多様な分野の学生メンバーで生理の「困った!」を解決。東北大学発・フェムテックスタートアップの挑戦
生理の「思わぬ漏れ」を防ぐ経血検知デバイスを開発
ー開発した「Leak-Leak」について教えてください。
中西:生理のときに、従来の生理用ナプキンだと「経血が漏れてしまう」という不安と戦いながら女性は生活しているんです。そこで、ナプキンと下着の間に色センサーを挟み込むことで経血漏れを感知して、「もうすぐ漏れるかもしれないよ」とスマートフォンに通知していくことによって、思わぬ漏れを少なくしようというものです。
ーこの事業を始めようと思ったきっかけは何ですか?
中西:このメンバー自体が学部もバラバラで、まずは面白いことしたいという感じで集まったんですけど。その中で、私自身がそういうのに困っていたところがあって、こういうビジネス化、具体的なモデル化ができたらいいなというのが、最初の始まりです。
今は感覚任せで、「あ、今やばいかも」って思ってお手洗いに行ったら、全然セーフで損した気分になったり、逆に漏れてたら「あ、やらかしてしまった」って思ったり。
そのような感覚任せのところを、私たちの装置、テクノロジーに頼ることによって、そういうドキドキがなくなり、女性がより生きやすい世の中に、というようなことを考えてます。
ー他にも色々な面白いアイデアがあるんですか?
中西・永井:「こういうの出来そうだよね」と色々と案を出して、その中で「これはまだ誰もやっていなさそうだな」というものを調べて、これにしようかという感じで。今はこれに取り組んでいます。
ー今は生理のことをピックアップしていますが、そこからどう発展・応用していくか考えていますか?
永井:今は経血の有無を検知するだけで、まだ技術的にできていないんですが、いずれ量とかがわかるようになれば、それが過多月経であったり、そういう病気のサインとして捉えられるようになるのではないかと。医療系の方に行くというのも道としてはあるのかなと考えています。
ー量はまだ計測できないとのことですが、何で計測しているんですか?
中西:経血が入った時、下から光を当てるんです。経血がまだ出ていない段階だと、光が白い。その反射率と、赤の時の反射率の違いで判定しようと思ってます。
ー「Leak-Leak」は実際に体験できるのでしょうか?
吉澤:まだ開発段階なので、実際に使うというところまでは、ちょっと時間が必要かなと思います。
研究分野を超えたコラボレーションで新たな価値を生み出す
ーメンバーの皆さんはそれぞれ学部も違いますし、医療系ではない分野にいらっしゃいますが、他分野での学び、気づきはありますか?
永井:まだ学部1年生でそんな深いことはやってないんですけども。僕、経済学部なんですが、授業の中で「効率」を考えたりするわけです。例えば、職場でただ良いものを揃えれば作業効率が上がるわけじゃないし、働く人の環境を考えなきゃいけないとか。生理中の不安というのを軽減するというのが、社会全体への効率につながるんじゃないかなと考えたりします。
中西:資料を書くときは文学部の彼女が文才を発揮してくれる、みたいに、自分の得意分野でそれぞれ活躍するようなメンバー構成になってます。
ー皆さん1年生なんですか?
吉澤:はい。
ーメンバーには男性も女性もいますが、今回のアイデアは男性目線でどう思いましたか?
