シン映画日記『オマージュ』
ヒューマントラストシネマ有楽町にて韓国映画『オマージュ』を見てきた。
監督のシン・スウォンが、韓国初の女性映画監督パク・ナモクと2人目のホン・ウノンについてのテレビドキュメンタリーを撮影したことがきっかけで、彼女らをモチーフにした失われた映画探しのミステリー。
主人公ジワンは映画監督だが、自身の作品は映画ファンにも受けず、新作公開も劇場は閑古鳥状態。そんなある日、とある映画館のオープン記念に韓国初の女性映画監督ホン・ジェウォンを特集をやることになり、ジワンはホン・ジェウォンが監督した『女判事』の中で音声を入れる仕事を引き受けるが、映像を確認すると抜け落ちている部分があったことが分かる。
最近多い映画制作ものかと思いきやちょっと違い、絵画を修復したりする感覚に近いことをやっている。
ホン・ジェウォン自体はシン・スウォン監督が取材したホン・ウノン監督を中心にモデルにし、『女判事』という作品もホン・ウノン監督の作品になる。
主人公のジワンもそうだし、捜索題材になるホン・ジェウォンも1960年代に虐げられた女性映画監督ということで、主に女性の生きづらさみたいなのがテーマになっていて、
ジワン監督の私生活での息子や別居している夫とのやり取りからもこちらのテーマの方がより色濃い。
そうなると、
映画の軸になるはずの失われたフィルム探しや『女判事』のキャストや関係者を巡り、失われた映画を掴むエピソードも思いの外薄味。
時折、『女判事』の映像が流れるか、歴史的価値はあるんだろうけど、劇中劇にしてももう一つピンとこない。
さらには主人公ジワンが映画監督としても母親としても女性としても立ち位置が中途半端。
東京国際映画祭のコンペティション部門にも出した作品のようだが、ある意味東京国際映画祭コンペ部門らしい地味な映画である。