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オーディオブック紹介 「悪い夏 」
おはようございます。
2025年1月29日 水曜日です。
染井為人 『悪い夏 』
26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。
同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。
しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して――。
生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。
加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き堕とす!
第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。
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この作品は、私たちの足元に広がる社会の闇を鮮やかに切り取った傑作ミステリです。
主人公の守は、ケースワーカーとして生活保護受給者の支援に携わる26歳の青年。
彼の日常は、社会の底辺で必死に生きる人々との関わりで溢れています。
しかし、同僚による受給者への不正な関係強要を知ったことをきっかけに、守の人生は急転直下、暗い渦へと飲み込まれていきます。
本作の素晴らしさは、登場人物たちの描写の深さにあります。
生活保護を不正受給する者、貧困に喘ぐシングルマザー、そして地方から這い上がろうとするヤクザまで、誰もが自分なりの「正義」や「事情」を抱えています。
彼らは決して単なる「善人」や「悪人」ではなく、それぞれが現代社会を生き抜くために背負った傷や矜持を持っているのです。
特に印象的なのは、物語のテンポの良さです。
次々と明かされる人物たちの思惑と、それに振り回される守の姿に、読者は息もつかせぬ展開に引き込まれます。
そして最後には、誰もが望まなかったはずの凄絶な結末へと収束していく様は、現代社会の持つ残酷さを浮き彫りにしています。
第37回横溝ミステリ大賞優秀賞を受賞した本作は、単なるミステリ作品としてだけでなく、現代日本の社会問題を鋭く描いた社会派作品としても読むことができます。
善良な市民が、ほんの些細なきっかけで転落していく様を描きながら、私たちの社会が抱える闇の深さを問いかけているのです。
読み終えた後、胸に残るのは重たい余韻と共に、明日も必死に生きる人々への思いです。
本作は、私たちの社会の在り方について、深く考えさせられる一冊となっています。
#本の魅力
・リアルな人物描写
・テンポの良い展開
・現代社会への鋭い洞察
・誰もが持つ「弱さ」への共感
・社会派ミステリとしての完成度
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今日の占い
1月29日
=影響がない日
1. 昨日と違って、やる気と集中力が上がってきている。
2. 朝から好きな音楽を聴いて気分を高めるのがおすすめ。
3. 軽いストレッチをしてから出かけると更に良い。
それではまた明日
ひろかん