はモロにニコラス・ケイジを使っている。

しかも、CG処理で若い頃のニコラス・ケイジが妄想キャラとして現れて、ニック・ケイジを煽るが、あの分身の発想は『アダプテーション』だったり、大富豪を武器商人として怪しむあたりに『ロード・オブ・ウォー』、LSDでぶっ飛ぶあたりに『ドッグ・イート・ドッグ』など、比較的最近のニコラス・ケイジ主演映画の引用めいたものを上手く使っている。

しかしながら、2000年以降の婚歴・恋愛傾向とかヅラ疑惑とか際どいのはニコラス・ケイジ自身がプロデューサーでもあるのでシャットアウトしているし、
ロサンゼルスの豪邸やプライベートジェットなどを使ってしまうので、かつてよりは零落れてはいるかもしれないが、悲壮感はゼロ。
つまり、一見開けっ広げなようでいて、
実は安全圏での自虐のモキュメンタリー&コメディー、といったところかな。

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