見出し画像

カカオ栽培から始めたチョコレートをバレンタインデーで渡す方法

結論

  • 畑をつくり、カカオ栽培、発酵の工程まで数年かかるので、手作りチョコレートの場合は、カカオ豆を購入するところから始めるとよい。

  • より美味しいチョコレートを求めるなら、デパートなどで普段販売されてないようなチョコレートを買った方がいい。手作りチョコレートの場合、市販のチョコレートを溶かすところから始めるとよい。

  • 2024年2月12日までにロイズのオンラインショップから「生チョコレート[ファームトゥーバー]864円×ほしい数+送料」を発注すると、畑でつくったチョコレートがバレンタインデーまでに届く。


2月14日はバレンタインデー

この記事の公開から1週間後はバレンタインデー。日本のバレンタインデーには、チョコレートを贈る風習があります。2月になると、全国各地のデパートやショッピングモールでは、さまざまなお店のチョコレートに出会うことができます。

2023年のバレンタインデーは、カカオの品種や産地によって味が異なることについて、記事にしました。詳しくは、こちらをお読みください。

「カカオを育てるところから始めたチョコレート」がほしい

YouTubeで検索していると、カカオ豆からチョコレートを作る動画があります。長野市善光寺のお膝元にある七味唐辛子で有名な八幡屋礒五郎、東京浅草橋にあるダンデライオンなど、カカオ豆からチョコレートをつくって販売するお店も増えています。カカオ豆の産地、品種による味や香りのちがいに魅力を感じます。

「畑から作ったチョコレートはないだろうか?」

中2の頃の頭の中

「海外に住んでいる友人に知り合いのカカオ農家がいるか聞いて、カカオ豆を入手できることを確認してから、現地でチョコレートを作ろう!」と考えました。

しかし、もっと手軽に畑から作ったチョコレートを手に入れる方法を発見しました。

企業の力を借りよう!

2023年に気づく

「自分で作るのではなく、畑からチョコレートを作るという挑戦をしている企業を探して、商品を買えばいい。」そう考えました。

まずは、北海道を代表するロイズタウンに行って、畑からチョコレートをつくる方法を学びました。


ロイズタウン

札幌駅からJR学園都市線で30分かけてロイズタウン駅へ行きます。ロイズタウンは札幌市の隣の当別町にあり、広大な敷地に、ロイズの工場が広がります。工場に併設されている

ロイズタウン駅には無人でロイズカラーの青い駅舎が特徴です。街灯は、カカオの実をモチーフにしたユニークなデザイン。駅前は、工場へつながるバス停しかなく、目の前に畑が広がります。奥に巨大なロイズの工場が見えました。

ロイズタウン駅からロイズ カカオ&チョコレートタウンまでは無料の送迎バスで10分かけて移動します。歩いて行っても10分程度で着きます。

畑の広がる場所にポツンとあるロイズタウン駅
北海道のシラカバの森に棲むエゾシカ、キツネ、ヒグマが描かれている

送迎バスに乗って「ロイズタウン工場」というバス停で降りると、巨大な工場が構えていました。工場に併設された施設が、ロイズカカオ&チョコレートタウンです。ロイズ カカオ&チョコレートタウンは、畑からチョコレートができるまで体験しながら学べる施設で、2022年11月7日プレオープンしました。当時は、工場の一部が稼働しておらず、2023年8月4日、正式にオープンしました。

Chapter1: 畑からカカオ豆をつくる

1.カカオを収穫するまで 

ロイズは、2014年、コロンビアの放牧地だった場所にロイズファームというカカオ畑を作りました。ロイズファームは、北海道日本ハムファイターズの本拠地であるエスコンフィールド4個分の敷地があり、約18000本ものカカオの木が植えられています。道路、用水路すらなく、ほぼゼロからのスタートでした。3年かけてカカオの収穫にたどりつき、2018年、最初の商品が誕生しました。

農園をモチーフにした展示施設は、現地のカカオファームを見学しているような雰囲気が広がっていました。気温、湿度、森の音も感じられます。

1.1生活を学ぶ

ロイズファームで働く農家の方の生活が学べます。朝型で夕方には仕事が終わる仕事でした。近所の方々とコミュニケーションをとったり、朝食、ランチを楽しんだり、メリハリをつけながらカカオを栽培しています。

