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翻訳テクニック集:視点の入れ替え

翻訳のテクニックの1つに、「原文の視点を入れ替える」というものがあります。
たとえば、IT系のドキュメントでは、システムやサービスに何らかのイベントが発生したときに通知を送受信する機能・仕組みがよく取り上げられます。そんな中で頻出する単語が、「send」、「get」、「receive」などです。それぞれ素直に送信、取得、受信のように訳して問題ないケースも多いものの、送信元(送り手)と送信先(受け手)の視点を入れ替えて訳すと、ごく自然な日本語になることがあります。たとえば、「send」が使われがちな文章を例に、検討してみましょう。

【原文】When you got an error, the system send a notification to you.
【ありがちな訳の例1】エラーが発生すると、(システムが) 自分に通知を送信します。
【ありがちな訳の例2】エラーが発生すると、(システムによって) 自分に通知が送信されます。

いずれの訳文も誤訳とまでは言えないかもしれませんが、どことなく日本語としての不自然さ(機械翻訳っぽさ)を感じます。このような場合、「send」をそのまま「送信」と訳すのではなく、視点を入れ替えてみてはいかがでしょうか。つまり、「send」(送る)を「get」(受け取る)のニュアンスに変えて訳文を作れないか、考えてみるということです。
 

【改善案】(システムに)エラーが発生すると、通知が届きます。

いかがでしょう。「自分に」を省くこともでき(敢えて入れることもできると思いますが)、非常にすっきりました。
 
この「視点を入れ替えて訳す」というテクニックは、例に挙げた通知の送受信の文脈や、「send、get、receive」などが使われている文章に限らず、多くの場面で活用できます。1文の中で動作の主体が多く、複数の視点が混在しているケースなど、どうもしっくり来ないなと思ったときに試してみてはいかがでしょうか。


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