自分の得意なこと・やりたいことでキャリアを築くには / 第7回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
2020年9月16日水曜朝9時からの第7回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting。
75名ほどの方にご参加いただきました。
石川淳哉さんは、北海道から参加。この日の朝早く、星野リゾートトマムに雲海も見に行かれたそう。
東京から参加している島田さんも、この日の夜には和歌山の南紀白浜に移動されるとのこと。
Zoomミーティングなので、インターネットさえつながれば、どこにいても参加できることを改めて感じたオープニングでした。
自分が好きな働き方を決めるコツとは
前半の「働き方の新しい波」のコーナーでは、株式会社KANでCHO(Chief Happiness Officer)として働く、パラレルキャリア歴25年の椎野磨美さんから、「自分が好きな働き方を決めるコツ」について、プレゼンいただきました。
働き方を「決める」ことは、生き方を「決める」ことだと話す椎野さん。
社会人になってから、最初の3年を除き、常に複数の仕事をしてきたそうです。そのきっかけとなったのは、社会人3年目から会社以外の仕事でテクニカルライターを始めたことで、ペンネームによる著書がすでに14冊あり、来年初めころまでに15冊目の刊行も予定されています。
パラレルキャリアとは
パラレルキャリアはハイブリッドキャリアとも呼ばれていて、椎野さんは4年前からハイブリッドキャリアについて、講演で話す機会がたびたびあるとのこと。
パラレルキャリアとは、現在の仕事以外の仕事を持つことや社会活動などの非営利活動に参加することであると、1999年刊行のピーター・ドラッカーの『明日を支配するもの』で定義されています。
その4年前の1995年に出版された、チャールズ・ハンディの『パラドックスの時代』では、仕事は4種類に分かれると書かれています。
家庭の仕事(生活者の仕事)・・・家事・育児・介護など
有給の仕事(雇用・自営業・兼業・副業など)
ギフトの仕事(ボランティア・社会活動など)
学習の仕事(リカレント教育・社会人大学院・勉強会など)
仕事は有給の仕事だけではないということを意識したことが、椎野さんがパラレルキャリアを実践していくきっかけにつながっていきました。
私は選ぶより、決めるという形で、これまでのキャリアを歩んできました、と椎野さんは振り返られました。
新卒の時は、環境重視で就職先としてNECを選びました。
NECでは当時から、テレワークの環境や遠隔地とのテレビ会議、フレックス勤務・時短勤務が整っていました。お父様の闘病で看護が必要となった時も、これらの会社のシステムに助けられ、山梨から通勤し続けることができました。
椎野さんのパラレルキャリアは、5つのコツに支えられてきています。
コツ① 「選ぶ」より「決める」
決めた理由を自分の言葉で説明する習慣
コツ② 自分の感情を整理する
EQ「Emotional Intelligence Quotient(感情知性)」の重要性
コツ③ コミュニケーションツールの使い分け
コツ④ 自分の「得意」と「苦手」を知る
コツ⑤ 成果の可視化(数字・ファクト・ロジック)
そして椎野さんは、シゴトの価値は「スピード」と「質」で決まると考え、仕事を5つのフェーズで考えるようにしてきたそうです。
椎野さんのお父様のお言葉で、椎野さんの心に今も強く残っているのが、「人生に「たら」と「れば」はない」という言葉があるそうです。自分の人生だから、自分で考えて、自分で決めることは、椎野さんの人生を支える軸となっています。
コツ① 「選ぶ」より「決める」
椎野さんのパラレルキャリアの転機になったのは、他者がやりたがらない仕事をやったことがきっかけで、技術書籍の出版の声がかかったことだそうです。
この時、椎野さんが書籍の執筆を決めるきっかけとなったのは、当時お付き合いをしていた現在のご主人のアドバイスでした。「会社は星の数ほどあるけれど、本を書くチャンスは2度とないかもしれないよ。」という言葉から、複数の選択肢があるときに、1つしか選べない環境に居続けるのではなく、それを3つでも4つでも選べる環境に移ろうと思えるようになったとのことです。
この技術書の執筆の件は、シゴトの価値のStep2の時間をつくるという点にもかかわってきます。
