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北海道の都市の原点を巡る旅

結論

  • その地域の主要道路、歴史的に重要な河川、シンボルが基準となって街を整備していた。

  • 今回は、札幌市、帯広市、釧路市の原点を探った。

  • 原点を探ると、それぞれの街の特色がわかる。


なぜ、北海道の市街地は碁盤の目状に整備されていることが多いのか?

明治時代、政府は、国家予算を使って北海道を開拓しました。廃藩置県による失業した元藩士、新天地を求めていた農民を中心として北海道各地に派遣されました。都市計画の元、碁盤の目状に市街地が整備されました。碁盤の目状の市街地は、京都をモデルにしたと言われています。その名残は、東西を結ぶ通りのことを条と呼んでいることに現れています。

碁盤の目状に整備されているため、道に迷っても、標識を見れば、場所が特定しやすいです。今回は、北海道の市街地について、数学の観点で深堀しました。


「碁盤の目状の市街地がXY座標に見える。」

XY座標とは、XY 軸という基準を定めて、平面上にある点がどこにあるかを示す方法です。X,Yの位置を(X,Y)というように表されることが多いです。この(X,Y)というXとYのペアを表したものを、座標と呼びます。上図の細線同士が交差する部分を、座標で表現することができます。

地球の緯度(東西に結んだ線)、経度(南北に結んだ線)が1つの例です。緯度と経度の交わる点は、場所を示します。

緯度の基準(0度)は、地球の中間地点の赤道、経度の基準(0度)は、グレートブリテン島(英国)にあるグリニッジ天文台を通るグリニッジ子午線です。

赤道をX軸、グリニッジ子午線をY軸とすると、Xの値は緯度、Yの値は経度で表すことができます。すなわち、(X,Y)=(緯度,経度)のように、座標を表すことができます。東をX軸方向の+方向、北をY軸方向の+方向とします。稚内市の最北端、宗谷岬の位置は、(45.3,141.4)、男鹿半島の北西端、入道崎の位置は、(40,139.4)と表すことができます。

原点の定義

今回は、下の図のように、東西の基準をX軸、南北方向をY軸と定めます。東、北をそれぞれ+の方向とします。2つの軸の交点を原点と呼びます。中学生の頃、下の図のようなグラフを見た方は、多いと思います。

今回の記事では、北(南)X条東(西)Y丁目のように、座標で表すことのできる番地を基準とします。2024年、北海道を巡った中では、札幌市、帯広市、釧路市が当てはまりましたので、この3都市の原点に迫りました。

一方、〇〇町△△丁目と記載された地名は除外します。根室市、室蘭市、函館市は〇〇町△△丁目のような表記がされていました。


札幌市

札幌市は、北海道の中心都市です。2024年、196万人まで増加しました。北海道に住む方のうち約4割が札幌市に住んでいます。

札幌市では、大通が南北の基準、創成川が東西の基準となっています。

X軸=大通公園


1869年、札幌に来た開拓判の島義勇シマトシタケは札幌を南北に2つに分け、北側を官庁街、南側を住宅、商店街とする計画を立てました。しかし、1年分の予算を数ヶ月で使ってしまうなど、不手際があり、島は解任されました。後を引き継いだ岩村通俊イワムラミチトシが、官庁街と住宅地を分けるだけではなく、南北に火の手が移ることを防ぐため、幅105mにわたる大通をつくりました。

現在の大通西1丁目〜13丁目の1.5kmの範囲では、1909年に大通公園が整備されました。道路を挟んで、芝生が広がります。チューリップ、パンジーなど四季折々の花が植えられたり、噴水、彫刻や文学碑がいたるところに置かれていました。

8月、大通公園を訪れたときは、ビアガーデンが行われていました。大通公園のビアガーデンは札幌の夏の風物詩となっています。ビールを片手にジンギスカンを楽しむ風景など見られました。

Y軸=創成川


創成川は北を石狩川との境界付近で伏籠川、南を中島公園の南端の豊平川を結び、札幌市の南北14kmを走ります。創成川は用水路として手で掘られました。その後、用水路から、物資の運搬用に改良され、鉄道が手宮(小樽市)〜札幌間で開通するまで、開拓使の暮らしを支えました。

札幌の原点はここ!

大通と創成川の交点が、札幌市の原点に相当します。札幌テレビ塔が目の前にありました。大通は、一方通行で分かれており、通りの中間地点が、原点に当たります。原点を表すような円状のモニュメントがありました。

昨年書いた記事では、札幌市の主要な観光名所についても、座標で表しました。ぜひ、読んで、札幌へ出かけるときの参考にしてください。


帯広市

帯広市は、十勝地方の中心都市です。北海道では、5番目に人口の多い都市です。十勝地方では、機械を用いた大規模な畑作や畜産業が盛んな地域です。帯広市では、国道38号が南北の基準、国道236号、241号が東西の基準となっています。

X軸=国道38号

国道38号線は、日本海側と道東地方太平洋側を結ぶ重要な路線です。国道38号線は、おおむね根室本線に沿っており、滝川市と釧路市を結びます。途中、芦別市、富良野市、帯広市などを通過します。

