函館本線沿線で出会えるお弁当の世界
まとめ
函館駅前で、やきとり弁当、森駅で、いかめし、長万部駅で、かにめしをいただいた。
やきとり→Grilled Belly
いかめし→Rice in the squid
かにめし→Flaked crab on the rice
先日、根室~釧路間を往復するため、花咲線に乗ったときに出会った駅弁について紹介しました。花咲線では、釧路のさんまんま、厚岸のかきめし、根室のやきとり弁当を紹介しました。気になる方は、こちらの記事をお読みください。
今回、函館から札幌へ函館本線を利用したときに出会った駅弁について紹介します。
函館のコンビニ名物やきとり弁当
函館市には、「ハセガワストア」というコンビニがあります。ハセガワストアは函館市、北斗市、七飯町に13店舗あります。名物が、やきとり弁当です。
1978年、お客さんから、お弁当のリクエストがあり、おにぎり用のごはん、のり、おつまみ用のやきとりを即興で組み合わせたことにより、誕生しました。
「やきとり」なのに「やきぶた」
「やきとり」と表記されています。しかし、豚バラ肉を串に刺して焼いています。函館市を含む道南地方では、「やきとり」と言えば、豚肉が多数派です。
道南地方は、養豚場が多く、鶏肉より手に入りやすかったからと考えられます。戦前、衣服を作ったり、食糧の確保のため、養豚が推奨されていました。肉の活用法として、やきとりのように、串に刺して焼く料理が誕生しました。
できたてが食べられる。
ハセガワストアのやきとり弁当は、しょうゆベースのタレ、塩の2種類ありました。今回はタレを選びました。
注文を受けてから、肉を焼きます。電熱線のやきとり台に、串刺しの豚肉を並べます。脂が滴り落ちると、炎を上げます。迫力のある映像が目の前に浮かびます。あったかい弁当でした。ふたを開けると、香ばしい串刺しの豚バラ肉がドンっと、構えていました。白米は、海苔によってタレの侵入が防がれています。注文を受けてからやきとりが焼かれるため、ジューシーなやきとりが味わえました。うなぎのかば焼きより、塩味の強いタレも食欲をそそります。海苔は、切込みがあり、食べやすさも追求されていました。
「やきとり弁当」オリジナルの商品もそろっていた。
木箱の見た目をした発泡スチロール製のお弁当箱です。ふたには、身を削って肉を焼くぶたちゃんのキャラクター、大きな「やきとり弁当」という文字が書かれています。
そんな「やきとり弁当」を活かしたオリジナルの商品も並んでいました。キーホルダー、クリアファイルなど、バラエティ豊富でした。何度も使えるお弁当箱を思わず購入しました。
森駅名物いかめし
函館から北上すると、噴火湾沿岸にたどり着きます。噴火湾沿岸にある駅が、森駅です。森駅の名物駅弁といえば、いかめしです。道南地方は、いかめしは、全国各地のデパートで行われる北海道物産展の常連です。阿部商店は、森駅から徒歩5分、森町役場近くにあるお弁当屋さんです。森駅前の柴田商店で販売されていました。
阿部商店が製造している。
いかめしは、阿部商店が製造しており、全国の物産展に積極的に出店しています。物産展の売り上げで9割を占めています。しかし、2020年、新型コロナウイルスの流行により、続々と物産展が中止となり、売り上げが激減し、倒産の危機を迎えました。コロナ禍がきっかけとなり、常温保存できるいかめし、いかめしをモデルにしたレトルトカレーが販売されるようになりました。
いかめしを食べてきた。
いかめしは、1941年、米不足の打開策として開発されました。イカの胴体にうるち米ともち米を独自にブレンドしたおこわがギュウギュウに詰め込まれています。イカとの一体感が強く感じられました。お米を詰めたイカの胴体をザラメ、醤油、水だけで作った甘辛い煮汁に入れ、弱火でじっくり煮込みます。イカは、加熱しても固くなりにくいヤリイカを使用しています。函館、八戸と言えば、イカの水揚げが盛んです。しかし、津軽海峡のイカだけでは、まかなえないため、世界各地から、いかめしのためにイカが集められています。
できたての温かいいかめしが食べられました。完熟の煮卵に近い見た目でした。食感もプリプリで、煮卵の白身に近いです。中は、もちもちとしたおこわが、ギュッと詰まっていました。
長万部駅名物かにめし
長万部は道南地方の鉄道の要所である。
新函館北斗駅から特急で1時間で行くことができます。長万部は、日本海側に向かう函館本線、太平洋側に沿う室蘭本線に分かれます。2030年代には、北海道新幹線が札幌まで延伸し、長万部駅にも停まります。現在の長万部駅は、新幹線の到来とともに、建て替えられることが決定しており、現在の駅舎が観られるのも、残り数年です。長万部駅の名物駅弁といえば、かにめしです。
「長万部名物の毛ガニを年中食べてほしい」という思いから1950年に誕生
長万部の名物が、毛ガニです。長万部町は、噴火湾の沿岸にあります。噴火湾では、毛ガニが7~8月に旬を迎えます。長万部町のキャラクター、「まんべくん」は、カニがモデルです。
かにめしは、長万部のご当地グルメと言っても過言ではありません。現在では、6つのお店で販売されています。それぞれのお店で食べ比べも楽しめます。
かなやの「かにめし」を食べた。
1928年に創業したかなやが発祥です。かなやは、創業以来、長万部駅で駅弁を販売していました。夏は、汽車内で、ゆでた毛ガニを販売することが名物でした。1年中、カニを味わってほしいという思いから、1950年、かにめしが誕生しました。できたてにこだわり、電車の到着時刻に合わせて作られてきました。現在は、お土産として、冷凍バージョンも誕生しました。
かなやは長万部駅前に本店があります。ドライブインも国道5号を30分ほど歩くとあります。ドライブインでは、かにめしだけではありません。かなや丼という中華丼も食べることができます。電車の車窓から見えます。食堂も経営しています。しかし、今年から休業しています。
かなやのかにめしは、毛カニのほぐし身を甘辛く煮つけたものが敷き詰められていました。真っ白の釜茹で毛ガニが雲のように浮かんでいました。錦糸玉子、グリンピース、しいたけも乗せられていました。海苔の佃煮、缶詰みかん、赤大根の漬物もついていました。
店主の鉄道愛伝わる休憩スペース
かなや本店には、休憩スペースも完備されていました。休憩スペースで、かにめしを味わうことができます。
休憩室の名前は、「自由席」。かなや本舗の店主の鉄道愛が強く感じられました。国鉄時代の電車に乗っている感覚に陥りました。汽車が走っていた時代の函館本線のビデオが流れます。ビデオを製作したのは、店主です。貴重な映像とともに、かにめしも美味しくいただきました。
おまけ:「さけめし」もある。
一日10食限定の「さけめし」もあります。さけめしは、鮭のフレークが敷き詰められた炊き込みご飯の上に、鮭の切り身を焼いたものが乗せられています。かにめしより100円安く、お得に感じられました。
今回は、函館本線で駅弁を楽しんだ話をしました。北海道の鉄道旅の楽しみ方を覚えました。