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腹部エコー:基本断面(膵脾腎編)

前回に引き続き腹部エコーの基本断面。
今回は膵臓と脾臓、腎臓についてまとめていきます。

他の基本断面が見たい方はこちら↓

【膵臓】

膵臓1
膵臓2

膵臓は一番描出が難しい臓器ですよね。
腹部エコーに関わってない人からすれば、
膵臓の画像を見ても膵臓がどこか分からないなんてよくあることです。

描出のコツは脾静脈をだすことです。
解剖をみると脾静脈の腹側に膵臓があることがわかります。
なので脾静脈を追っていればいずれは描出することができるということですね。
一画面での描出が難しいときに『膵鉤~頭部』『膵体~尾部』で2枚とることが個人的には多いです。

もちろん観察は膵臓の実質が描出されなくなるまで全部みなきゃいけないんですが、基本断面として撮影するときは脾静脈と一緒にうつした画像にすると膵臓(特に膵体部)が分かりやすい画像になります。

膵鉤部~膵頭部は門脈に巻き付くようにあるので基本断面をとるときは
門脈を画面を中心にして撮りましょう。

膵尾部は解剖上胃の裏側に位置するので腹側からの描出だと
ガスで見えにくいことが多いです。
その時は絵の2枚目のように左肋間走査から描出してみましょう。

【脾臓】

脾臓

脾臓は辺縁と脾門部(脾動脈と脾静脈)が見えるビューで
基本断面を撮ります。

脾門部をうつすのは側副血行路がないことの証明
脾臓の大きさを計測するときに脾門部をうつしているところで計測するためです。


【腎臓】

腎臓

腎臓は背中側の左右にある臓器で2つあります。
両側ともに長径と短径の2枚ずつ撮影するため基本断面は最低4枚です。

肋骨で見えにくい臓器なので
被検者に側臥位になってもらったり、吸気状態で観察すると見やすいです。
(吸気状態だと横隔膜が下がり、腹腔内臓器も下がるため)

辺縁をきちんと出すのは腫瘤の否定の意味もありますが、
馬蹄腎だと下側(下極側)の辺縁が描出できず心窩部側へ続いていくため、その否定の意味もあります。

馬蹄腎自体は異常ではありませんが、背中側でつながっているところに腫瘤ができることがあるので観察を行う上で重要な情報です。
見つけたら必ず所見に記載しましょう。

今回は膵臓と脾臓、腎臓の基本断面について解説してみました。
腹部エコーの基本断面は以上となります。

次回からは所見を書く上で必要な知識について書いていきます。

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