顧客志向の落とし穴・その1
あるお客様から依頼があり、新しい研修をまとめました。
その中で、色々な人が色々なことをいっているものを整理し、割とうまくまとまりました(自己満足 ^^;)ので、ここで共有します。
今回のテーマは、「顧客志向」について、です。
ただし、私はマーケティングの専門家でも、営業の専門家でもありません。どちらかというど技術寄りの人間です。マーケティングの専門家や営業の専門家の人がこの記事を見たら、「お前の意見は偏っている」と思われるかもしれません。今回は、技術寄りの人間が正しく「売れるものを作り、売る」ためには何を考え、どのように行動すればいいか、という視点で書いていきます。
「顧客志向」とは何か
今回のテーマは、「顧客志向」について、です。一般に「顧客志向」とは、「製品志向(または製品主導)」の反対語として使われる言葉です。ひとことで言えば、「技術ありき、製品ありきで考えず、常に顧客の言葉に耳を傾け、顧客が本当に欲しがっているものを作って売りましょう」という、マーケティングの言葉です。
有名なところでは、ジョン・マックギブナという人が提言し、セオドア・レピッドという人が引用して有名になった、次の言葉が知られています。
1/4インチ・ドリルを買い求める人は、1/4インチ・ドリルが欲しいから買うのではない。彼らが欲しいのは、1/4インチの穴である。
ドリルメーカーだと、どうしても「どうやって使いやすいドリルを作るか」とか「どうやってドリルを売るか」ということからスタートして考えてしまいます。もちろんこれらも大切です。しかし、顧客が本当に欲しがっているのはドリルではないかもしれない。顧客が本当に欲しがっているものは何か、ということをよく考え、よく調査し、その上で「それをどうやって実現するか」という視点に立って考えましょう、というわけですね。
「顧客志向」は正しいがとても危険
さて、顧客志向(または顧客指向、とも)について色々調べると、本当にたくさん出てきます。マネジメントの神様であるピーター・ドラッカーや、先ほどご紹介したセオドア・レピッドなど、「顧客の言葉に真摯に耳を傾け、そこに正解を求めなさい」ということをおっしゃっている人たちはたくさんいます。だから「顧客志向」は決して間違ってはいません。
ただし、顧客志向を正しく理解していないと、大やけどをする可能性があります。例えるならば、人間が初めて文明を手にした時の「火」のようなものです。人間は火を使いこなすことができるようになって、文明を手に入れました。しかし逆に、火を正しく理解していないと、火事になったり、やけどをしたり、文明を滅ぼしたりしかねません。
顧客志向は何が危険か。私が考えるに、次の2つの「落とし穴」がある、と思っています。
・顧客自身が自分の「本当に欲しいもの」を理解していない
かもしれない
・「顧客志向」に傾倒しすぎ、顧客のいいなりになって振り
回されるかもしれない
そうならないようにするにはどうすればいいか、少しずつ書いていくことにします。
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