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【ぼくは"元"航空管制官】ステージ9 ~中日本航空の今~

こんにちは。元航空管制官の田中秀和(たなかひでたか)です。
この度中日本航空株式会社に取材に伺ってきましたので、航空ファン必見の情報と共に是非紹介させて下さい。

この「ぼくは”元”航空管制官」シリーズでは初めてとなる、取材を基にした紹介記事となります。今後も様々な場所に伺い、航空ファンを唸らせる情報を発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

さて、皆さんは「中日本航空」をご存知ですか?2024年4月現在でヘリコプター59機、飛行機7機を保有し、全国24箇所の営業所や札幌から石垣島まで9カ所の運航所を抱える航空業界の大手です。事業内容は非常に幅広く、日本一の運航数を誇るドクターヘリをはじめ、医療搬送、報道取材、物資輸送、航空撮影、チャーター、受託運航や受託整備などの航空事業と調査測量事業等を担っています。

日本一の運航数を誇るドクターヘリ
金のシャチホコも輸送


事業の紹介

まずは、ちょっとイメージしにくい調査測量事業からご紹介します。航空機を用いてというと、まず航空写真を撮り、そこから地図を作るというのが一番イメージしやすいかと思います。私もそういうイメージを持っていました。しかしながら、中日本航空さんが現在行っている事業はそれだけではなく、技術の進歩と共に凄い進化を遂げていました。例えば、写真データにレーザー測量したデータを合わせて三次元データを作ることが可能で、工事現場や都市モデル作成等の場で活用されているそうです。また、レーザー測量というと山林等の地形調査のイメージが有りますが、今では条件さえ揃えば水中の地形計測もレーザー機器を上空から用いて行うことが出来るそうです。航空機を飛ばしてデータを取得してくるだけでなく、これらのデータ解析や納品データ作成も中日本航空で行っており、大きな事業となっています。発注元は様々ですが、私企業だけでなく、官公庁や地方自治体の事業も担っており、東日本大震災や元日に発生した能登半島地震等の災害調査の場でも中日本航空の各種事業は貢献しています。

航空測量や航空写真を任務とする機は、一筆書きで対象エリアを縫う様にして飛行する等、独特な航跡を残します。管制官との間では、事前に経路や高度を示した要望書を提出する等、確実な意思疎通を図っています。私も現役時代には数え切れない程のミッションをレーダー画面上で見守ってきましたが、場所や高度によっては旅客機の通り道だったりするので、管制官とパイロットが阿吽の呼吸でことを進めなければならず、管制官のセンスも大事になってきます。また、写真内容によっては僅かでも雲がかかることが許されない場合もあり、上空で雲の発達や減衰を読み、他のミッションと順番を入れ替えながら行う場合もあります。このあたりの読みは、パイロットのセンスが光るところです。例えば「A地点が終わったらB地点に向かいます。」と聞いていたのに「B地点上空に雲が見えるので、D地点に先に行きます。」とA地点上空で伝えられる等、臨機応変な飛行は日常茶飯事で、管制官もしっかり聴いておかないと「あれ?」となりかねないので、若干緊張感があるやりとりとなります。なかなかTCA(Terminal Control Area)周波数はお聴きにならないかもしれませんが、マニアックな楽しみポイントでもありますよ。また、天気が良い日はアプリのFR24(Flightradar24)でミッション中の一筆書き航跡を探すのも面白いかもしれませんね。

測量業務中のヘリコプター


中日本航空 ふるさと納税返礼品のご紹介

さあ、そして航空ファンに是非お知らせしたいのが、中日本航空が実施している「ふるさと納税」の返礼品です!

現在「航空会社の機体工場見学」と「ヘリコプターフライトシミュレーター(FTD)の体験と格納庫見学」の二つをご提供されていますが、特に家族連れにオススメなのが「航空会社の機体工場見学」ですね。18,000円の寄付で、中日本航空の格納庫等を見学することが出来ます。実は中日本航空は、全国の県警や消防航空隊等の整備委託を受けていますので、多種多様な機体が集まっています。私が取材した際も「(私)あの××の機体って…」「(中日本航空)あ~、あれは××の所属ですが、ちょっと特殊で詳しくお話出来ません。」と、私が大騒ぎする機体もいました。残念ながら写真撮影することは出来ませんが、スタッフの引率で至近距離にて見学することが出来ます。18,000円の寄付で最大4名まで参加出来ることも、家族に優しいプランですね。ご家族でプライスレスな体験は如何ですか?なお、「ヘリコプターフライトシミュレーター(FTD)の体験と格納庫見学」は寄付額が111,000円と、ちょっとお高めですが、既に常連さんも付いているんだとか。ヘリコプターのシミュレーターは飛行機とは違ってちょっと難易度高めですが、興味がある方は是非。


全国の小さな命を救うために、ドクタージェットを継続して飛ばそう

最後にご協力をお願いしたいことを紹介させて下さい。皆さんは中日本航空が運航を受託している「ドクタージェット」はご存知ですか?ドクタージェットとは、重症の子ども達を高度専門病院に搬送するための手段で、高度な集中治療を継続しつつ、都道府県を跨いだ移動が可能となります。

詳しくはURLからご覧頂ければと思いますが、クラウドファンディングの締め切りが10月6日(日)午後11:00までとなっているものの、なかなか厳しい集まり具合です。私個人としては、この様な事業は本来国が予算を組んで実施すべきと考えますが、予算が組まれるまでの実績作りとして、そして何より今目の前にある小さな命を繋ぐため、志ある方から資金が集められればと考えています。是非ご協力下さい。


航空ファン向けのオススメ情報やお願い等、新しい形での発信となりましたが、次のステージもお楽しみに。Good day!!

メッセージ、リクエスト、記事のご感想などございましたら、是非コメント欄へお寄せ下さい。コメントは全てチェックしておりますが、個別の回答は控えさせて頂きますのでご了承下さい。

田中 秀和(たなか ひでたか)
1983年生まれ、愛知県出身。「ぼくは航空管制官」や「ぼくは航空管制官2」をプレイし、航空管制官志望を固める。2001年国土交通省入省、那覇空港での勤務を経て2008年から2020年セントレアで航空管制官として勤務。2020年3月末に退職し、現在は全国の空港やミュージアムでの講演・トークショー、小中高校での職業講話、学童・児童センターで航空教室や紙飛行機教室等を実施する。テクノブレインではテクニカルアドバイザーを務める。Facebookアカウント:元航空管制官のCafe&Bar準備室

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