2.カカオの実から豆を取り出す

収穫したカカオは、ラグビーボールみたいな見た目の実をしています。カカオの実は、「カカオポット」と呼ばれており、1個、600~650gあります。サクランボやリンゴのように、枝の先に実をつけるだけではなく、幹から直接実をつけることもあります。1本のカカオの木から、10〜40個のカカオポッドがつきます。

カカオポッドを割ると、白い果肉の部分と淡い紫色の種が出てきます。

白い果肉部分は、「カカオパルプ」と言われ、食べることができます。スムージーなどのドリンクにして、飲むと、パイナップルやマンゴーのような濃厚で後味がさわやかな、熱帯地方特有のフルーツの風味がします。カカオはフルーツであることが実感できます。

淡い紫色をした種は「カカオ豆」と呼ばれ、一つのカカオから30~40個とれます。カカオ豆は木箱に入れられ、微生物によってチョコレート特有の香りをもち、カラメル色に変化します。酢酸という物質も生まれ、酸味も出ます。その後、1週間かけて乾燥させ、日本へ送られます。

畑から豆を送るまでですら、手間ひまかかる作業です。森永製菓によると、カカオの栽培できる気候は、平均気温27度以上、夏と冬の気温差が小さく、日照時間の平均が1日5時間から7時間、降雨量は年間2,000mm以上の高温多湿。粘り気があり、水はけの良い粘土質の土が最適です。

日本では、八重山諸島や小笠原諸島がカカオの栽培に適した気候に近いです。気温は、石垣島ですら、年平均24℃しかなく、冬の最低気温と夏の最高気温の差が16℃もあり、向いているとは言えません。さらに、3年は辛抱しなければなりません。畑からカカオを作るまでは日本でやることは難しいでしょう。まずは、インドネシアなど日本から近い東南アジアでカカオを栽培するところから始めるといいと思います。

Chapter2. 工場に頼らないチョコレートの作り方

日本にカカオ豆が届きました。カカオ畑を持っていなくてもマネできそうな段階にきました。カカオ豆はインターネットでも購入できます。

2.1 洗浄

まずは、水で洗浄して表面についている汚れを落とし、水分をキッチンペーパーなどで取り除きます。洗った後の水は、カカオの色がしっかりと移っています。

2.2 焙煎

焙煎は、オーブンだけではなく、フライパンでもできます。カカオ豆を広げて全体が黒っぽくなるまで均一に焙煎します。

焙煎を終えた後、皮と芽を取り除きます。チョコレートとして食べる部分は、胚乳という発芽するために必要な栄養分が詰まっているところで、「カカオニブ」と言います。

2.3 カカオ豆をすりつぶす

一番大変な作業が、カカオニブをすりつぶす工程。舌触り、滑らかさにかかわる作業です。チョコレートは練り物です。カカオ豆の粒子が細かくなるまで、湯せんをしながら、ひたすら練り続けます。

カカオニブに含まれる脂肪分であるカカオバターが溶けすぎてサラサラの液体になってカカオバターに包まれていた成分も飛んで風味が落ちたり、焦げついてしまうため、60℃を超えないように温めることが必要です。

チョコレートは油のため、水が入ってしまうと、水と仲のいい成分が持ってかれて、油と分離します。水とその仲間たちは、表面に白いもやをつくり、見た目がが悪くなり、油とその仲間たちは、油分が集まって固まりだし、食感が悪くなったり、溶けなくなります。水分が入ってしまったら、少量であれば、まだ救出できる可能性があります。水分の入った範囲のチョコレートを取り出しましょう。

市販のブレンダーなど、文明の利器に頼ったり、すり鉢で地道にすりつぶしてペースト状にしていきます。このペーストの状態になったものを「カカオマス」といいます。カカオマスは、粘度が強すぎて、ブレンダーも故障しそうになります。なめらかになるまで、カカオニブを砕きます。とにかく根気のいる作業です。

ちなみに、プレス機を使って、カカオマスに圧力を加えながら脂肪分である「ココアバター」を取り出すことができます。余った部分は、「ココアケーキ」というカタマリで、粉にしたものが市販でも販売されている「ココアパウダー」です。

また、使用するカカオ豆が多いほど、濃厚になります。ブラックチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートの順にカカオ豆が多く使われています。

2.4 甘味などを加えながら、ひたすら練る

カカオ分100%のチョコレートは非常に苦く、酸味を感じます。カカオ本来の味を楽しむために、何も加えない選択もありです。しかし、そのままでは、おいしいチョコレートとは程遠くなります。

