ただ書きたいことを、書けばいい
もっといいことを書かなきゃ。
役立つことが人に読んでもらえる。
誰かの心を動かしたい!
そんなふうに文章を書こうとすることがある。
ぼく自身、経営者さんの編集者としてライターの仕事をしているから、届けたいと思い悩んでいる人のために、ラブレターのように書いているんだけどうまく文章にできなくて困ってるという人ともに、伝えたい思いに寄り添う。依頼者さんの想う相手に伝わるような、心が動くような文章を書くことに全力で向き合っている。
ぼくはそのとき、ちゃんと書きたい文章を書いている。
たくさん考えて、こうしたら相手の心は動くんじゃないかな。この人はこんな人だからこういう言葉の方がいいんじゃないかなと。
あれやこれやと考えながら、やっぱり書きたい文章を追い求めているんだと思う。
ブログやX(Twitter)だって同じだ。
誰かの役に立ってくれたら嬉しい。こんな目線もあるんだよ、考え方も一つじゃないよ、ということを伝えられたらいいなと思って毎日書いている。
でもやっぱり自分の書きたいこと以上に、自分の心を揺さぶるような文章は存在しないから。
最初はいいのかもしれない。誰かのために書いた文章が、だれかの心に響いている。すごい!とかありがとう!といってもらえたり、いいねが増えたり。書くことで誰かの役に立っていると思えることはものすごく大事なことだ。
でも自分の心を揺さぶる文章でないと書いている意味なんてきっとなくなっていってしまう。
だれかのためにはいつか自分のための文章ではなくなってしまう。だれにも求められなかったとき、書く意味を見失ってしまう。
だから今日もぼくは書きたいことを書いていこうと思うよ。
もしかしたらこの文章を読んだ誰かが、「あ、書きたいことを書けばいいんだ」と感じてくれるかもしれない。
誰かが求めているだろうなということを考えて書いていたり、求められているであろうことを予想して書こうとしていたり、でもうまく書けなくて、上手に文章にできなくて書くことを途中でやめてしまったりしている人がきっといる。
かつての僕がそうだった。ぜんぜん書けずにいた。こんなんじゃ書いても意味がない、だれにも読まれないと何度も消して、結局は書けなくなってしまっていた。
そんなこと考えなくたっていいんだ。
あなたにしか書けない文章が絶対にあるから。
絶対と決めつけることは好きではないし、世の中には絶対と言い切れることが少ないことはわかっている。もしかしたら絶対なんて存在しないのかもしれない。
「絶対ずっと好きでいる」と好きな人にいった人の何人がまた別の好きな人と付き合って同じことをまた伝えていることだろう。数えてもきりがない。
それでもあなたにしか書けない文章しかない事は絶対だと言える。同じようなことを言っていたとしてもあなただけの思いがある。あなただけのストーリーがある。
それを書くということはあなただけの文章でしかない。
書けないことに怯えるな。書かないことに違和感を覚えよう。
なんで書きたいことがあるのに、自分は書いていないんだろう。
そんなふうに思えたら、次の瞬間にはあなたにしか書けない文章を書いている。
美しい言葉なんていらない。きれいな文章も書けなくていい。
下手くそだって、すこしくらい意味がわからなくたって。
ただ書きたいことを、書けばいいんだ。
書こう。あなたは書きたい人なんだから。
ぼくらは書くことでなにかを見つけられる人なんだから。書くことで表現したい人なんだから。
だから今日も、明日も。僕は書きたいことを書いていく。