永井:やっぱり人に言いづらい話題じゃないですか。でも、人に相談しにくいところを機械の方で肩代わりしてくれたりだとか、言いづらいとかというのを緩和できるというのは大事なんじゃないかなと思います。
生理の問題は世界共通。困っている女性たちのために広く製品を届けたい
ースタートアップで悩まれるのが広報や販売方法だと思うのですが、具体的にどうしていきたいという策はありますか?例えば、敢えて限定感を出すためにウェブ限定で販売するとか、市場調査しながらやっていくとか。
吉澤:在庫を確保するための場所代を考えると、最初のうちはネット販売中心にやっていこうという話はしていて。その後の展望についてはこれからというところです。
ー前澤ファンドがフェムテック企業に出資して話題になっていましたね。
吉澤:まだグループ内で意見を統一できてないんですけど、やっぱりブランディングの上では著名人に出てもらうというフェーズもいずれ必要になってくるかもしれないなというのが私個人の考えです。
ーピル処方サービスのCMが放映されたり、メディアでもフェムテックをよく取り上げています。時代の潮流に乗りたいですね。
中西:でも、やっぱり本当に困ってる方に一番届けたい!一番早く良い形で届く方法を模索できたらなと思ってます。
ー10年後、20年後のこの事業の展望も含めて、どういう社会になっていて欲しいですか?
吉澤:生理の問題って世界共通です。私たちの製品というのはナプキンと併用して使うものなので、ナプキンの愛用者が多い国を中心にして、広く、いろんな地域などでサポートできるような製品になっていったらいいなと思います。
永井:僕はこの取り組みをしてみて初めて知ったこととかもあって。やっぱり、あまり人に言わない悩みだったりするので、その辺がもう少し……、例えば「ナプキンの交換行きたいよ」ってなった時に、行きづらいのがなくなってるというか。少しでも……なんだろう。そういう後ろめたさみたいなのがなくなっていればいいなって思います。
中西:最初のモデルとしては、デスクワーカーとか、そういう大人の女性に知ってもらうというのを想定してるんですけど、最終的には子供とか、まだ生理になって間もなくて、そのタイミングが掴めない子達にも知ってもらって、生理の教育に役立てていけるような製品になっていければなと思っています。
メンバー集めはSNSで!「思考の柔軟さ」が魅力のチーム
ーメンバーが集まったきっかけは?
永井: SNSですね。こういうのやってみたい!みたいな感じで。最初はビジコンであったりだとか、そういうのに挑戦してみようというところから始まってて。それが今こうやって続いて、ここに至っている感じなので、最初からこういうのを描いていたわけではないのが実情です。
吉澤:旧Twitterで私以外の3人が先に集まって、私が中西さんと同じ授業を受けていて、そこで知り合って「やってみない?」って声をかけていただいたって感じです。デジタルとアナログ有効活用ってところで。
ー4人がそれぞれキャラが被っていなくて、得意分野が違うというのが良かったんですね。今回、東北大学のビジネスコンテストで優秀賞を受賞された経緯があって、テクスタ宮城さんのスタートアップのマッチングイベントに参加されるわけですが、どういった企業さんとつながりたいですか?
永井:僕の個人的な意見ですが、生理用品を作っている会社や、それに近しい仕事をしている人たち。あとは女性支援であったりだとか、そういうところと関係を持てたらいいなと思っています。
中西:やっぱフェムテックの方々とか、そういう機械的に詳しい方と繋がれればいいなと思っています。
吉澤:私たちの今の段階だと、製品の開発というところに主に軸足を置いていて、まだ販売の方法を考えるのはまだ手が回っていないんですけれども。そういったところをアドバイスいただけるような企業さんとかがあればお話を伺ってみたいなというところはあります。
ー最後に、参加者に伝えたいことを一言お願いします。
吉澤:どこの研究室にも属してない学部1年ばっかりのメンバーで、基礎教養が広くて専門を突き詰める手前の段階なので、まだ頭が凝り固まる手前だと思うんですね。
その柔軟な部分は私達の魅力でもあると思うので、未熟さでもあり魅力でもありというところで、面倒見てほしいって意味でも興味深いという意味でも見ていただきたいなと思います。
永井:まだ本当に幾らでも選べる状況なので、こういうルートもあるんだよとか、先に生きてきた先輩としての話とかも聞けたらありがたいなと思います。
■Equality
連絡先
equality.tohoku.2023@gmail.com
https://youtu.be/qugeaqaXVWE?si=Ks3hl3EQUmM8Q1O4