Y軸=+方向へ国道241号、-方向へ国道236号

帯広市の原点より北側は国道241号線です。国道241号線は弟子屈町と帯広市を結びます。十勝川を越えて音更町へ入り、日本一面積の広い町、足寄町アショロチョウを通ります。足寄町を通るため、十勝地方では、足寄国道と呼ばれています。釧路地方に入ると、雄阿寒岳の美しい山体を望むことができます。富士山のような、ほぼ左右対称の円錐状の山体です。

南側は国道236号は十勝地方と日高地方を結びます。帯広市街地を抜けて、中札内村、更別村を通って広尾町に繋がります。

原点に行ってみた

交差点の中央が帯広市の原点

国道38号と国道236号、241号の交差点の中央部が、帯広市の原点です。帯広市の北側に原点が置かれていました。原点の周辺には、帯広警察署、四つ葉アリーナ帯広がありました。帯広駅まで歩いて20分ほどの距離にありました。

北側(Y軸へ正方向)に2進むと、帯広市と北部の音更町を分ける十勝川が流れています。十勝川は、十勝地方を流れる重要な河川です。音更町は十勝大橋を通じて、帯広市街地とつながっています。帯広市の中心部から近いため、ベットタウンとして発展しました。人口は日本の町村の中で1番多いです。

帯広駅周辺は、スイーツ店が並んでいた。

六花亭、クランベリーなど十勝地方の農産物を活かしたスイーツ店がありました。帯広のスイーツ店について、別の機会で話します。

一方、デパート「藤丸百貨店」、南口の大型スーパーマーケット「長崎屋」は閉鎖されてました。商業施設は駅ビルにあり、観光案内所、スーパーマーケット、フードコートなどがあります。商店街も健在でした。


釧路市

釧路市は、道東地域の海上輸送の拠点になっています。石炭、漁業、製紙業によって発展を遂げ、1985年には22万人まで人口が増え、札幌、旭川、函館に次ぐ人口でした。しかし、炭鉱の閉山、日本製紙の撤退などの要因が重なり、人口が減少し続けています。苫小牧市、帯広市に抜かれ、現在は16.5万人、道内で人口6位です。釧路市では、釧路川が南北の基準、国道391号が東西の基準となっています。

X軸=釧路川

釧路川は屈斜路湖を源とし、太平洋へ注ぎます。釧路川が運んだ土砂が釧路湿原を創りました。屈斜路湖がダム、釧路湿原が遊水池の役割を果たすため、人工の貯水設備がありません。

Y軸=国道391号

国道391号線は釧路市と網走市を結びます。オホーツク海側の地域と太平洋側の地域を結ぶ主要な道路です。釧網本線と並行して通っています。釧路湿原を南北へ貫き、弟子屈町、標茶町を通ります。

釧路市の原点はここ!

灯りのついた街路灯の辺りが釧路市の原点

釧路市の原点は、幣舞橋ヌサマイバシの中間地点に当たります。幣舞橋は、釧路市街地の南北を結ぶシンボルの橋です。釧路駅周辺の観光名所の一つでもあります。釧路駅から徒歩10分程度で行くことができます。

1899年、初代の幣舞橋は、北海道で一番長い木製の橋として、釧路川にかけられました。現在の橋は、1976年に建設された5代目の橋で、四季を表す銅像も建てられています。現在は、札幌市の豊平橋、旭川市の旭橋に並んで、北海道三大名橋の一つに数えられています。

幣舞橋越しの夕日は美しいと評されています。フィリピンのマニラ、モナコ公国と肩を並べ、世界三大夕日と呼ばれています。幣舞橋のたもと、釧路川の下流側にある釧路フィッシャーマンズワーフMOO、植物園では、幣舞橋を通して釧路川に沈む夕日を拝むことができます。

10数人が夕日を観るために、日没の時間になると、釧路市の原点付近に集まっていました。しかし、訪問時は、雲が一面に広がり、夕日を遮るほどの白い空でした。夕日を見ることができませんでした。

ドーナツ化現象が起きている釧路市

釧路市では、ドーナツ化現象が起きていました。釧路空港から釧路駅に向かうとき、郊外では、商業施設が立ち並び、発展していました。

しかし、駅を下車すると、繁華街は飲食店、ホテルは並んでいたものの、商業施設がほとんど見当たりません。釧路駅デパート、丸井今井釧路店がありましたが、2000年代に閉業しており、老朽化した建物が並びました。商店街も見当たらず、寂しさを感じました。


今回は、北海道の都市の原点を探りました。原点を探ることにより、その都市のシンボルスポットにたどり着きました。その都市の表情を見ることができるため、原点旅もオススメです。


参考文献

京都の交差点名に法則は?(謎解きクルーズ)繁華な通り先に 地域の実情映し変化.日本経済新聞.2015年6月20日朝刊https://www.nikkei.com/article/DGXLASIH11H09_R10C15A6AA1P00/,(2024年8月30日閲覧)

  • 地球の歩き方編集室,(2023),北海道2023~24 (地球の歩き方W),学研プラス

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たびてく@一人旅ガチ勢
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