砂糖で甘味をつけます。粉ミルクを使用することによって、ミルク感が出てマイルドになります。

工場では、ココアバターを追加することにより、コクを出したり、ココアケーキを調整してチョコレートの濃度を調整しています。しかし、ココアケーキには、苦み成分であるポリフェノール、テオブロミンが含まれており、入れすぎると、苦くなりすぎます。

徹底的に練りながらすりつぶすことにより、ざらつき感をなくし滑らかにします。同時に酢酸を適度に追い出し、酸味を抑えます。

工場では練るだけで3日間かけるところもあります。家庭でチョコレートを作る場合、少量のため、1日でも充分だと思います。

2.5 テンパリング

ここまでくれば、チョコレートを溶かした状態と変わりません。やっと、手軽にマネできる工程に到達しました。

テンパリングは、見た目がつややかで美しく、口溶けのよいチョコレートをつくるために必要な工程です。すりつぶしの次に、重要かつ手間のかかる作業です。

テンパリングの目的は、カカオバターの結晶構造を整えること。カカオバターの結晶構造は、チョコレートの風味、見た目の美しさ、口溶けのカギを握ります。カカオバターの結晶構造はI型~Ⅵ型6つの型に分かれており、数字が大きくなるほど、結晶が大きくなり、融点も上がります。

チョコレートに含まれる風味の成分は、水に溶けやすい性質があり、小さいミスト状のもので、カカオバターに包まれています。カカオバターが溶けると同時に風味も広がります。

理想は、体温(36℃)より少し低い融点。カカオバターは、融点まで温まると、急激に溶けていきます。包んでいた風味の成分も広がります。

I型~Ⅳ型の結晶は、融点が低く、密度も低いため、すぐ溶けてしまいます。型から外しにくく、製品には不向きです。

一方、最も安定なⅥ型は体温と同じ融点のため、口に含んでも融けにくく、ボソボソとします。さらに、結晶が大きすぎて粗いと、白いもやのようなものが浮かび上がり、融けてもざらつきのある食感になります。白いもやのようなものを「ブルーム」と言います。ブルームには、カカオバターが原因で発生する「ファットブルーム」とチョコレートの表面に、原料の砂糖が空気中の水分と反応して浮き上がって発生する「シュガーブルーム」の2種類があります。ファットブルームはカカオバターのⅥ型結晶が原因でできるため、テンパリングによって結晶構造をⅤ型にすることによって、消えます。しかし、シュガーブルームは、一度発生してしまうと、元に戻りません。原因は、チョコレートに水が入ってしまうことが考えられます。空気中の水分であれば、問題ないですが、空気中の水分量以上の水がつくと、水が大好きな糖分がチョコレートから水に集まります。水が表面から蒸発したときに、白いシュガーブルームが誕生します。

理想は、V型結晶です。融点は33℃で体温より少し低いため、口に入れるとちょうどよく溶け出します。結晶もちょうどいい細かさで、口どけも滑らか。高密度なので型からきれいに外れやすいです。

「28℃未満で保存してください。」とチョコレートの保存方法に書かれている理由は、28℃を超えると、カカオバターが溶け出し、結晶構造が崩れてしまい、購入時より風味が落ちる懸念があるからです。

テンパリングがうまくいくと、カカオバターの結晶が集まるため、少し縮みます。これにより、型から外しやすくなります。

テンパリングについて詳しい解説は、こちらの動画をご覧ください。

テンパリングを終えると、原料チョコレートが完成します。パイプラインによって隣接するロイズタウンの工場へ運ばれます。世界中から集まった原料と混ぜ合わせるなど加工して、生チョコレートなど、おいしいチョコレート製品に仕上がります。シャンパンなど一部原料は展示されていました。

好きな形をつくります。型に流し込んで冷やし固めます。

新千歳空港にあるロイズワールドという工場では、立体型のチョコレートを作っています。型に入れて空気の力で膨らませます。型を回して遠心力で薄く均一に型へチョコレートをつけていました。


完成したチョコレートは、できたてより寝かせてから出荷したほうが、味が均一になるため、美味しいです。ロッテのガーナチョコレートは、3週間寝かせてから出荷しています。

