オーディオブック紹介 「護られなかった者たちへ」
おはようございます。
2024年12月4日 水曜日です。
現代社会の闇に鋭く切り込む、痛切な人間ドラマ。
中山七里が描き出すミステリーは、単なる事件解明を超えて、私たちの社会システムの根本的な脆弱性に真っ正面から向き合う小説です。
保健福祉事務所課長の残酷な最期は、一見ランダムな殺人事件に見えますが、実は日本社会の深い傷を象徴する出来事。
生活保護や社会的弱者の保護という、本来守られるべき人々を守れていない現代社会の矛盾が、物語を通して鋭く描写されています。
善良な人間が理不尽な最期を遂げる理由を丁寧に紐解きながら、社会の闇と正義の本質について深い問いを投げかけます。
「誰が本当に被害者なのか」「誰を守るべきなのか」という根源的な疑問は心に残る。
事件の背景には、貧困、災害、社会保障制度の限界など、現代日本が抱える複雑な社会問題が絡み合っています。
現実離れしているようで、皮肉にもリアルな展開が、この小説の魅力と言えるでしょう。
社会問題を鋭く抉りながら、ミステリーとしての面白さも見事に両立した骨太な小説でした。
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ひろかん