どの時間をどこにつかうか。平日に会社の仕事をし、土日・長期休暇に技術書の執筆をする。その結果、社会人3年目に会社でもらっていたお給料と同じくらいの金額を、ペンネームで書いた書籍の印税としていただくことにつながりました。そこから、自分のアウトプットしたものが正当に評価されることを意識するようになりました。
コツ② 自分の感情を整理する
できるのか、できないのか、やりたいのか、やりたくないのか。やりたいことができている状態になるように、試行錯誤のうえ、自分の感情の整理ができるようになりました。EQ 「Emotional Intelligence Quotient (感情知性) 」にかかわることで、発信していたらフジテレビさんのニュースでも取材いただきました。
コツ③ コミュニケーションツールの使い分け
相手の状況と内容に合わせ、いろいろなツールを適材適所で使い分けます。たとえ同じ相手とのやり取りであっても、その時の目的に応じてチャットとメールを使い分けています。
コツ④ 自分の「得意」と「苦手」を知る
自分が得意なことは自分が率先してやり、他方苦手なことはそれが得意な方にやってもらうようにしています。
社会人19年目にWindows女子部を設立することを決めたのは、日常の課題解決が好きだったことに加え、女性のエンジニアが学ぶ機会が少なかったので、自分で創ることにしました。Windows女子部では、ITの最新技術の勉強会をだれよりも先にやることを心掛けていました。もともとコミュニティの活動としてやっていましたが、仕事としてやってくれませんか、と企業からオファーが来るようになり、そういう時はコミュニティのメンバーで仕事を分担し、いただいた報酬を分配するようにしています。
ライターやWindows女子部以外の仕事以外に、メンター・コーチ・EQトレーナーとしても活動をしています。
得意なことを仕事にするという意味では、前職(JBS)では「椎野さんがよいと思うことは全てやってください」と社長から心強い言葉をいただき、様々な活動をおこないました。
会社の変革を感じ、口コミを書いてくれる社員が知らないうちに増えていたようで、Vorkersの働き方改革成功企業として、初登場22位にランクインし、リクナビから取材を受けました。
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_44
https://next.rikunabi.com/journal/20180731_c12/
コツ⑤ 成果の可視化(数字・ファクト・ロジック)
ビジネスの場においては、成果の可視化という観点も重要です。エモーショナルとロジカルの両方のバランスが大事なので、感情を理解しつつ、数字とファクトとロジックで客観的に分析するように心がけています。
一般社団法人ITビジネスコミュニケーションを立ち上げたのも、日本の2つの課題を解決していきたいと思ったからです。
まとめ
【パラレルキャリアの経験から分かったこと】
・自分の好きなこと(楽しいこと)がわかる
・新たな人間関係を構築できる
・会社の人としての評価だけでなく、個人としての評価が分かる
・ライフワークを見つけることができる
・生涯続けていきたいと思えるようなライフワークに出会える可能性がある
・(本業以外で)他者への直接的貢献による「喜び」を感じる活動ができる
・起業や副業の下準備として役立てる
島田さんからは、今回のプレゼンを聞いて初めて知ったことが多くて驚いた。特に新卒で就職先を決める時からしっかり決めているのがすごいという感想が述べられました。
石川さんからは、自分が何となく仕事を決めてきてきたことを反省したという感想に加え、いろいろな経験を経てきた今の椎野さんが一番素敵ですねというお言葉が。
椎野さん自身、好きかどうかやりたいかどうかでやってきて、結果として今に至っているだけで、決して初めから計画的にやってきたわけではないとのこと。
いろいろと最先端のものをキャッチアップして勉強しながらやってきている椎野さんのお話からは、いくつかのヒントを実践することで、だれでも今からでも変わることができると思えました。私自身、勉強してこれからでも変わろうと思います、と箕浦さん。
講談社に入社してから一つのことしかやっていない私には、真逆で勉強になりました。椎野さんが動くたびに、周りの人をいい意味で巻き込んで、いろんな人のハッピーにつながっているのがいいなと思いました、と関編集長。
参加者からの質問も多く、参加者それぞれがなんらかの刺激・気づきをえたのではないでしょうか。
この日は石川さんのお誕生日!