Chapter3.工場で作る場合

ロイズタウンでは、カカオが工場に届けられてから、製品になるまでの行程を学ぶことができます。工場見学して印象に残ったこと、なぜ、企業のチョコレートが美味しいかという視点で書きました。

3.1機械化でペーストにすればラク

苦労したペースト状にする工程も、お金をかけて機械をつくって任せれば、カンタンです。巨大なロールに2,3回、カカオマスを挟んで、すりつぶします。人力では、数時間かかるところを、機械に頼れば、数十分でザラツキが感じられないほど細かく均一にすりつぶすことができます。ただし、品質を均一にするため、徹底的にかき混ぜており、3日かけているメーカーもあります。

3.2 食品業界だからこそ衛生面をアピール

衛生面もしっかりアピールされていました。衛生面は、食品業界にとって信頼に関わります。安心して食べていただくためにも、ほぼ包み隠さず公開しています。

口に入れるものですので、少しでも金属片などの異物が混入すると、何万食分のものを回収して廃棄しなければなくなります。

クリーンスーツが淡い色の理由は、汚れを目立たせるため。クリーンスーツは、露出をさせず、髪の毛などが外に落ちないようにデザインされています。エアシャワーでは、全身、勢いよく出てくるエアーで表面についたゴミを落とします。エアシャワーだけでは足りず、ローラーを使って粘着で、さらに小さなゴミも徹底して落とします。手洗い消毒も行って、ようやく作業ができます。エアシャワー、ローラーも展示されています。

食品業界は人数も必要最低限まで制限されています。異物混入などのリスクを最小限に抑えるための対策です。

最後に見られる冷却~包装の工程は、まるで証券取引所のようなスタイリッシュな雰囲気でした。30分かけて畑から製品が誕生するまで学ぶことができます。施設が広いため、いい運動にもなります。

3.3 お土産、体験、カフェも楽しめる

オリジナルチョコレートの体験ができ、人気です。好きな板チョコに、ナッツ類やドライフルーツなど好きなトッピングをのせて、オリジナルのチョコレートをつくる体験は人気です。バレンタインデーなど、プレゼントにもピッタリです。

ロイズタウンにまつわる駅票のチョコレートなどロイズタウンに行かないと買えないお土産も販売されていました。全国発送も受け付けていますので、買いすぎて持ち帰ることができない場合は利用しましょう。

カフェも利用できます。ホットチョコレートは、ロイズタウンでしか飲むことができません。甘さも控えめで、飲みやすく、特に今の時期は身体が温まります。

ロイズの次の夢は、「日本の畑からチョコレートをつくること。」

カカオの栽培できる条件は、熱帯地域。カカオベルトと呼ばれる北緯20°~南緯20°の範囲で生産されています。最南端の沖ノ鳥島が北緯20°のため、ギリギリ、カカオベルトに入っています。熱帯気候は、日本の人の住んでいる地域では、小笠原諸島、八重山諸島が当てはまります。

その夢を実現するために、石垣島でカカオ栽培の研究を始めています。ロイズは、石垣島で採れて加工した黒糖、紅芋を使って、お菓子を販売しています。石垣島の食材を使ったスイーツは沖縄本島で購入できます。

ファームトゥバーの購入方法

2月12日までにロイズのオンラインショップから「生チョコレート[ファームトゥーバー]864円+送料」を注文します。1箱864円は、安くて一度疑いました。正直、1000円を超えるだろうと思っていました。手数料のかからないクレジットカードかpaypay払いをおすすめします。2024年2月時点では、畑からつくったチョコレートを使った生チョコレートは、オンラインショップ以外では、買うことができません。

しかし、畑からつくったチョコレートを使った限定商品は、ロイズタウンに行けば購入できます。5月当時は、工場の一部設備が完成しておらず、まだ稼働してなかったため、販売されてませんでした。工場稼働後、ロイズタウンの限定商品が続々と誕生していますので、ぜひ、北海道に行ったときには、ロイズタウンへ足を運んでみてください。

注文して食べてみた

カカオマスのみ、畑で作られたチョコレートを使用しています。生チョコは、カカオの酸味が感じられますが、苦味は一切感じません。ミルクによって優しく包まれ、マイルドな仕上がりになっています。


1週間後の2月14日は、北海道に行って学んだバインタインデーの歴史についてお話しします。

参考文献

いいなと思ったら応援しよう!

たびてく@一人旅ガチ勢
よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!