胎児エコー:頭部
今回は胎児エコーでチェックする頭部について。
実は脳って臨床検査技師の苦手分野なんですよ。
いや、脳波もとるし髄液検査はしますが。
かなり専門性が高い分野になるので、
学校を卒業したてのルーキーは脳の解剖なんて全然わかりません。
少なくとも胎児エコーを習得するまでに私が一番苦労した解剖が頭部です。
そんな頭部のチェックポイントをみていきましょう。
胎児エコーについてのまとめはこちら
前回の流用なんですけどBPD断面でもチェックポイントがあるのです。
それはmid lineと透明中隔ですね。
mid lineと透明中隔が左右対称にあるか、途中で途切れていないか。
これだけでも複数の脳の異常を否定できます。
BPD断面を綺麗にだすことは計測の上でも大事ですし
異常がないかを見る上でも大事なのです。
続いて脳室を見ていきます。
といってもこの絵で示している側脳室は第3脳室後角と呼ばれる部分です。
第3があるということは。。。
ですが胎児エコーで一般的に側脳室を呼ばれるのはこの部分です。
10㎜以上で拡張疑い、15㎜以上でかなり拡大とされます。
左右差がないかもチェックしましょう。
また、側脳室内に脈絡叢が見えます。
この脈絡叢の中に水が溜まると『脈絡叢嚢胞』と呼ばれます。
妊娠17週ごろ見つかり妊娠22週前後で消えることが多いですが、
見つけたら所見に記載しましょう。
BPD断面から胎児背側のプローブの端を尾側に動かすと小脳が見えます。
ここで小脳径と大槽が計測できます。
小脳径が週数の数より少ない+大槽拡大の2項目あてはまると
小脳萎縮疑いになります。
以上が頭部のチェックポイントです。
本当はもっともっとあるのですが、
胎児エコー習得にあたり必須のものだけに絞ってみました。
最後に脳の異常というものについて。
脳というものは不思議な臓器で、例え1か所欠損があっても
欠損した部分の能力が0になるというものではありません。
柔軟な対応をしてくれる臓器です。
だからって検査が適当でいい場所でもありません。
児の両親にとってはかなりショックを受ける場所です。
異常をひっかけるにもかなりプレッシャーがかかると思いますが
そこはちゃんと検査していきましょうね。