本日のお悩みは、石川さんのお誕生日を何とかして祝いたいというものです。9時からのミーティング前に、石川さんには「今日お悩みコーナーで相談のある人がいます」とお伝えしていました。
まずはみんなでハッピーバースデーを合唱。オフィスから参加されている方は、声を出して歌うことがかなわなかった方もいたようですが。
石川さんは「どこかで誕生日のことにふれられるかと思っていましたが、まさかお悩みコーナーで祝ってもらえるとは」とサプライズに喜んでくれました。
このうふふ*立ち上げの同志である箕浦さんからは、石川さんが今日生まれてくれなかったら、今日こうやって水曜日の朝を迎えられなかったんだなと思い、石川さんが生まれてくれたことに感謝していますとのお言葉。
関編集長からは、みんなから親しまれるSDGs界の笑福亭鶴瓶のような存在、「ソーシャル・ゴッド・鶴瓶」になってほしいですとお祝いの言葉のあと、編集後記へ。
関編集長の編集後記
2016年に刊行されたライフシフト
は、人生100年時代をどう生きるかを書いた本です。
それまでの我々のステージは、23歳まで勉強する、60歳まで仕事する、その後仕事を引退するというものでした。でも人生100年時代にそれじゃつまらないですよね。
ライフシフトによるど、3つの立場があります。
エクスプローラー:勉強する時期・スキルを問い直す時期
インディペンデント・プロデューサー:独立した段階で、フリーランスとしてやっていく
ポートフォリオワーカー:異なる活動を同時にやる。ボランティアやNPOを週1回やるなど。
この3つの立場は、どの順番でやってもいいし、もう一度やってもいい。そうやってと自分のことを高めていく。
椎野さんが一つのことを学ぶのに6年ほどかけているというお話をされているのを聞いて、この本を思い出しました。このタイミングでまた是非読んでみてください。
この日は、誕生日の石川さんの声掛けで、締めのあいさつのうふふ*を行って、終了しました。
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本日9月23(水)朝9時からの「働き方の新しい波」は、白河桃子さんに「なぜCMは炎上するのか?多様な働き方とアンステレオタイプ」についてお話いただきます。
後半のコーナーは、参加者皆さんのお悩みの相談をうかがえればと思います。悩みはその人だけのものではなく、みんなのヒントにもなるからです。
お申込みまだの方はこちらから
FRaU WFH*(うふふ*) Meetingは、毎週水曜日朝9時から10時。お時間取れるタイミングで、ぜひご参加ください!
文:宮崎恵美子
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第0回(2020年7月29日レポート):WFH*については、こちらでご覧ください。
https://note.com/teamwaa/n/n22a021812f1d
WFH*の読み方は「うふふ」 / 第2回FRaU WFH* Meeting開催報告(2020年8月12日レポート)
https://note.com/teamwaa/n/n18a7a94ee6fc
政策につながる組織のミッションとして行えたからこそ、環境省の「選択と集中」プロジェクトは成功した / 第3回FRaU WFH* Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1b74d08d63dc
ロンドンで、日本の「働き方」がすべてではないと気づいた / 第4回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n72e227a57b21
ワーケーションで、人や自然に感謝し、幸せを感じられるようになろう! / 第5回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n0bf44fc20fda
"はたらく"に歓びを 誇りを持てる仕事をしていこう ! / 第6回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n54aeaf037d4f